樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

庭の貴賓

2011年02月28日 | 野鳥

「庭にヘンなものが落ちている」と気持悪そうに妻が言うので見に行くと、クロガネモチの木の下に写真のようなものがありました。

 

 半径30cmくらいの黒い塊 

 

すぐにヒヨドリの糞と分かりました。今年の冬ヒヨドリが庭に居ついて、クロガネモチの実をせっせと食べていました。いつも同じ枝に止まっていたので、その糞が1ヵ所に積もって写真のようになったのです。細かい白い粒はクロガネモチの種。 

ヘンなものがもう一つありました。庭の隅に野菜屑や落ち葉を埋めて堆肥を熟成させているのですが、そこに穴が開いています。 

  

 

これもすぐにシロハラの仕業と分かりました。冬日本に渡ってきて、林や公園の地面で葉っぱをひっくり返して虫やミミズを食べる鳥です。堆肥の中にいるミミズを食べていたのでしょう。

わが家の庭でも時々見かけましたが、こんな大きな穴を開けるほど頻繁に来ているとは気づきませんでした。23日後、朝食を食べているとシロハラが畑に降りたので、あわててカメラを持ってきて撮ったのが下の動画。

 

 

双眼鏡でもじっくり観察しましたが、奴らは餌を採るために土や葉をほじくり返すというよりも、ただ遊んでいるだけではないでしょうか。

シロハラを眺めてると、その横にあまり見かけない小鳥が降りてきました。「え?」と思って見ると、何とクロジ!

散歩コースの大吉山には毎年やってきてカメラマンを集めたりしますが、人家の庭にやってくるような鳥ではありません。びっくりするやら嬉しいやら、もちろん動画も撮りましたがトリミングできないので静止画でご紹介します。

 

 

 

アップで見ると草の実のような黒いものを口に入れています。30秒くらいの短い滞在でしたが、私にとっては興奮のひとときでした。

その23日後、2階の部屋の窓を開けると、電線に20羽くらいの小鳥の群れが止まっています。いつものスズメと思いきや、よく見ると後頭部が尖っています。レンジャクだ~!

しかも赤と黄が半々。急いでカメラを持ち出しましたが、曇りで逆光の悪条件なので下のような写真しか撮れませんでした。

 

 

34年前、庭のクロガネモチの実を食べにレンジャクの群れが現れましたが、今年は前述のようにヒヨドリが全部食べてしまったので、お隣の庭で餌を食べては電線に集まっていたようです。

 シロハラは珍しくないですが、クロジ、ヒレンジャク、キレンジャクは庭の来客としてはバードウォッチャーが泣いて喜ぶ貴賓。いや~嬉しかった! また来てくれないかな~

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餌ビジネス

2011年02月24日 | 木と鳥・動物

前回ご紹介したように、久しぶりに動物園に行ってきました。初老のオジサンが一人で場違いな所をウロウロした理由はもう一つあります。 

動物園用の餌として草や木を栽培するビジネスがあると知って、それを確かめるために行ったのでした。 

京都府で唯一つの村・南山城村が三重県と接するあたりにあります。そこに「クローバーリーフ」という小さな会社が4万㎡の牧草地を保有し、草食系の動物が食べる各種の草やコアラ用のユーカリ、パンダ用の竹、さらには水鳥用の水草など30種類もの植物を栽培し、各地の動物園に供給しています。日本で唯一の動物園用餌料会社だそうです。

  

キリンが木の枝をかじっていました 

 

キリンやカモシカはシラカシ、ゾウやクロサイはカシ、サルはトウネズミモチなど動物によって樹種が違うので、圃場にないものは近くの山で入手するそうです。また、同じ動物でも個体によって差があり、京都市動物園のゴリラはドクダミが好物なのに神戸の王子動物園のゴリラは食べないとか、同じカシでも柔らかい葉が好きなゾウと固い葉が好きなゾウがいると言います。

キリンコーナーに行くと、屋外の檻では木の枝をかじっていました。シラカシでしょうか。裏の寝室(?)に行くとトウネズミモチがぶら下げてありました。

  

 キリンの寝室にあったトウネズミモチ

 

この会社はもともと酪農用の牧草を栽培していたものの、安い輸入飼料に押されて行き詰まり、あるきっかけで京都市動物園に牧草を届けたのがこのビジネスの始まり。苦労もあるようで、無農薬栽培なので虫がつかないように管理したり、動物が油の匂いを嫌うので刈り取りも機械ではなく手作業。

 

 

 ゾウの園舎にあった草や木の葉、野菜

 

ワオキツネザルの檻にもシラカシが

 

現在、関西の動物園はもちろん北海道の旭山動物園など全国18の動物園やサーカスに餌を供給しているそうです。

先日、上野動物園に中国から新しいパンダがやってきて、テレビで竹を食べるシーンがよく写し出されます。あの竹もこの会社が納入しているのかも知れません。

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類人猿と木

2011年02月21日 | 木と鳥・動物

チンパンジーの園舎で植樹会が催されるというので、十数年ぶりに京都市動物園に行ってきました。チンパンジーが木の実や葉っぱを食べたり、登って遊んだりできるように、一般市民から樹木の寄附を受け、子どもたちと一緒に植えるという催しです。

食べたり遊んだりするだけでなく、樹木が直射日光や人間の視線を和らげるので、チンパンジーの精神衛生にもいいそうです。(写真はいずれもガラス越しの撮影)

 

チンパンジーの園舎で植樹する参加者

 

樹木には条件があって、高さ50cm以上、耐寒性や耐暑性が強い樹種。さらに、適している樹木として、常緑広葉樹ではヤマモモ、ビワ、ゲッケイジュ、シイ、モチノキ、アオキなどが、落葉広葉樹ではムクノキ,エノキ,ケヤキ,イチジク,アンズ,グミなどがリストアップされています。

こうして並べて見ると、甘い果実が成るものが多いですね。それに応えて、わざわざ園芸店でヤマモモの若木を買ってきたらしく、下げ札をつけたまま持参する参加者もいました。

一方、不向きな樹として、マツ,ヒノキ,スギ,イチイなどの針葉樹、ナンテン,ザクロ,シャクナゲ,イチョウ,クルミ,ウルシなど害のあるもの、ツバキ,サザンカ,チャなど害虫のつきやすいものがブラックリストとして掲げてありました。

針葉樹は手で触ったり、口に入れると痛いからだけでなく、チンパンジーが慣れ親しんだ環境には自生しない樹種だからでしょう。

係員の説明では、当初は動物園内の樹木を抜いて植えていたものの間に合わなくなり、職員の家や実家の樹木を使っても足りなくなったので、一般の寄附を募ったということでした。

昨年はゴリラの園舎で同様の植樹会が行われ、葉を食べるなどゴリラが今も利用しているそうです。

 

園舎の樹の葉を食べるゴリラ

 

当ブログでは一応「木と鳥・動物」というカテゴリーを設けていますが、ほとんどが鳥や虫に関する記事。動物園で樹木がこんなふうに利用されているとは考えもしませんでした。

私の関心は「樹木がいかに人間の生活や文化に貢献しているか」にありますが、類人猿にとっても同じことが言えるわけですね。

 
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野鳥散撮

2011年02月17日 | 野鳥

私の一眼レフには14140mm35mm換算で280mm)のズームレンズがついています。コンデジでは無理だった鳥の撮影にも少しは使えそうなので、散歩の際に時々持ち歩くようになりました。

もっといいカメラや大きなレンズで撮影している方には笑われますが、恥ずかしながらその成果を見てください。画像はすべてトリミングしています。

まず、ジョウビタキのオス。黒い羽に白い斑点があるのでバードウォッチャーは「紋付」に例えます。

 

 

次はアオジ。臆病なヤツで、人間が近づくとすぐに藪に隠れますが、このときは観光客が歩く宇治神社の参道で2羽がチョロチョロしていました。

 

 

宇治川まで歩くと、以前ご紹介したユリカモメやカモなど水鳥がたくさんいます。その周辺に必ずいるのがセグロセキレイ。カメラを持ってじっと座っていると、すぐ近くまで寄ってきました。

 

 

セグロセキレイを撮っていると、すぐ横の石の上に見慣れない鳥が止まり、水を飲んでから飛び去りました。「???」と思ってその方向を見ると、何とヒレンジャク!

34羽ほどが入れ代わり立ち代わりヤドリギの実を食べては、横の枝に止まって納豆のように粘った糞をたらしています。あわててその木のそばに行き、ワクワクしながらシャッターを押し続けました。

そう言えば2年前、この場所に20羽ほどの群れがしばらく滞在して、カメラマンが押し寄せました。数は少ないですが、今回は私一人でじっくり楽しみました。こういう予期せぬ出会いがあるからバードウォッチングは楽しいんですね。

 

 

バードウォッチングを始めた頃、大砲みたいな望遠レンズや三脚を構えている仲間を横目で見ながら、「あの世界には決して入らないようにしよう」と封印しました。重い道具を持ち歩くのはシンドイ、50100万円もする望遠レンズは買えないというのが理由でした。

でも、こうして鳥の写真を撮り始めると望遠レンズが欲しくなります。マズイことに、私のカメラにセットできる100300mm35mm換算で600mm)の、しかも520gという超軽量レンズが、通販なら5万円程度で販売されているのです。

封印が破れそうですが、もう少しカメラの腕を上げてからにします(笑)。

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林業女子会@京都

2011年02月14日 | 森林保護

前回、林業界の女性パワーを取り上げましたが、京都の林業界でいま注目を集めている女性グループがあります。それが「林業女子会@京都」。

女子大生や林業の現場で働く女性、木工作家、薪ストーブ愛好家など約30人が集まり、森林ボランティアや木材利用のPR活動を展開しています。

前回ご紹介したシンポジウムでもスタッフとしてお手伝いされていて、受付でオリジナルのキーホルダーを販売していたので私も買いました。

 

 

シンボルマークはご覧の通りチェーンソー。名前から想像すると、最近はやりの「山ガール」や「森ガール」と混同されそうですが、マークが示すように彼女たちは硬派です。ヘルメットを被って伐採作業をやったり、京都の北山杉をPRするために京大の学園祭で丸太を組み立てたりしています。

先日、待望のフリーペーパーが創刊されたので早速入手しました。表紙には、腰にナタを挿し、手にチェーンソーを持った勇ましい女性が描かれています。

 

 

中の紙面では、紙製品や家具、食器、楽器、お酒、遊び道具、薪ストーブなどを並べて、いかに人間の暮らしに幅広く木が関わっているかを示しています。当ブログのテーマと全く同じです。

 

 

私が女性なら即入会するでしょうが、残念ながら男なので陰の応援団として見守ろうと思います。

多分このグループに刺激されてのことでしょう、岩手県でも県の林業セクションの女子職員が「森のあねっこ@いわて」というグループを結成しました。今後も全国各地で林業女子グループが結成されるのではないでしょうか。期待したいですね。

林業女子会@京都のブログはこちら

森のあねっこ@いわてのブログはこちら

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林業界の女性パワー

2011年02月10日 | 木造建築

民主党政権は「2020年までに木材の自給率50%」という目標を掲げています。現在が25%程度ですから、倍増しようというわけです。雇用対策という側面もあって、林業を成長戦略の一つに位置づけて100万人の雇用創出を目論んでいます。 

それを実現するため、昨年末に「森林・林業再生プラン」を策定しました。その委員会の座長を務めた岩手大学の教授を囲むシンポジウムが京都で開催されたので行ってきました。

 

シンポジウム「日本林業再生の道PartⅥ」

 

私は林業の素人ですが、教授の話を聴いていていろいろ疑問が湧きました。例えば、「適切な森林施業を行う仕組み」として「伐採、更新のルールの明確化」が上げられていますが、「そんなことがまだ決まっていなかったの?」と驚きました。今までの農林行政は何をしていたのでしょう。

もう一つは、「このプランも絵に描いた餅に終わるだろうな」という感想。確かな根拠はありませんが、あまりにもいいことづくめで、シナリオが楽観的過ぎると思いました。例えば、「木造建築の担い手となる人材の育成」が掲げてありますが、市場のニーズがないのに人材だけ育成してもしょうがないでしょう。

シンポジウムには教授のほかに、木材会社の専務、建築家、琵琶湖の森づくりを進めるNPO代表が参加しました。3人とも女性です。木材会社の専務も政府のプランに疑問を持ったらしく、けっこう厳しい突っ込みを入れていました。

その一方で、それぞれの実績を知って頼もしい思いもしました。女性専務はコストダウンを図るために新しい苗植え器を導入したそうですし、建築家は需要に限界のある住宅に代って今後は工場など産業施設を木造化するべきだと提案し、実際に木造の工場を作っていました。NPOも消費者と山主をつなぐさまざまな取り組みを実行しています。

 

 

間伐材で建築中の工場

 

何よりも、林業の世界でこんなに女性が活躍していることが頼もしかったです。政府のプランには少々疑問が残りますが、木材自給率50%や雇用創出は誰もが願うこと。女性パワーに期待しましょう。

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獅子頭

2011年02月07日 | 木と宗教

先週の木曜日、スーパーに好物のサバを買いに行ったら、魚売場の半分ほどをイワシが占めていて、サバが見当たりません。そうか、今日は節分だ! 

「イワシ2尾お買い上げのお客様にヒイラギの枝1本プレゼント!」の売り文句に釣られて、丸々と太ったイワシを買いました。

 

 サバが好きですがイワシも嫌いではないです

 

「そう言えば、近くの宇治神社で豆まきが催される」と思い出して、散歩がてら出かけました。しょっちゅう歩いているコースですが、節分行事を見るのは初めて。いつもは人影まばらな境内も、福豆目当ての老若男女300人ほどが詰め掛けていました。

豆まきに先立って奉納されたのが獅子舞い。「節分に獅子舞いというのは珍しいなあ」と思いながら見ているうちに、獅子頭に関心が集中しはじめました。

当然ながら、この獅子頭も木製です。材料は日本で最も軽いキリ。舞い手が長時間手に持って動いたり、頭にかぶって踊るので、何よりも軽さが求められた結果でしょう。最近はさらに軽量化するために、グラスファイバーとかスチロール製の獅子頭も出回っているようです。

 

 

製作方法には一木彫りと寄木作りがあって、一木彫りの方が耐久性に優れているそうですが、当然高価です。いずれにしても漆を何度も塗り重ねて仕上げるようです。

恥ずかしながらこの年になるまで知らなかったのですが、獅子頭には雄と雌があるんですね。こういう想像上の動物に雌雄があるとは思いませんでした。そう言えば、鳳凰も鳳が雄で凰が雌という話を本で読みました。みなさん、ご存知でした?

 

 

宇治市長をはじめお歴々が豆まき

 

群衆の勢いに圧倒されて福豆は入手できませんでしたが、夕食のテーブルにヒイラギを飾って、イワシの塩焼きを食べて厄除けしました。

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国際森林年

2011年02月03日 | 森林保護

マスメディアでほとんど報道されないのであまり認知されていないようですが、今年は「国際森林年」です。ご存知でしたか?

持続可能な森林の経営や保全への認識を高めるために、2006年の国連総会で決められたそうです。前回の国際森林年が1985年だったので、26年ぶり。

そのロゴマークがこれ。

 

 

人間の上にあるリンゴは森が食料を、右にある家は木材として住まいを、左にある十字マークのビンは医薬品を与えてくれることを意味しているそうです。

さらに、シカとカモとイモリと葉は森が哺乳類や鳥類、爬虫類、植物など多様な生物の棲みかになることを、川は飲料水を供給したり水害を防ぐことを、雲と雨は急激な気候変動を緩和することを表現しているそうです。

当ブログのコンセプトである「樹木がいかに多面的に人間に貢献しているか」と同じ方向性なので大筋では納得しますが、疑問もあります。

まず、何故カモなの? オシドリなど森に生息するカモも一部にはいますが、森を棲みかにする鳥を表現するなら小鳥とかフクロウをモチーフにすべきでしょう。バードウォッチャーには違和感のあるマークです。

そして、「このマーク、どこかで見たな~」と思ったら、昨年の生物多様性会議COP10のマークと似ています。人間を中心に具体的な生物のシルエットを描くという表現手法は同じですね。

 

 

私はデザイナーではないもののこういう表現物を依頼される側で仕事をしているので実感しますが、多様性の表現は確かに難しいです。テーマが一つに絞られれば表現しやすいですが、「あれもこれも…」というテーマはモチーフが絞れないので、分かりやすく表現しようとすればこういう集合体になります。

それにしても、もう少し工夫が欲しいな~。COP10は日本開催ということで折り紙にしているんだから…

 

※ロゴマークは、民間企業の使用ではなく、報道などの情報提供ならOKらしいので勝手に使いました。

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