樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

うれしい異変

2023年03月23日 | 野鳥
この冬は東北地方の日本海側や北陸地方が大雪だった反面、西日本ではそうでもなかったせいか、ガンやカモの渡来状況に異変がありました。当ブログでもご紹介しましたが、久しぶりに丹後でオオハクチョウが越冬しましたし、同じ湖で多数のガン類が確認されました。
国外でも同様のようで、朝鮮半島で雪が多かったのか、例年は半島で越冬することが多いトモエガモが西日本に飛来し、特に九州で大群が目撃され、一般の方が「空に幕があるみたい」と表現したそうです。
その流れは関西にもあったようで、2月末に宇治川上流へ野鳥観察に出かけた際、トモエガモの群れに遭遇しました。数えてみると、約40羽。私はこれまでトモエガモを数羽単位でしか見たことがなく、これほどの群れを見るのは初めて。



宇治川上流の常連であるオシドリ約30羽と混群を形成し、緑色の水面でゆったりしていました。トモエガモとオシドリは食性が似ているのか、同じ水域にいることが多いです。



この観察地点は宇治川渓谷沿いの曲がりくねった道の脇なので車の往来が激しく、ゆっくり見ていられませんが、トモエガモとオシドリの大群にしばし魂を奪われておりました。
北陸や東北の方々にとっては厳しい異変の冬だったでしょうが、コウライアイサ、オオハクチョウ、トモエガモの群れなどが見られた私にとってはうれしい異変の冬でした。
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運が良いのか悪いのか

2023年03月16日 | 野鳥
私はもともと運がいい方ではなく、どちらかといえば幸運の神様に見放されていますが、最近はなぜか鳥運がいいようです。私が担当する宇治の探鳥会では12月にコウライアイサが、1月にはトモエガモの雄が出現して参加者に喜んでいただいたのに加え、3月4日の探鳥会では最後にキレンジャクが登場。参加者は解散後もしばらく釘付けになっていました。
そろそろ集まり始めたようなので、翌週に一人でレンジャク探しに出かけました。探鳥会とは別の場所でヒレンジャクを発見してしばらく見ていると、10数羽が飛び立って対岸に移動しました。追いかけていくと、ソメイヨシノに着床したヤドリギの実を食べては上の枝に止まるという行動を繰り返しています。



じっくり堪能した後、以前から探し続けているベニマシコを求めて、5kmほど離れた池へ出向きました。今回で5回目。別の場所へもベニマシコを狙っても出かけたので、計7~8回になりますが、ことごとくフラれています。
今回も1時間ほどねばったものの、結局現れませんでした。代わりにカワセミがいいところに出てくれたので撮ってきました。



ヒレンジャクとベニマシコ、2種類の赤い鳥を追い掛けたものの、結局赤い鳥と青い鳥が1種ずつという結果になりました。冒頭に「鳥運がいい」と書きましたが、探鳥会では運がいいものの、単独ではやはり神様に見放されているようです。
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温泉と鳥見

2023年03月09日 | 野鳥
府民割を利用して昨年は4月と8月の2回故郷の丹後へ帰り、妻は温泉、私は鳥見を楽しみましたが、2月の末にも1泊2日で出かけてきました。京丹後市にいろいろな冬鳥が飛来しているという情報を得ていたので、本当はもっと早く行きたかったのですが、珍しく仕事が入って遅くなってしまいました。
まずは、マガンやヒシクイの大群、トモエガモの群れ、オオハクチョウ、コウノトリがいるという京丹後市の離湖へ…。しかし、やはり遅かったようで、ガン類やトモエガモ、コウノトリの姿はありません。でも、オオハクチョウが残っていました。



20年ほど前までは久美浜で越冬していましたが、それが途絶えて以降はごくまれに記録される程度で、私自身は京都府内でオオハクチョウを見るのは約30年ぶり。京都府では絶滅寸前種に指定されています。2019年に野鳥の会の研修会で仙台に行った際、伊豆沼へ足を延ばして30羽ほどのオオハクチョウを観察して以来の再会です。
そういう目で見るからでしょうが、やはりオオハクチョウはコハクチョウよりも優雅ですね。動きがゆったりしていて、威厳があります。
2日目は丹後の海岸を回って海鳥を探しました。目当てのクロサギは発見できなかったものの、ヒメウが比較的近い距離で観察できました。前半は城島公園で強い海風にあおられながら撮影したもの、後半は間人漁港の橋の上から撮影したものです。



この鳥も京都府では準絶滅寸前種。普段は海岸から離れた島や消波ブロックにいることが多く、近くで見る機会が少ないですが、今回は海が荒れていたせいか漁港に入ってきたようです。
このほか、ガンカモ調査で1月に行った阿蘇海では、離湖から移動してきたと思われるヒシクイ3羽、ここでは初めてみるシロチドリ3羽が見られました。丹後はやっぱり冬の方が面白いです。
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まっ、いいか。

2023年03月02日 | 野鳥
久しぶりに奈良の平城宮跡へ行ってきました。
第一の目当てはアリスイ。2017年3月の探鳥会で出現したものの翌年は見られず、その後の単独行でも確認できなかったので、もう渡来しなくなったのかなと諦めていましたが、今季は2羽いるという情報をキャッチしたので出かけました。
現地に到着し、双眼鏡やカメラをセットし終わると、そのアリスイがすぐに出現しました。ラッキー! こんなこともあるんですね。だからやめられない。



その後、第二の目当てであるクイナやヒクイナを探して湿地を3~4回まわりましたが現れません。代わりに、バンの若鳥が登場しました。そういえば最近この鳥は全国的に減少したため、昨年環境省が狩猟鳥獣の指定を解除しました。
私自身も久しぶりの遭遇で、クイナやヒクイナには出会えなかったものの、予想外のバンは嬉しかった。平城宮跡から1kmほど離れた水上池でも泳ぐバンを見つけました。



湿地で鳥を探していると、高齢のフォトグラファーが「朱雀門のヨシ原にベニマシコがいますよ」と教えてくれました。その赤い鳥を探して家の近くの池や宇治川へ何度か出向いたものの、ことごとくフラれていたので早速朱雀門へ移動しました。
ところが、30分ほど探してもベニマシコが見当たりません。ヨシの茎を動かす鳥がいるので、双眼鏡で確認するとオオジュリン。ベニマシコほど珍しくないですが、今季まだ見ていなかったので「まっ、いいか」と満足しました。



そして、トモエガモを期待して平城宮跡の北にある佐紀池へ。2017年の探鳥会でも出現し、参加者に喜んでいただきましたし、その後の単独行でも確認していたからです。
しかし、トモエガモの姿がありません。代わりに、ミコアイサの雄が1羽泳いでいました。もともとこの池には雌はたくさんいますが、雄を見るのは初めて。しかも、雌雄が仲良くランデブーしてくれました。



アリスイはすぐに現れましたが、以降は期待した鳥の代わりに予想外の鳥に出会えました。目当ての鳥ではなかったものの、「ま、いいか」と納得できる奈良行でした。
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府立植物園と京都御苑

2023年02月23日 | 野鳥
1月末の京都御苑探鳥会をピンチヒッターで担当したのに続いて2月12日にも担当するので、前日に下見に行きました。ほとんど同じ時期なので下見をする必要はないのですが、やはり鳥の状況を確認しておかないと、みなさんを案内する際に不安なので。
どうせ京都市内に出るならと、午前中に府立植物園を、午後に京都御苑を訪れました。植物園は今季初めて。目当ては、ルリビタキの雄成鳥とトラツグミ。その青い小鳥が一瞬見えた場所でしばらく粘っていると、ルリビタキではなくトラツグミが現れました。ところが、入園者が近づいてきたので地面から飛び立ち、私がいる場所の樹上に止まりました。



ということは、トラツグミは入園者は警戒したものの私は警戒しなかったということ? そう思うと嬉しかった。冬季に鳥を見に行くときは、背景に溶け込むように茶色のコートと緑色のニットキャップを着用しますが、その効果が表れたのでしょうか。
午後の京都御苑は鳥が少なく、参加者に見てもらいたい鳥が現れませんでした。いつもの場所にいるジョウビタキの雌だけが、今回も愛想を振りまいてくれました。



本番当日、予想通り、いつも見られるイカルやアトリの大群も、1月末の探鳥会に出現したミヤマホオジロもいません。でも、最後にトラツグミとアカハラが登場し、参加者全員がじっくり見て喜んでおられたので、胸をなでおろしました。
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受託探鳥会

2023年02月16日 | 野鳥
野鳥の会の探鳥会ではなく、外部の団体から依頼されて探鳥会を実施することがあります。ここ数年はコロナで中止するケースが多かったのですが、先日久しぶりにある施設の受託探鳥会を担当しました。以下の動画は、その下見の際に撮影したものです。
まず、河川敷でジョウビタキの雌が愛想を振りまいてくれました。この鳥はあまり人を恐れず、次々と止まる位置を変えて道案内してくれます。ヒタキ類は目や挙動が可愛いので、ついつい引き込まれます。



川を覗くと、小さな中州でイカルが水浴びしていました。そのまま歩いて行くと、地上に鳥の大群が…。私を警戒して一旦は飛び上がって樹上に退避しましたが、しばらく止まって待っていると、再び地面に降りて餌を食べ始めました。思った通り、イカルの大群です。



何を食べていたのだろうとその場所で確認すると、あたり一面にエノキの枯れ葉や種子の殻が散乱していました。イカルは果実よりも、ペンチのような太い嘴で種子を割って食べるので、エノキの種を食べていたようです。この河畔林にはエノキが多いので、イカルにとっては大切なレストランなのでしょう。
さらに歩いていくと、大きな鳥が木に止まったので、双眼鏡で確認するとノスリ。ここでは毎年1~2羽が越冬しますが、樹上の姿を至近距離で見るのは初めてです。



本番では、4人の子供を含めて参加者は12名。支部の双眼鏡を貸し出し、その使い方を説明してから探鳥会を始めました。川に浮かぶカモ類をはじめ、ミサゴ、ノスリに加えて想定外のチョウゲンボウとハヤブサが登場し、みなさん満足していただけたようです。
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冬の貴婦人を探しに

2023年02月09日 | 野鳥
先週、「久しぶりにタゲリでも見に行こう」と少し離れたところにある農耕地に出向きました。最近は数が減っている上に、生息場所を変えたという情報があるので、「ひょっとすると会えないかもしれない」と思いながら。
この農耕地には溜池が3つあって、その1つにヨシガモが11羽いました。普段は水に浮かんでいることが多いですが、水が抜かれた底地をヒョコヒョコ歩いていました。陸地を歩くヨシガモは珍しい。



3つ目の溜池にはタシギがいました。最初は1羽でしたが、時間が経つとともに数が増え、結局6
羽。それぞれ無心に餌を食べています。



この探鳥地にはノスリがいるはずなので、溜池の南エリアを歩いて探すと、予想通り電線に止まっていました。その後、電波塔へ移動したので、ゆっくり近づいてカメラを回しました。



目当てのタゲリが見つからないので、「やっぱり場所を変えたのかな」と諦めかけたとき、西の方から3羽が飛来し、いつもの田んぼに舞い降りました。「冬の貴婦人」という別名どおり、メタリックカラーの豪華な体色で、挙動もゆったりしています。



そのほか、溜池ではコチドリやタヒバリ、藪ではカシラダカ、田んぼの電柱ではチョウゲンボウなどが見られて、存分に楽しめました。
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雪の御苑で鳥探し

2023年02月02日 | 野鳥
1月末の京都御苑探鳥会を急きょ私が担当することになったので、先週、雪がよく降った次の日に下見に行きました。苑内はまだあちこちに雪が残り、大きなツララも下がっています。





雪の上には餌がないので、地上採餌型の鳥は困っているだろうなと思いきや、シロハラはいつもどおり元気に餌を捕っていました。草の実や小さな虫を探して食べているようです。



1月2日の京都御苑新春探鳥会に副担当として参加した際にミヤマホオジロが現れたので、そのポイントでしばらく待っていると、期待通り現れました。ホオジロ類は植物食なので、雪のない道に落ちた小さな木や草の実を食べているようです。雪はやんでいますが、葉っぱに残った雪が時々落ちてきます。



ビンズイも雪のない草むらで小さな虫や草の実を探して食べています。この鳥も典型的な地上採餌型ですが、全面雪に覆われたときはどうしていたのでしょう。



地中のミミズを引っ張り出して食べるトラツグミはどうしているのかな?と思って探しましたが、結局発見できませんでした。その代わり、同じツグミ類のアカハラが登場。ここでアカハラを見るのは初めてなので、小さな驚きでした。



本番の探鳥会ではミヤマホオジロやアカハラは出現しなかったものの、アオゲラをじっくり見ることができました。特に初心者の会員は大喜び。そんな参加者の笑顔を見ると、下見や準備の苦労は忘れます。

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鳥の名の色

2023年01月26日 | 野鳥
色の名前に鳥が登場します。例えば、『君のひとみは10000ボルト』という歌の出だしは「鳶(とび)色のひとみに誘惑のかげり…」。この鳶色は実際のトビの羽色よりも少し赤みが強い茶褐色。江戸時代初期から茶色を代表する色として、主に男性に愛用されてきたそうです。現在は、上の歌詞のように目や髪の色を表現する際に使われることが多いです。

 

鶸(ひわ)色は、マヒワの羽衣に似た黄色みの強い明るい萌黄(もえぎ)色。鎌倉時代の武士の礼服・狩衣(かりぎぬ)について書かれた『布衣記(ほいき)』に登場するので、鎌倉以降の色名のようです。緑が強くなると鶸萌黄、さらに緑がかると萌黄色、茶色が加わると鶸茶と呼ばれます。

 

紅鶸(べにひわ)色という色もあります。ベニヒワの頭頂に例えた色で、わずかに紫みをおびた明るい紅色。現在も帯締めなど和装小物の色として人気があるそうです。

 

鴨の羽色という色名もあって、マガモの頭部からの命名のようです。この色名の出典は古く、『万葉集』に「水鳥の鴨の羽色の青馬を今日見る人はかぎりなしといふ」という大伴家持の歌があるそうです。

 

このほかに、朱鷺(とき)色、ハトに由来する鳩羽(はとば)色や山鳩色という色名もあります。最も広く知られているのは鶯色でしょうが、これはウグイスではなくメジロの色だろうというのがバードウォッチャーの常識です。

※1 色の出典は「伝統色のいろは」
※2 鳥の写真はpixabayより
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カモが増えたわけ

2023年01月19日 | 野鳥
丹後の阿蘇海に続いて、先週はガンカモ調査のために淀競馬場と木幡池へ行ってきました。淀競馬場は現在建て替え中で、2年前から工事のため閉鎖されていますが、特別に中へ入れていただいて調査しています。
2年前はまだクレーンがニョキニョキ立っていましたが、今年はスタンドもほぼ完成しており、現在はその内装工事やコースの整備が行われているようです。リニューアルオープンは4月22日とのこと。


2年前(2021年)の調査


今年の調査

カモ類はなぜか種類が増えていて、珍しくミコアイサの雄が2羽、メスが3羽いました。数も昨年の1.5倍。阿蘇海でも数が増えていましたし、木幡池も昨年の2倍でした。
宮城県でも過去最高を記録したようで、東北の日本海側や北陸が豪雪に見舞われたので、カモ類が太平洋側に移動したのではないかと推測されています。京都府ではまだ総数が集計されていませんが、多分、同じ理由で南へ移動した分が増えていると思います。
木幡池でも久しぶりにミコアイサを確認しました。下は年末に撮影した動画ですが、雌が1羽のんびりと水に浮いていました。



この池の常連、ハシビロガモも元気に採餌していました。名前のとおり、幅広いくちばしを水面につけて泳ぎ、ブラシ状の突起でプランクトンなどの餌をで濃し取って食べています。



カモ類は増えましたが、小鳥類は少ないようです。「今年はツグミが少ない」という声を聞きますし、宇治周辺や京都御苑での私の実感も同様です。北陸や東北の日本海側の豪雪が小鳥類には影響しなかったということでしょうか?
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