樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

浦島太郎の皺

2006年08月22日 | 伝説の樹
先週、お盆休みで故郷の丹後(京都府北部)に帰ってきました。7、8年前から、実家に世話をかけないためと、こちらもリゾート気分を味わうため、近くにある宿泊施設を利用しています。
その一つ「宇川温泉・よし野の里」の近くに、「皺榎(しわえのき)」という伝説の樹があるので見てきました。

         

網野町(現在は合併して「京丹後市」)という漁村に、銚子山古墳という小高い山があります。登ると、墓地や果樹畑の間に写真のようなエノキの古木が立っていました。
一見、マダガスカル島にあるバオバブの樹のような面白い樹形です。柵の中の石碑には、次のように書いてあります。
「ここは浦島太郎の終焉の地で、太郎の館の跡という説がある。玉手箱を開けてたちまち老翁になった太郎が、驚愕のあまり、その顔の皺をはぎ取ってこの樹に投げつけた。それ以来、この榎は醜い皺だらけの樹皮になった、という民話が伝承されている」。

      
      (確かにシワだらけの樹皮です)

丹後地方には古墳がたくさん残っていて、考古学を専攻していた知人が愛知県からわざわざ訪ねてきたこともあります。私も幼い頃、田んぼや畑でよく土器の破片を見つけました。
また、海岸の漁村には浦島太郎伝説があちこちに残っています。この皺榎から少し離れた町には浦島神社があり、亀の甲羅が飾ってあります。

もちろん、人間の顔のシワが樹皮になる訳がなく、エノキの老木にはよくこんなシワが出ます。また、どう見ても樹齢が浦島太郎の時代と合いません。この樹のシワを見た誰かが創作したのでしょうが、それにしても人間の想像力って面白いですね。
なお、「宇川温泉・吉野の里」は木づくりの温泉施設で、こじんまりした木造の宿泊施設やリーズナブルな値段のレストランがあってオススメです。私たちは4、5年連続して利用しています。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする