樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

栴檀木橋

2008年02月29日 | 伝説の樹
大阪の中心部に三休橋筋という通りがあります。ここの街路樹は現在はトウカエデですが、電線地中化と歩道拡幅を機会にセンダンに切り替えられるそうです。
理由は、通りの北端に栴檀木橋(せんだんのきばし)という橋があるから。この橋は江戸時代初期、中之島の蔵屋敷に渡るために架けられたもので、橋のたもとにセンダンの大木があったためにこの名前になったそうです。現在、橋の南詰にセンダンが立っていますが、大きさから推測すると近代以後に植えられたものでしょう。
この界隈にオフィスを置く都市計画や建築関係の人たちが集まり、こうした由来を生かして街路樹のリニューアル計画を立てたそうです。

            
            (栴檀木橋の南詰に立つセンダン)

「栴檀は双葉より芳し」の木と誤解されますが、諺のセンダンは香木の白檀(びゃくだん)のことで日本には自生しません。日本産のセンダンはけっこう身近にあって、今の時期は枝先に薄い黄色の実をたくさんつけているので、みなさんもどこかでご覧になっているはずです。
センダンの実は苦く、その成分を活かして駆虫剤に使われるとか。叶内拓哉さんの『野鳥と木の実ハンドブック』にも「不快感を覚えるほど苦い」と書いてありますし、以前、知人が試しに口に入れてすぐに吐き出したのも知っていましたが、どれくらい強烈なのだろうと恐る恐る口に入れてみました。

       
      (木の下に落ちていた実を橋の欄干に集めました。この後、試食)

ところが、意外にも苦味はなく、逆にほのかに甘くて梨のようでした。時期によって味が変るのでしょうか。私が試食したのは落果、知り合いが食べたのは木成りの実だったからかも知れません。
初夏に薄紫の花をつけるので、街路樹としては喜ばれるでしょう。実際、東京の高級住宅地・田園調布にはセンダンの並木道があるそうです。でも、私の知る限り、枝が四方に伸びて樹形が乱れるので、植えた後の管理が大変だろうな~。

       
        (栴檀木橋を渡るとレンガ造りの中之島中央公会堂へ)
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炭と薪とドングリ

2008年02月27日 | 木の材
先日、炭や薪に使われる木のことを考えていて、ハタと気がつきました。
炭のプロフェッショナル、scopsさんには「何を今さら」と笑われるかも知れませんが、炭や薪になる木はすべてブナの仲間なんですね。

       
        (空気浄化やご飯を美味しく炊くために使っている備長炭)

まず、炭。最高級の備長炭はウバメガシというカシで、ブナ科コナラ属の常緑樹。カシ類はいずれも硬くて重く、備長炭を打ち鳴らすと金属のような音がします。
備長炭=ウバメガシと思い込んでいましたが、日向産の備長炭はアラカシだそうです。同じく、ブナ科コナラ属の常緑樹。ウバメガシよりハゼにくくおとなしい炭とのこと。
茶道などに使うのはクヌギの炭。特に大阪の池田炭は、千利休のころからの家元ご愛用だそうです。クヌギも同じくブナ科コナラ属ですが、こちらは落葉樹。このほか、ナラ炭という炭もあって、材料はコナラかミズナラでしょうが、どちらもクヌギと同じくブナ科コナラ属の落葉樹。
以上の炭の知識はscopsさんのHP「いい炭ドットコム」の受け売りです。上の写真の備長炭もここで購入しました。

       
         (近くの農作業小屋にある薪。樹種はクヌギやコナラ)

一方、薪としてよく使われるのはクヌギ、コナラ、ミズナラ、アラカシ、シラカシ、シイで、いずれもブナ科コナラ属かシイ属。しかし、同じブナ科でもクリ属は炭にも薪にも使われません。クリは燃やすとパチパチはじけるらしく、薪ストーブの愛用者woodyowakuさんによると、「いまいち燃えづらい」そうです。
ブナ科以外にもシデ類やクマノミズキ、カナクギノキなどが薪になりますが、1ランク下に扱われるようです。陶器を焼く窯では火力の強いマツが使われます。

       
            (クヌギのドングリは扁平な丸型)

ブナ科のコナラ属やシイ属が炭や薪に利用されるのは、身近な里山に自生する、伐っても更新が早いなどの理由のほかに、火力が強いといった共通の化学的性質があるのでしょう。
この仲間にはもう一つ共通点があって、ドングリが成ること。そして、同じブナ科なのにクリだけはドングリと違うことはみなさんご存知のとおりです。炭と薪とドングリは何か共通の糸で結ばれているのでしょうか。
ちなみに、囲炉裏や火鉢に入れる灰も、クヌギ、ナラ、カシが高級品だそうです。
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WOODTHON

2008年02月25日 | 木と文化
このブログは、暮らしや文化の中にいかに木が溶け込んでいるか、をお伝えしているわけですが、先日ふと、「じゃあ、具体的に自分自身の生活にどれくらい木が入り込んでいるのだろう?」と疑問になりました。
そこで、私の典型的な1日の流れに沿って、木に触れるシーンを記録してみました。題して、WOODTHON(ウッドソン)。以前、日本野鳥の会が、1日に見聞できる鳥の種類数に応じて寄付金を集めるイベントをやっていて、そのタイトルがBIRDとMARATHONを合成したBIRDTHON(バードソン)。その樹木版です。

         

朝起きると、朝食の前に緑茶を飲みながらブログを更新します。宇治に住んでいるからというわけではないですが、お茶が好きでよく飲みます。私が1日の最初にお世話になる木はお茶ですが、みなさんが飲まれるコーヒーも木の恵みですよ。

(朝食のセット、スプーンは竹製。右はコーヒー屋さんでもらったコーヒーの木)

ブログが終ったら、妻といっしょに朝食を食べます。私の定番メニューは、バターと蜂蜜を塗ったトースト、バナナ、ミルク。蜂蜜はトチノキのもの、バナナも木の実、ミルクはパルプで作ったパッケージに入っています。
ついでながら妻はジャムトーストとバナナとコーヒー。この日のジャムのイチジクもコーヒーも木の実。パン皿も昔買ったインドネシア製の木の皿です。

         

朝食の後、散歩に出かけ、大吉山の展望台にあるベンチに寝転がって、宇治市街を見おろしながら足や腰の体操をします。このベンチは多分スギ材でしょう。散歩道にはたくさんの樹木がありますが、目で見るだけのものはカウントしません。


散歩から帰って、午前中にひと仕事かたづけて、お昼はラーメンを食べに行くことが多いです。ラーメンに木は入っていませんが、割り箸とコショウは木。割り箸は多分シラカンバ材の中国製でしょう。コショウの木は見たことないですがツル性だそうです。
代金の紙幣はミツマタやコウゾなど木の皮で作られています。お店がくれる割引券も紙。この店では回収した割引券を注文用のメモに再利用しています。

         
          (guitarbirdさんのブログみたいですね)

ラーメンを食べた後はなぜか甘いものが欲しくなるので、帰りにサーティワンで定番の「ジャモカアーモンドファッジ」を食べます。ここに含まれているチョコレートの原料カカオもアーモンドも木の実です。
長くなるので以下は簡単に記しますが、フローリングなど家の内装材、仕事机をはじめ本棚、食卓、食器棚、ベッドなど家具はすべて木製、夕食の際のお箸やお椀も木です。さらに、トイレットペーパーやティッシュペーパーなどの紙製品、夜寝る時の枕に使われるパンヤも木の恵みです。
「木綿」と書くので衣類に使う綿も木かな?と思って調べたら草本でした。絹は間接的には木の恵みです。いずれにしても衣類は木のハンガーにかけたり、木製のタンスに収納します。
分かりやすく数字で表すために、私が直接手に触れたり口にした木の恵みを1アイテム1点でカウントしたら27ポイントになりました。
みなさんも、WOODTHONをやってみてください。想像以上に木のお世話になっていますよ。
          
      (1日の最後はお風呂で自家製のユズのお世話になりました)
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ビルの森

2008年02月22日 | 街路樹・庭木
大阪の江坂という所に大同生命の本社ビルがあります。この1~2階は巨大なアトリウムになっていて、たくさんの樹が植えてあります。
35年前に建設されたとき、西日本の植生である照葉樹林を屋内に再現するという趣旨で開設されたそうです。施工した竹中工務店のホームページによると「日本初の本格的なアトリウム」で、広さは50m四方、高さ17m。現在は80種、約2,500株の植物が植えてあります。

       
             (屋外のように見えますが屋内です)

このビルの向いに関西初の東急ハンズがオープンした頃、よく買い物帰りに立ち寄りましたが、先日久しぶりにのぞいてきました。
アラカシ、シラカシなどのカシ類、アオキ、ヤツデ、アセビなどの低木類、ツバキやモッコクなど多様な樹木があって、まるでジャングルのよう。照葉樹ばかりではなく、ケヤキなど落葉樹も少し植えてありました。

       
              (この左奥にカフェがあります)

最近はビルの屋上緑化が注目されていますが、30~40年前は室内緑化が主流だったんですね。ある環境系の雑誌によると、今後は壁面緑化が主流になるそうで、イタリアのミラノでは「垂直の森」というプロジェクトが進行中だそうです。
ビルのテラスを利用して4つの壁面に樹を植えれば、少ない敷地面積で効率的に緑化できるというアイデア。横(平面)のものを縦(垂直)にすることで都会の緑を増やし、ヒートアイランドや地球温暖化を防ごうという意図のようです。
しかも、屋上で風力発電、壁面でソーラー発電、さらに雨水も利用するという念の入れようで、2011年には完成するとか。そのうち日本でもどこかのデベロッパーが「垂直の森」を建てるでしょう。やっぱり、森ビルかな?(笑)。
CGですが「垂直の森」の画像はこちらで見られます(海外のサイト)。
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南大門と金剛松

2008年02月20日 | 木と文化
韓国の南大門が放火で焼失しました。国宝第1号だそうですから、日本で言えば法隆寺や姫路城が焼失したくらいの衝撃でしょう。
ニュースを見ながら、防火システムや日本の木造文化財、再建のための建築材などに思いを巡らせていました。
日本の寺社建築の主要材はヒノキですが、韓国ではアカマツです。南大門もほとんどアカマツだったようで、1960年代の補修工事で楼閣全体の約1割の部材を同じアカマツ材で交換したそうです。その時の報告書によると、楼閣の柱の長さは最長で2.98m、直径は最大58.6cmだったとか。
奈良の東大寺にも南大門があります。建築材はほとんどがヒノキでしょう。大きさを競うわけではないですが、こちらの柱は長さ19.17m、直径1.01m。現存する日本の国宝や重要文化財では最も太い柱です。

       
          (東大寺の南大門。金剛力士像でも有名です)

マツは油分が多いので燃えやすいですが、放火されたらヒノキも同じ。日本でも金閣寺が放火で焼失しましたが、建築材はヒノキだったはずです。
韓国の宮殿や寺院に使われるのは東部地域に自生するアカマツで、特に「金剛松」と呼ばれています。幹が真っ直ぐで、硬くて腐りにくく、「生きて千年、死んで(つまり材として)千年」と言われているそうです。
韓国の林野庁がギャラップ社に依頼して「好きな木」を調査したところ、第1位がアカマツで46%。2位のイチョウが8%ですから、ダントツです。日本ならサクラとヒノキを足したくらいの人気です。それだけ韓国の人々はアカマツ(金剛松)を誇りにしているということでしょう。
昨年も光化門という文化財を再建するために、直径56~94cmの金剛松26本が使われたそうです。南大門もおそらく金剛松を使って再建されるはずです。
金剛松の情報はコチラ
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世界の棺材

2008年02月18日 | 木と宗教
以前、私たちが死んだらモミの棺桶であの世に旅立つ、と書きました。昔はコウヤマキ、今はモミが日本の主な棺材ですが、外国ではどうなんでしょう。
インドでは、紀元前3000年の遺跡からヒマラヤスギ製の棺が出土しています。また、ある経典によると、シャカは臨終の際に「私の遺体を香油で洗い、綿布で包み、ビャクダンの棺に入れて荼毘にふせよ」と言ったとか。以来、仏教の伝来とともに中国でもビャクダンの棺が最高級品とされていたようです。

            
  (古代インドで棺に使われたヒマラヤスギ。世界三大公園樹でもあります)

このほか、中国では一般的にはコノテガシワ、キハダ、クスノキなどを、天子の棺には優良材として知られるキササゲを使ったそうです。現在、一般庶民の棺はタブノキ製だとか。
ヨーロッパではミズナラが使われています。昔は北海道のミズナラがたくさんヨーロッパに輸出され、家具や酒樽に使われましたが、一部は最高級の棺にもなったそうです。それぞれの国や時代、宗教や埋葬方法、そして樹木の生育状況によって棺の材料もいろいろですね。

       
  (栃の森のミズナラの巨木。日本のミズナラはヨーロッパで最高級の棺材)
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地球最速の動物

2008年02月15日 | 野鳥
近所に隼上り(はやあがり)という地名があります。古代この周辺には巨大な池があったのですが、そこに生息するカモや水鳥をハヤブサが捕獲して山に持って上がったのがその由来だろうと推測しています。

       
          (隼上りには古代に瓦を焼いていた釜跡があります)

その名残りでしょうか、うちの裏山にはハヤブサが棲みついていて、山崩れの跡のような断崖絶壁で毎年ヒナを育てています。
ハヤブサはこうした山とか海岸の絶壁に巣を作りますが、餌さえあれば自然の中じゃなくてもいいみたいで、都会の断崖絶壁、つまり高層ビルで営巣することがあります。金沢市ではビルの17階で営巣したことがあって、その様子が動画で公開されています。
10年ほど前ニューヨークに行った時も、摩天楼を飛び交うハヤブサが話題になっていました。セントラルパークのハトや小鳥を餌にしていたようです。

       
           (裏山に棲みついているハヤブサ)

ハヤブサは名前の通りスピードが速く、時速180kmという鳥類最速記録を持っています。哺乳類で最も速いと言われるチーターが100km、海で最も速いマグロが160kmだそうですから、地球上で最も速い動物はハヤブサということになります。昔の人の命名は正確ですね。
ところで、鴨とか鶴とか鳥の漢字には「鳥」があるのに、なぜ隼や雀や燕には「鳥」がないのだろうと以前から疑問でした。漢和辞典で調べたら、「隼」の上の字(パソコンでは表示不能)も「鳥」の意味なんだそうです。
そう言えば、雀、雉(キジ)、雁(ガン)も同じつくりですし、雄・雌も元々はニワトリのオス・メスを意味したそうです。「集」も木の上に鳥が群がっているところから生まれた漢字だそうです。
バードウォッチャーのみなさん、ご存知でした? (燕の由来は不明です)
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木の靴

2008年02月13日 | 木の材
昨年、奈良文化財研究所を訪れた際、展示物の中に木靴があるのを見て驚きました。「木靴=オランダ」という固定観念があって、日本のしかも古代の人間が木の靴を履いていたとは思っていなかったからです。
展示品は複製で、樹種の説明もありませんが、私なりにその色や、靴としては軽さや加工のしやすさが求められただろうという根拠から、カツラではないかと推測しました。

       
            (平城京跡から発掘された木靴のレプリカ)

一方、大阪の国立民族博物館にはオランダの木靴が展示してありました。今でもオランダの農家の人たちは木靴を履いているそうです。こちらの樹種はポプラ。軽くて、水が沁み込みにくいので靴には最適の材料のようです。
みなさんも「木靴=オランダ」という固定観念があるでしょうが、イタリアでも木靴を履いていたようです。
1978年のカンヌ映画祭でグランプリに輝いた『木靴の樹』というイタリア映画があります。貧しい農家の父親が息子に木靴を作ってやるために、領主に禁じられていた街路樹のポプラを伐採するというストーリー。この映画の舞台である19世紀末のイタリア北部でもポプラの木靴を履いていたということです。

       
         (国立民族博物館に展示されているオランダの木靴)

この映画を観たいのですが、まだ実現していません。「カンヌ映画祭の頃にテレビで放映してくれないかな~」と心待ちにしています。
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木の計算機

2008年02月11日 | 木の材
小学生の頃、私は苦手だったのでパスしましたが、クラスの友だち何人かはソロバン塾に通っていました。計算機のお陰で不自由はしないものの、今でも暗算の速い人を見ると劣等感を覚えます。ソロバンには全く興味ありませんが、その材料には興味があるので調べてみました。

       
          (材質が分からないくらい使い古されたソロバン)

まず、珠。材料の条件は、①重い、②割れない、③伸縮しない。あまりに重いと速算に不向きなので、ツゲ、カバ(ミズメ)、ヒイラギなどが適しているとか。弾いた時の音や重量感はツゲが最高だそうです。ツゲは櫛や将棋の駒にも使われる高級材です。
一方、枠材の条件は、①色が黒い(珠に集中できるから)、②重い(=動かない)、③珠の弾きや返りを吸収する。具体的には、コクタンやシタンといった唐木、国産材ではイスノキやマカンバ(ダケカンバ)などが使われているようです。イスノキは国産材ではカシ類とともに最も重い木で、水に沈みます。

(イスノキは葉に虫こぶがたくさんできるのが特徴)

ソロバンが苦手な私は、計算もせずにチャカチャカと楽器にして遊んでいました。そう言えば、ソロバンを楽器にしたトニー谷というボードビリアンがいましたっけ。計算には使わなかったでしょうが、最高級のソロバンをあつらえていたんでしょうね。
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エコプロダクト

2008年02月08日 | 木の材
環境がビジネスになるらしく、私のようなところにもエコ関連の仕事が舞い込みます。その参考のために、「エコプロダクツ・デザインコンペ」の発表会を見てきました。協賛企業が提示するテーマに基づいてデザイナーがエコロジー製品を考案し、優秀作品を選ぶというコンクールです。
会場には約30点の試作品が展示してあり、その中に木を使ったものが数点ありました。
一つは、セキスイが開発した人工木材を使った「環境家具」。家屋の解体時に出る廃材や森林整備の際に出る間伐材をチップ化し、接着剤でプレスした材料を家具に使うというテーマです。
材料は、ピーナッツを飴で固めたお菓子のような板。それを組み合わせて、部屋の広さにフレキシブルに対応する棚をつくるというのがデザイナーの意図のようです。
廃材の利用という点ではエコプロダクトですが、固めたチップがそのまま見えるワイルドな表面なので、「家具としては売れないだろうな~」と思いました。

             
           (木材チップを固めた素材を使った「環境家具」)

もう一つも同じく棚。協賛メーカーのアルミ部材と四万十地方のヒノキの集成材を使って、簡単に組み立てられる家具を、という提案です。ネジや工具を使わずに組み立てられるのがポイントで、人工木材の棚よりもこちらの方が商品化しやすいでしょう。
グランプリは、ボックス(外装)はそのまま使い続けて、中身だけアップグレードできる家庭用のプリンター。アイデアとしておもしろいと思ったのは、定形郵便サイズのインクカートリッジ。使い終わったらそのままメーカーに郵送して回収するという意図です。でも、実用化は難しいかな?

       
         (四万十ヒノキの集成材を使ったシンプル構造の棚)

会場は、バブリーな時代に大阪市が3セクで建てた悪名高いATC(アジアトレードセンター)。平日だったことを差し引いても、閑散としていました。市の財政を圧迫しているので、平松・新市長はここに市役所を移転すると公約していましたが、就任後に撤回しました。
ATCを大阪市に進言したのは某有名作家。当時仕事でインタビューしたとき、大阪港の再開発を自慢気に話していました。その先見の明のなさを恥じることなく、後に経済企画庁長官に就任しています。
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