樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

鳥の名の色

2023年01月26日 | 野鳥
色の名前に鳥が登場します。例えば、『君のひとみは10000ボルト』という歌の出だしは「鳶(とび)色のひとみに誘惑のかげり…」。この鳶色は実際のトビの羽色よりも少し赤みが強い茶褐色。江戸時代初期から茶色を代表する色として、主に男性に愛用されてきたそうです。現在は、上の歌詞のように目や髪の色を表現する際に使われることが多いです。

 

鶸(ひわ)色は、マヒワの羽衣に似た黄色みの強い明るい萌黄(もえぎ)色。鎌倉時代の武士の礼服・狩衣(かりぎぬ)について書かれた『布衣記(ほいき)』に登場するので、鎌倉以降の色名のようです。緑が強くなると鶸萌黄、さらに緑がかると萌黄色、茶色が加わると鶸茶と呼ばれます。

 

紅鶸(べにひわ)色という色もあります。ベニヒワの頭頂に例えた色で、わずかに紫みをおびた明るい紅色。現在も帯締めなど和装小物の色として人気があるそうです。

 

鴨の羽色という色名もあって、マガモの頭部からの命名のようです。この色名の出典は古く、『万葉集』に「水鳥の鴨の羽色の青馬を今日見る人はかぎりなしといふ」という大伴家持の歌があるそうです。

 

このほかに、朱鷺(とき)色、ハトに由来する鳩羽(はとば)色や山鳩色という色名もあります。最も広く知られているのは鶯色でしょうが、これはウグイスではなくメジロの色だろうというのがバードウォッチャーの常識です。

※1 色の出典は「伝統色のいろは」
※2 鳥の写真はpixabayより
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カモが増えたわけ

2023年01月19日 | 野鳥
丹後の阿蘇海に続いて、先週はガンカモ調査のために淀競馬場と木幡池へ行ってきました。淀競馬場は現在建て替え中で、2年前から工事のため閉鎖されていますが、特別に中へ入れていただいて調査しています。
2年前はまだクレーンがニョキニョキ立っていましたが、今年はスタンドもほぼ完成しており、現在はその内装工事やコースの整備が行われているようです。リニューアルオープンは4月22日とのこと。


2年前(2021年)の調査


今年の調査

カモ類はなぜか種類が増えていて、珍しくミコアイサの雄が2羽、メスが3羽いました。数も昨年の1.5倍。阿蘇海でも数が増えていましたし、木幡池も昨年の2倍でした。
宮城県でも過去最高を記録したようで、東北の日本海側や北陸が豪雪に見舞われたので、カモ類が太平洋側に移動したのではないかと推測されています。京都府ではまだ総数が集計されていませんが、多分、同じ理由で南へ移動した分が増えていると思います。
木幡池でも久しぶりにミコアイサを確認しました。下は年末に撮影した動画ですが、雌が1羽のんびりと水に浮いていました。



この池の常連、ハシビロガモも元気に採餌していました。名前のとおり、幅広いくちばしを水面につけて泳ぎ、ブラシ状の突起でプランクトンなどの餌をで濃し取って食べています。



カモ類は増えましたが、小鳥類は少ないようです。「今年はツグミが少ない」という声を聞きますし、宇治周辺や京都御苑での私の実感も同様です。北陸や東北の日本海側の豪雪が小鳥類には影響しなかったということでしょうか?
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ガンカモ調査

2023年01月12日 | 野鳥
例年どおり、今年も阿蘇海と丹後半島へガンカモ調査に行ってきました。この時期の丹後は雨か雪の日が多く、しかも委託元の京都府から調査期間を限定(今年は1月8日~15日)されている上に、私はもう1つ別の調査チームにも加わっているので、いつも同行メンバーの日程調整に苦労しますが、今年は予定通り9日に実施できました。
阿蘇海では毎年コハクチョウが越冬しますが、過去2年間は奥の農耕地で採餌していたらしく記録できませんでした。今年はしっかり2羽を確認。ハクチョウ類はペアを一生継続するので、毎年同じ雄と雌が飛来しているのだと思います。3年前は幼鳥を1羽連れていましたが、もう独立したのでしょう。



天気が良くて暖かいので、メンバー3人そろって海岸で昼食をとっていると、すぐ近くにハジロカイツブリが現れました。食事を中断して撮影したのが以下の動画。赤い目が特徴で、丹後の海では時々見られますが、京都府南部で目にする機会は少ない鳥です。ホオジロガモも3羽潜水したり泳いだりしていました。



帰宅後に集計すると、阿蘇海では昨年よりもカモ類が増えていましたが、丹後半島の東海岸~伊根町では逆に減っていました。ただ、日置の海岸でシノリガモを確認。少し遠かったものの、久しぶりにシノリガモに出会うことができました。
いつもどおり、調査終了後に伊根町の舟屋の里公園で休憩し、下の写真を撮ったころから雨が降り出しました。



丹後は私の故郷で、昔から「弁当忘れても傘忘れるな」と教えられてきました。今回、雨具は持参しませんでしたが、ラッキーなことに雨に濡れずに調査を完了できました。しかも、スムーズに進んで、いつもは京都市内に帰ってくる頃は暗くなっていますが、今回は明るいうちに帰還できました。逆に、今度の週末は淀競馬場と木幡池の調査ですが、天気が怪しいので心配です。
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京都府初記録

2023年01月05日 | 野鳥
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて、ちょうど1カ月前、支部の会員から「八幡市の池にソリハシセイタカシギがいる」という連絡をいただきました。事実なら京都府初記録で、支部として確認しておく必要があるので現地へ出向きました。
バードウォッチャーの間では「ソリハシセイタカシギ」よりも「アボセット」という英名で呼ばれることの方が多いこの鳥は、泳ぐこともできるようで、下の動画でもその様子が見られます。



珍しいだけでなく美しいので、シギ・チドリのファンにとっては“あこがれの鳥”。知り合いのシギ・チドリファンは自転車で1時間半走って観察に出かけたそうです。
私自身も長い間見られなかったのですが、昨年の3月に遠征した有明海でようやく対面を果たしました。以前ご紹介しましたが、そのときの動画が以下です。



情報が拡散しないように当ブログでの公開をしばらく控えていましたが、すでに飛去したようなので、年を越してからご紹介しました。昨年は、希少なこの鳥に九州と地元で2回出会ったことになります。しかも昨年は、すでにご紹介したようにコウライアイサも発見しました。私にとってはラッキーな年だったわけです。
今年も鳥運のいい1年でありますように。
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