樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

当年の当り年

2024年09月26日 | 野鳥
相変わらずシギ・チドリ観察に現を抜かしています。
今季は、いつもたくさん飛来するアオアシシギとタカブシギが異様に少ない。アオアシシギは毎年10羽くらいの群れがウロウロしていますが、今年は2羽を1回と1羽を2回見たのみ。タカブシギも例年20羽ほどの群れがいるほか、いつ行っても1~2羽は見られますが、今年はまだ単独個体を2回観察しただけです。
その一方、なぜかトウネンが多い。先日は18羽の群れに遭遇しました。毎年4~5羽の小群を見ますが、これほどの数は初めて。



そして、昨日はあちこちのポイントにトウネンがいて、合計27羽を記録しました。



ポイントDでは、前半の4羽を撮影しているうちに草陰に隠れたので、アングルを変えようと少し近づいたところ9羽が飛び出しました。「もう全部逃げただろうな」と思いながら奥を探すと、まだ8羽も残っていました。
トウネンは小さいので「その年生まれの子供」という意味で「当年」と名付けられたそうです。今年はその当年の「当り年」ということですね。
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早朝のシギ・チドリ観察

2024年09月19日 | 野鳥
干拓地のシギ・チドリ観察のため、今までは午後に出かけていました。小鳥の観察は朝の方が有利ですが、シギ・チドリ類はほぼ1日同じ場所で採餌しているので、午後の方がゆっくり観察できるからです。
しかし、あまりにも暑いので、数日前から早朝に出かけています。朝に切り替えた目的はもう一つあって、光の角度。仕事で撮影に立ち合うことが多く、朝の方が太陽が横から当ってきれいに写ることを知っていたので、鳥も同じと思って朝に切り替えたのです。
その効果が早速出ました。下はハマシギですが、やはり朝の光の方がきれいに撮影できます。昼の真上からの光に比べると、朝の横からの光の方がクリアに写ります。



まだ涼しいうちにあちこち走り回っていると、ヒバリシギにも遭遇しました。ハマシギもヒバリシギも今季初。



この干拓地では九条ネギの栽培が盛んですが、今年はその特産品が盗まれる事件が多発していました。先日、その容疑者が逮捕されましたが、同じ九条ネギの栽培農家だったそうです。夜中2時~4時頃の犯行だったとのこと。(ヒバリシギの動画にパトカーのサイレンの音が入っていますが、多分その事件とは無関係)
あまり朝早くウロウロするのははばかれるので、現地に到着するのは朝7時か8時頃にしています。
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タマシギのヒナ救出

2024年09月12日 | 野鳥
相変わらず、猛暑の中3日に1度の頻度でシギ・チドリ観察に出かけています。
先日、これまで行ったことがないエリアに踏み入れると、水路沿い農道脇にタマシギの雄がヒナ2羽を連れてウロウロしています。



この鳥が農道に出てくるのは珍しく、最初は「水路の向こう岸にある田んぼに移動したいけどヒナが飛べないので、渡れる場所を探しているのかな?」と思いましたが、そのうち反対側から自転車が近づいたので、親鳥は飛んで逃げました。
「ヒナはどうなった?」と振り向くと、2羽とも姿がありません。水路に落ちたようです。救出しないと死んでしまうので、あわてて水路を探すと小さなヒナが3羽浮かんでいます。全員を手で救い上げて、農道脇に置きました。つまり、3羽いたヒナのうち1羽が水路に落ちたので、親鳥は残りの2羽を連れてオロオロしていたわけです。


救出したヒナ

タマシギは他の鳥と違って一妻多夫で、雌は産卵すると子育ては雄に任せ、別の雄とつがいになります。なので、ヒナを連れているのは雄親。水路の隣の田んぼでしばらく観察していると、別の雄が2羽いました。うち1羽が以下。



2日後、同じ田んぼの畔で雌を発見。つまり、ここには雌が1羽、ヒナ3羽連れの雄親が1羽、単独の雄が2羽いることになります。多分、1羽の雌を中心にハーレムが形成されているのだと思います。これまでにも、1枚の休耕田に雌1羽、雄3~4羽がいたことがありました。
なかなか面白い生態を観察することができました。こういうことに遭遇するので、干拓地のシギ・チドリ観察はやめられません。
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団体旅行

2024年09月05日 | 野鳥
前回、「一人旅」と題してムナグロとトウネンとツバメチドリの単独個体をご紹介しました。その後、もう一度干拓地へシギ・チドリ観察に出かけると、今度は群れに遭遇しました。
まず、広い休耕田でセイタカシギ3羽を発見。6月にこの干拓地で実施した探鳥会で2羽出現しましたが、シギ・チドリシーズンになってからは初めて。この鳥がやって来ると「いよいよ本番」というモードになります。



別のエリアに足を伸ばすと、ムナグロの群れがいました。カウントすると、16羽。名前のとおり胸が黒い夏羽の個体、すでに冬羽になった個体、さまざまですが、ムナグロらしくのんびり採餌していました。



シギやチドリの渡り鳥は、日本より北で繁殖し、日本より南で越冬するので、春と秋の2回日本に立ち寄ります。そして、「夏鳥」でも「冬鳥」でもないので「旅鳥」と呼ばれます。
セイタカシギは近年日本でも繁殖する例が増えていますが、京都府ではまだ確認されていないので、多分ユーラシア大陸の中北部で繁殖した個体がオーストラリアなどへ渡る途中に立ち寄るのだと思います。
ムナグロは、シベリアで繁殖し、フィリピンなど東南アジアで越冬する途中に、栄養補給と休息のために訪れます。
いずれにしても長旅で、前回はその一人旅に、今回は団体旅行に遭遇したということのようです。人間の場合、一人旅なら気ままで自由な時間が過ごせますし、団体旅行ならワイワイガヤガヤ仲間と楽しく過ごせます。鳥たちも、それぞれのスタイルの旅を楽しんでいるのでしょうね。
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一人旅

2024年08月29日 | 野鳥
シギ・チドリ観察のために再び干拓地に出かけました。前回は目ぼしい鳥に出会えなかったのですが、今回は期待していた鳥が見られました。
まず、ムナグロ。この鳥はいつも飛来する場所が決まっていて、今年もいつものエリアにいました。ただ、例年は20~30羽の群れでいるのに、今年は1羽だけでした。



前回発見した新しい休耕田でコチドリを撮影していると、画面の奥に別の鳥がいました。トウネンです。この鳥もいつもは5~6羽の小群でチョロチョロしていますが、このときは1羽のみ。



3時間ほど回った後、「そろそろ帰ろうかな」とバイクを走らせると、横のネギ畑から鳥が飛び出して向かいの休耕田に着地しました。飛ぶ形を見て「ツバメチドリかな」と推測したら、そのとおりでした。結構珍しい鳥で、昨年は見られましたが、その前は6年間見ていませんでした。



頭を小刻みに上下させるのが、この鳥の特徴的なしぐさ。このツバメチドリも複数羽でいることが多いですが、今回は1羽のみ。
3種類とも単独でした。先遣隊として飛来したのか、孤独が好きな一人旅のシギ・チドリなのか…。それを嬉しそうに見ている私も一人旅でした。
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アオアシシギの声

2024年08月22日 | 野鳥
そろそろシギ・チドリ類が渡って来る時期なので、先日近くの干拓地を回ってきました。
水を張った休耕田の畔に、アオアシシギが2羽いました。撮影を始めると1羽が鳴き始めたので、声を収録するべく長回ししました。



繁殖地ではよく鳴くのでしょうが、この時期にシギやチドリはあまり鳴きません。ただ、このアオアシシギだけは時々「キョーキョーキョー」と哀愁を帯びた声で鳴くことがあります。
この声を聞くと思い出す和歌があります。それは西行法師の以下の歌。

心なき身にもあはれは知られけり 鴫立つ沢の秋の夕暮れ

意味は「出家して俗世間の感情は捨てたけれど、秋の夕暮れにシギが飛び立つ沢にいると感傷的になる」。西行がアオアシシギを見たのかどうか不明ですが、上述のように渡りの季節(秋)に日本に立ち寄って鳴くのはアオアシシギの可能性が高いです。
また、聞く人を感傷的にさせる哀しげな声なので、私は西行が見聞した鴫はアオアシシギだと確信しています。こういう推測もバードウォッチングの楽しみの一つでしょう。
その後、広い干拓地をグルグル回りましたが、クサシギとコチドリに遭遇したくらいで、期待した鳥は不在でした。来週に再度訪問するつもりです。
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トランプVSハクトウワシ

2024年08月15日 | 野鳥
アメリカでは次期大統領を目指して、トランプとハリスがデッドヒートを繰り広げています。そのアメリカで話題になった動画があります。2015年に『TIME』誌が、トランプとアメリカの国鳥ハクトウワシの2ショットを撮影した際の映像で、いつもは強気の発言を繰り返すトランプがハクトウワシにタジタジとなっているからです。



その後、トランプは第45代大統領に就任しますが、任期終了前の2019年8月、絶滅危惧種保護法を改悪。この法律は米国の野生生物を保護する最も重要な法律として1973年に成立し、絶滅の危機に瀕する生物のセーフティネットとして機能してきました。ハクトウワシをはじめカリフォルニアコンドル、ハヤブサの保護にも貢献したとされています。
TIME誌の撮影でハクトウワシに威嚇されたことを根に持ったわけではないでしょうが、トランプは採鉱、石油掘削、木材伐採、マンション建設などの際、開発を望む企業に有利になるようにこの法律を変更。例えば、特定の生物が保護に値するかどうかを判断する場合、経済的要因を考慮に入れることが可能になりました。
アメリカでは11月まで激しい選挙戦が展開されますが、ハクトウワシをはじめ無数の野生生物たちは「トランプだけには大統領になってもらいたくない」と思っているでしょう。


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チョウゲンボウは都市鳥?

2024年08月08日 | 野鳥
先日、野鳥の会の過去の資料を読んでいて面白い事実を発見しました。京都支部では40年以上にわたって会員が目撃した鳥の種類を記録していますが、1983~2002年の19年間と2003~2016年の13年間のベスト3が大きく入れ替わっているのです。
以前は1位カワセミ、2位ジョウビタキ、3位ノビタキでしたが、その後は1位イソヒヨドリ、2位チョウゲンボウ、3位ハヤブサと変わっているのです。そして、新ベスト3の前回の順位はイソヒヨドリ33位、チョウゲンボウ69位、ハヤブサ45位。京都市内在住の会員が多いので、市内で目撃する機会が多く、特にチョウゲンボウは大きくジャンプアップしています。
イソヒヨドリについては7月11日の記事「イソヒヨドリ騒動」で、もともと海岸に生息していた鳥が市街地に順応したことをお伝えましたが、チョウゲンボウやハヤブサも同様のようです。チョウゲンボウは以前は冬鳥でしたが、現在は1年中見られますし、京都市内のJR二条駅や中京区のビルで繁殖したこともあります。以下は、12年前に近くで撮影したチョウゲンボウ。



ハヤブサも、近くの公団住宅の空き部屋のベランダで繁殖したようですし、ニューヨークには25つがいが生息していて「世界で最もハヤブサの密度が高い場所」と言われています。本来は海岸や山中の断崖絶壁で繁殖しますが、摩天楼がそれに似ていること、餌となるドバトが多いこと、高層ビル群に発生する上昇気流を利用できることなどから、ハヤブサには良好な環境のようです。チョウゲンボウもハヤブサの仲間なので、都市環境が本来の生息場所に似ているのでしょう。
スズメやツバメ、カラス、ヒヨドリなどを「都市鳥」と呼んでいます。ハシブトガラスやヒヨドリはもともと山の鳥でしたが、市街地に順応して都市鳥になったわけですから、イソヒヨドリやハヤブサ、チョウゲンボウもその仲間入りをしたと考えていいと思います。
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ツバメの群舞

2024年08月01日 | 野鳥
7月下旬から8月上旬、宇治川のヨシ原に数万羽のツバメが集合します。その観察会を約30年担当していますが、最近は参加者が多いので会員向けと一般向けに分けて開催しています。会員向けは先週の日曜日に別の担当者が実施したので、一般向けを次の日曜日に私が案内します。
その下見に昨夕現地へ出かけました。ツバメが集合する時刻は日によって前後しますが、昨日はなぜかいつもより遅く7時15分頃でした。



平日なので他の観察者は3人だけ。そのうちの1人の男性が私に話しかけてきて、職場が宇治なので京都市内に帰宅する前に途中下車して見に来たとのこと。双眼鏡をぶら下げていたので「鳥はよくご覧になるのですか?」と尋ねると、昨年の観察会に参加したらしく、私のことを覚えていてくれました。
さらに話をすると、2022年にお試し会員になったもののコロナでほとんどの探鳥会が中止になって参加できなかったとのこと。その後は一般参加として京都御苑や鴨川の探鳥会に参加されているそうです。
最近、時々探鳥地で、私は知らないのに私のことをご存じの方に出会って、「〇〇の探鳥会でいろいろ教えていただきました」と言われることがあります。長い間あちこちで探鳥会を担当していると、こういうことが増えます。ありがたいことです。
日曜日は何人が参加されるかな?
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シギ・チドリ観察の準備

2024年07月25日 | 野鳥
猛暑の中、近くの干拓地に出かけました。シギ・チドリの渡りがもうすぐ始まるので、鳥が集まる休耕田の位置を確認するのが主な目的です。
ここ10年ほど毎年休耕田になっているポイントに行くと、コチドリの家族が4羽チョロチョロと採餌していました。色の薄いのは幼鳥です。



コチドリは一応夏鳥で、この干拓地では繁殖もしています。一部は越冬するようで、地域によっては留鳥ということになります。別の休耕田にも数羽の群れがいました。
しばらく前までは、あちこちから「ギョギョシ、ギョギョシ」というオオヨシキリの声が聞こえていましたが、繁殖も完了したようで、この日は声も姿も確認できませんでした。以下は5月に撮影したオオヨシキリ。



この干拓地では水田が減ってネギ畑が増えましたが、トウモロコシ畑も増えています。オオヨシキリはそのトウモロコシ畑でも繁殖するようで、穂の上に止まって鳴いている個体を何度か目撃しました。
休耕田は年々少なくなる傾向ですが、今年は昨年並みかな? 8月中旬にはまた暑い中、シギ・チドリを探して干拓地をうろつきます。
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