樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

来た!来た!来た!

2023年08月31日 | 野鳥
相変わらず、猛暑の中シギ・チドリ観察に出かけています。その7回目となる月曜日、ようやく大物に出会いました。セイタカシギです。



いつもどおりのルートで湛水休耕田を巡っていると、あまり期待していない場所に2羽…。多分、ペアだと思います。
やはり、ここの干拓地のシギ・チドリ観察ではこの鳥がいないと様になりません。いつ見ても、優雅で美しく、魅了されます。他には誰もおらず、独り占め。じっくり心ゆくまで、鳥と時間を共有することができました。
8回目の昨日は、少し離れた休耕田に3羽いました。いよいよ来たな! という手ごたえです。
しかも、ツバメチドリにも遭遇しました。京都府のレッドデータブックでは、セイタカシギは準絶滅危惧種ですが、ツバメチドリは絶滅危惧種。私自身も6年ぶりの出会いです。



セイタカシギは湛水休耕田にいますが、ツバメチドリはやや乾いた休耕田にいることが多いです。この鳥も、8回目の昨日は1羽増えて2羽になっていました。
こういう出会いがあるので、猛暑の中、日焼けしたり、ほこりまみれになってもシギ・チドリ観察がやめられません。
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チドリの群れ

2023年08月24日 | 野鳥
猛暑の中、3日に1度の頻度で近くの干拓地にシギ・チドリ観察に出かけています。渡来する種類や数がまだ少なくて、これまで6回のうち、一度もカメラを回さなかった日が2回もありました。
昨日はようやくムナグロを撮影することができました。この鳥はいつもやってくる場所が決まっているのですが、今年はすこし離れた休耕田に滞在中。全部で15羽いて、以下の動画にはそのうちの11羽が写っていますが、分かりますか?



そこから少し離れた休耕田に、コチドリが30羽ほど群れていました。この鳥は珍しい種類ではないですが、こんなにたくさんいるのを見かけるのは久しぶり。チョコチョコ歩いたり、餌をついばんだり、飛んだり…、コチドリたちの楽園です。見ている方も幸せな気分になります。
ムナグロもチドリの仲間なので、この日はチドリの群れに2度出会ったことになります。コチドリは30羽が写っています。カウントしてみてください。



炎天下、日陰のまったくない干拓地を3~4時間バイクで走り回ると、汗びっしょり、肌真っ黒ですが、まだ見ぬシギ・チドリとの遭遇を想像すると、気持ちはワクワクです。
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プーチンとヘラシギ

2023年08月17日 | 野鳥
昨年「ウクライナの野鳥」を投稿しましたが、プーチンが始めた戦争によって野鳥の生息地や繁殖地が破壊されています。しかも、直接的な被害だけでなく、学術的な調査・研究や希少種の保護にも影響が出ていることのこと。


プーチン(pixabay)

例えば、シベリア沖から太平洋へ移動する渡り鳥の国際的な調査や研究が現在は保留になっています。また、世界規模の動物監視システム(ICARUS)はロシアの国営宇宙機関に依存していますが、2022年3月を以ってデータの共有が終了しました。鳥に発信器を装着し、その移動を記録することで生態を研究することができないのです。
さらに、ロシアへの国際的な送金システムが停止されたため、渡り鳥保護プロジェクトに対する国際援助が制限され、ロシアで繁殖し東南アジアなどへ移動する多くの絶滅危惧種に対する継続的な調査・保護活動が中断されています。
中でも深刻なのはヘラシギ。この鳥はロシア北東部で繁殖し、中国南部や東南アジアの沿岸部で越冬しますが、現在の生息数は300羽未満。国際自然保護連合のレッドリストでは、最も絶滅に近い絶滅危惧IA類にランクされています。時々日本を通過しますが、私もまだお目にかかったことがありません。


嘴がヘラのような形のヘラシギ(Public Domain)

その絶滅を防ぐため、2012年からツンドラにある野生の巣から卵を集め、人工孵化して飼育し、足環を付けて放鳥するという取り組みが行われてきました。2021年までに237羽の幼鳥が放鳥されたそうです。
ところが、ウクライナ侵攻以来、他国からの協力者の渡航や、このプロジェクトが依存しているロシアへの国際資金の送金ができないため、現在はヘラシギの保護活動が中止されています。この戦争によって、ヘラシギが絶滅する可能性が高まっているのです。
いろんな意味で、戦争は最大の環境破壊ですね。
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シギ・チドリの季節到来

2023年08月10日 | 野鳥
連日35℃以上の猛暑日が続いておりますが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。「危険な暑さなので、不要不急の外出は控えてください」とテレビのアナウンサーは言いますが、今年もシギ・チドリの季節がやってきたので、昨日、近くの干拓地へ観察に出かけました。
日陰がほとんどないだだっ広い農耕地なので、日焼け止めクリームを塗りたくり、水分をたくさん持ち、念のため氷を包んだタオルをジップロックに入れ、観察中に使う日よけ帽子を持ってバイクで出かけます。
鳥が羽を休められる休耕田がどれくらいあるかを確認するのが主な目的でしたが、早速、アオアシシギを見つけました。休耕田に5羽、川に3羽、別の休耕田に2羽、合計10羽。この鳥はシーズン中、ずーっといるはずです。



予想通りコチドリもいました。この鳥もシーズン中、結構な数が見られるでしょう。



白いサギやケリがたくさん集まっている休耕田へ近づくと、ほとんどが飛び去りましたが、1羽だけシギが残りました。アオアシシギかなと思いきや、クサシギ。警戒心が弱いのか、他の鳥がいなくなった休耕田で1羽だけ採餌を続けています。



今年の夏は特に暑いので干拓地へ出るのに少し勇気が要りますが、「想定外のシギ・チドリに出会うかも知れない」という期待が膨らむので、例年どおり“不要不急”の野鳥観察に出かけることになると思います。
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奈良でツバメ観察

2023年08月03日 | 野鳥
今週の日曜日、久しぶりに宇治川で一般向けのツバメの群舞観察会を担当します。昨年は雨で、2021年と2020年はコロナで中止になったので4年ぶり。
すでに下見を済ませ、例年通りの数が来ていることを確認したので、他府県の様子を見ておこうと思って、昨日、奈良の平城宮跡へ行ってきました。冬鳥観察にはほぼ毎年行きますが、夏に行くのは初めて。
広大な公園内にはツバメのねぐらになるヨシ原があちこちに広がっていて、群舞が見られるポイントが3カ所あるようですが、とりあえず大極殿近くに陣取りました。



ここでは日本野鳥の会奈良県支部が毎日カウント調査をやっていて、ピーク時は5~6万羽と発表されているので、以前から気になっていました。宇治川は2~3万羽なので、その倍。ただ、私が見た感じでは宇治川と同じく2~3万羽のようです。
バードウォッチャーの間では「ツバメのねぐら入り」と言いますが、一般の方には理解しにくいので、私は「ツバメの群舞」とか「ツバメの乱舞」と呼んでいます。初めてご覧になる方は一様に「スゴ~い!」と感動されますし、案内する方も、他の探鳥会のように当たりはずれがなく、この時期に行けば必ず大群に遭遇できるので安心して実施できます。
平城宮跡では、双眼鏡もカメラも持たない、つまり一般の観客が70~80名もいました。ちょっとした観光ポイントになっているようです。
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