今年は栃の森を訪れる度に花のピークに遭遇します。前々回はミズキ、前回はツルアジサイ、そして今回(7月10日)はイワガラミが満開でした。
9年前、静岡県に鳥見ツアーに出かけた際、名前のとおり岩に絡んでいるのを見たことがありますが、栃の森ではほとんどの場合木に絡んでいます。その姿がツルアジサイとよく似ていているので遠目では区別できませんが、ツルアジサイは花弁(装飾花)が4枚に対してイワガラミは1枚。開花時期も少し遅れます。
イワガラミ
イワガラミが満開の栃の森を出てキャンプサイトまでの林道で、ヤマナラシの葉が風にそよいでいる光景に出会いました。ヤマナラシの葉は微風でもヒラヒラそよぎます。動画で隣のミズメの葉の動きと比較しながら撮ってみました。
ヤマナラシの葉柄(葉と枝をつなぐ軸)は長くて、断面が上下方向に楕円形なので、わずかな風でも左右に揺れます。その葉と葉がぶつかって「カラカラ」と音を立てるので、「山鳴らし」と名づけられたそうです。
「岩絡み」にしても「山鳴らし」にしても、昔の人の命名のセンスには脱帽します。私も仕事で商品のネーミングを考えることがありますが、こういう観察眼から生まれる命名には説得力があります。
その一方、ヤマナラシと比較したミズメの別名は「ヨグソミネバリ(夜糞峰榛)」。その由来は不明ですが、枝の皮をはぐと漂うサロンパスの臭いが昔の人には悪臭だったのかも知れません。
この手の命名としては、草本にも「ヘクソカズラ(屁糞鬘)」とか「オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)」があります。上品系・下品系いずれにしても、そのネーミングの着想や言葉の力に私は面白味を感じます。