樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

身をよじるほどくすぐったい

2006年08月24日 | 木と言葉
帰省シリーズ、その3。実家で、1年ぶりにお墓参りをしてきました。
墓地の一角には1本のサルスベリが植えてあります。この樹の股をくすぐると枝の先が笑う(揺れる)と教えられていたので、小さい頃はいつもそうやって枝が笑うのを確かめたものです。ワライギとかコソグリノキという地方名も残っていますから、こういう言い伝えは日本全国にあったのでしょう。

         

この樹の原産地・中国でも同様で、本来は「紫薇」とか、日本でもお馴染みの「百日紅」と表記しますが、「怕揚樹」という別名があります。これは、くすぐったくて身をよじっている樹、という意味だそうです。
確かに、サルスベリは幹がよじれたり、枝が変に曲がったりします。その樹形を、中国の人々は笑いをこらえている人間の姿になぞらえたのです。それが日本にも伝わって、ワライギとかコソグリノキと呼ばれるようになったのでしょう。
日本に移入されたのは元禄時代。庭木として利用されたほか、まだら模様の樹皮が面白いので皮付きのまま床柱にしたり、櫛にも使ったようです。
もともとサルスベリという名前は、リョウブやナツツバキのように樹皮がはがれてツルツルになる樹の呼び名でした。それが、元禄時代以降、中国から移入されたこの樹の名前になったのです。
動物に例えた面白い名前はほかにもあって、ヘビノボラズ(蛇登らず)とかトリトマラズ(鳥止まらず)という名前の樹があります。どちらもトゲがあります。

お墓のサルスベリは、私がくすぐっていた頃に比べると大きくなっていますが、樹勢が衰えたためか、残念ながら花は咲いていませんでした。
コメント (4)
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