樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

お花見散歩

2018年03月29日 | 街路樹・庭木
数日前、春の陽気に誘われて、よそのお家の庭木の花を愛でながら、妻と二人で平等院方面へ散歩に出かけました。今年は桜の開花が早いこともあって、2時間ほどの間にたくさんの花が見られました。
わが家の前にある三室戸寺の参道で毎年いい匂いを漂わせるジンチョウゲ。今年は花期が長いようです。



そのお隣の玄関先にあるサンシュユ。別名の「春黄金花」の方が雰囲気が伝わります。牧野富太郎も「ハルコガネバナ」に改称すべきだと言っていたそうです。



クロジ観察の探鳥会で訪れる大吉山の麓で咲いているのは、白い色と葉の出具合からヤマザクラでしょう。



「宇治川さくらまつり」のシンボルである塔の島公園の枝垂れ桜は、早くも五分咲き。4月7日~8日の本番にはもう散っているかも。



平等院脇のアセビ。この花もピークは2月と思っていましたが、まだ咲いています。平等院の参道を歩いて驚いたのは、観光客用のメニュー。餃子の皮に抹茶を練りこんだ「抹茶餃子」、ビールに抹茶を溶かした「抹茶生ビール」は初めて見ました。何でもアリですね。



京阪宇治駅付近の街路樹にシデコブシが1本あります。自生のシデコブシは準絶滅危惧種のようですが、園芸品としては時々見かけます。



時々甲子園に出場する翔英高校の枝垂れ桜も毎年見事です。枝垂れ桜はエドヒガン系ですが、塔の島の枝垂れ桜よりも赤味が強い。



わが家のハクモクレンもまだ花を付けています。いつもはハクモクレンが散ってからサクラが咲きますが、ことしは花期が重なりました。



この2~3日は、このハクモクレンの落花を毎日3回掃き掃除しています。サクラの花びらは風で散るので掃除することはないでしょうが、モクレンの花は大きく、水分を含んでいて重いのでどこにも散ってくれません(笑)。
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カラス500羽が出演する映画

2018年03月22日 | 野鳥
70歳以上の人間は山に捨てる…。いわゆる「姥捨て山」を描いた『楢山節考』という映画があります。原作は深沢七郎、監督は社会派として知られる今村昌平。広島の原爆を描いた井伏鱒二原作の『黒い雨』も映画化しています。
そのクライマックス、緒形拳が母親(坂本スミ子)を遺棄するシーンには多数のカラスが登場します。今村監督はセリフも音楽も省き、多数のカラスを登場させることで壮絶感を高めています。



裏話になりますが、このカラスを集めるのにずいぶん苦労したようです。監督から「500羽以上のカラスを集めろ」と指示されたスタッフが最初に考えた捕獲方法は、ロケ地近くの谷にブタを臓物ごと捨て、集まったカラスを一網打尽にしようとという作戦。しかし、1羽も捕獲できず失敗。
次に考えたのが、フクロウを2羽置き、モビングに現れるカラスを網で捕まえようという作戦。1羽だけは捕獲できたものの、賢いカラスには通じなかったようで失敗。
3つ目の作戦は、1畳ほどの大きな黒い箱の中にオトリのカラスを1羽入れ、仲間を呼び寄せるという方法。これが成功し、新宿御苑や明治神宮などで多数のカラスを捕獲したそうです。
面白いことに、新宿御苑のカラスと明治神宮のカラスを同じ檻に入れておくと喧嘩するので、別々に保管したとのこと。
ヒッチコックの『鳥』にも多数のカラスが登場しますが、さすが映画の都ハリウッド、動物専門のプロダクションがカラスを調達したようです。
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京都の神社はカラスだらけ

2018年03月15日 | 野鳥
日本サッカー協会のマークが3本脚のカラスであることはよく知られています。



そのモチーフは神話に登場する八咫烏(やたがらす)で、本来は熊野那智大社のシンボル。このカラスとサッカーの由縁については、日本サッカーの生みの親である中村寛之助が熊野地方出身だからという説と、平安時代の蹴鞠の名人・藤原成通が技の奉納に訪れたからという説があるようです。いずれにしても熊野那智大社のシンボルがルーツであることには間違いがないようで、日本代表チームなどが必勝祈願のため大社に参拝します。
その熊野信仰に基づく神社が京都市内に3社あり、いずれもシンボルは八咫烏。まず、東大路七条の新熊野(いまくまの)神社では、提灯にも絵馬にも三本脚のカラスが描かれています。



哲学の道の起点・熊野若王子(くまのにゃくおうじ)神社では、おみくじにカラスが登場します。



そして、東大路丸太町の熊野神社では鉄柵と提灯と灯籠にカラスが描かれています。しかも、サッカー協会のマークを刺繍したお守りも売っています。

 

それだけではありません。下鴨神社のご祭神の一つも八咫烏ですし、上賀茂神社でもカラスのおみくじを販売しています。おみくじ売り場で撮影しようとしたら巫女さんに制止されたので画像はありませんが、熊野若王子神社のものとよく似たものでした。さらに、上賀茂神社では毎年9月に「烏相撲(からすずもう)」が行われます。
こうやって並べると、京都の神社はカラスだらけですね。
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鳥運

2018年03月08日 | 野鳥
20年ほど前、鳥見ツアーに出かけた北陸の農耕地で、防鳥網に引っ掛かって息絶えたトラフズクに遭遇しました。遺体は地元の野鳥センターに預けました。
トラフズクとはそんな不幸な出会いでしたが、先日やっと生体にお目にかかることができました。しかも、同じ場所で4個体。うち撮影できたのは以下の3個体。



Long-eared Owlという英名どおり、3個体とも耳羽が目立ちます。実際には5~6個体いるとのこと。小群で越冬することもあるようなので、不思議ではありません。
年が明けて、タカサゴクロサギ、トラフズクと初めての出会いが続いています。今年は鳥運がいいのかな?
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鴨川の千鳥

2018年03月01日 | 野鳥
京都・鴨川沿いの先斗町(ぽんとちょう)を歩くと、写真のような提灯が目につきます。描かれているのは千鳥。先斗町のシンボルマークであり、「都をどり」のマークにもなっています。



また、三条大橋の東にあるお酢の老舗・村山造酢の商標は「千鳥酢」。同社のウェブサイトによると、「鴨川や 清き流れに 千鳥すむ」という詠み人知らずの古歌から名づけたとのこと。
さらに、三橋美智也が歌った『あゝ新選組』という歌は「加茂の河原に千鳥が騒ぐ…」という詞で始まります。つまり、昔は「鴨川=千鳥」というイメージが成立していたわけです。
バードウオッチャーとしては、その千鳥がコチドリなのかイカルチドリなのかが気になります。季節や場所によって違うでしょうが、私が探鳥会やその下見で観察した限りでは、イカルチドリが圧倒的に多いです。下の映像は、鴨川ではなく宇治川のイカルチドリ。



いずれにしても、現在は一般の人々が「鴨川=千鳥」というイメージを抱くほどチドリと接する機会はありません。バードウオッチャーでさえ、「千鳥が騒ぐ」ほどの群れに遭遇することはありません。昔は多かったけれど、今は少なくなったということでしょうか。
その疑問の答らしきものを、木屋町三条下ルにある瑞泉寺で見つけました。豊臣秀次の墓所として知られるこのお寺の境内に、「千鳥碑」という石碑があり、次のように刻まれています。



「鴨川流域に棲息し清楚な姿と可憐な声は遊子都人に愛され、詩歌に俳諧に、又、画材ともなって名鳥の聞こえが高かったが、近来都塵に絶えて見ることを得なくなった」。
やはり、往時はたくさんのイカルチドリだかコチドリがいたわけです。碑文はさらに次のように続きます。
「ここ先斗町はその形を紋章とし鴨川をどりのマークに名残りを止めている。今秋鴨川をどり百回記念の事業として先斗町歌舞会に依って由縁のこの地に千鳥の碑を建立し永く鳥の雅名と情緒を伝えることになった。幸いに鴨涯散歩のせつ一瞥して鴨川千鳥の風流を偲ばれんことを」
昭和42年に揮毫(きごう)されたこの碑文は「鴨川の千鳥はすでに絶滅した」という認識で書かれているのです。
つまり、一般の人々にとってはすでに絶滅したと思えるほど数が減少したということです。逆に言えば、昔は鳥に関心がない人々さえ気づくほどたくさんのイカルチドリやコチドリが生息していたということですね。
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