樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

警戒距離

2023年03月30日 | 野鳥
2カ月前の1月末に太陽が丘の野鳥の森へ行ったときの話です。目当てのルリビタキには会えなかったのですが、思いがけずクロジに遭遇。ここで見るのは初めてです。
最初は3羽いました。そのうちの2羽をカメラで捉えた後、少しずつ近づいていくと1羽は逃げましたが、もう1羽は約5mまで近づいても逃げません。それ以上は近づかないで引き上げました。



現場では、逃げたのは成鳥で逃げなかったのは若鳥と判断しましたが、映像を拡大して確認するとどちらも雄の若鳥のようです。人間が近づいて鳥が逃げる距離をフライトディスタンスとか警戒距離と言い、一般的には人間と同じく鳥も幼いほど警戒心が弱く、距離が短くなります。でもこの映像を見る限り、警戒心の強弱には個体差があるようです。
その後、道を曲がって雪が残る広場に入ろうとすると、出会い頭にアオジと遭遇。この鳥は警戒心が強く、人を見るとすぐに逃げますが、この個体(雌)は逃げずにのん気に採餌を続けていました。



京都御苑のような人が多い環境ではアオジも警戒心が緩むようですが、ここはほとんど人が来ない場所。多分、若い個体なので警戒距離が短いのでしょう。おかげで、至近距離で観察できました。
さらに進むと、ビンズイが登場。この鳥もここで見るのは初めてです。配色やシルエットが違いますが、セキレイの仲間なので尾羽を上下に動かします。



この鳥も京都御苑のような環境では警戒距離が短いですが、ここでは長いだろうと思って必要以上には近づきませんでした。
目当てのルリビタキには会えなかったものの、想定外のクロジやビンズイに出会えて楽しめました。
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うれしい異変

2023年03月23日 | 野鳥
この冬は東北地方の日本海側や北陸地方が大雪だった反面、西日本ではそうでもなかったせいか、ガンやカモの渡来状況に異変がありました。当ブログでもご紹介しましたが、久しぶりに丹後でオオハクチョウが越冬しましたし、同じ湖で多数のガン類が確認されました。
国外でも同様のようで、朝鮮半島で雪が多かったのか、例年は半島で越冬することが多いトモエガモが西日本に飛来し、特に九州で大群が目撃され、一般の方が「空に幕があるみたい」と表現したそうです。
その流れは関西にもあったようで、2月末に宇治川上流へ野鳥観察に出かけた際、トモエガモの群れに遭遇しました。数えてみると、約40羽。私はこれまでトモエガモを数羽単位でしか見たことがなく、これほどの群れを見るのは初めて。



宇治川上流の常連であるオシドリ約30羽と混群を形成し、緑色の水面でゆったりしていました。トモエガモとオシドリは食性が似ているのか、同じ水域にいることが多いです。



この観察地点は宇治川渓谷沿いの曲がりくねった道の脇なので車の往来が激しく、ゆっくり見ていられませんが、トモエガモとオシドリの大群にしばし魂を奪われておりました。
北陸や東北の方々にとっては厳しい異変の冬だったでしょうが、コウライアイサ、オオハクチョウ、トモエガモの群れなどが見られた私にとってはうれしい異変の冬でした。
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運が良いのか悪いのか

2023年03月16日 | 野鳥
私はもともと運がいい方ではなく、どちらかといえば幸運の神様に見放されていますが、最近はなぜか鳥運がいいようです。私が担当する宇治の探鳥会では12月にコウライアイサが、1月にはトモエガモの雄が出現して参加者に喜んでいただいたのに加え、3月4日の探鳥会では最後にキレンジャクが登場。参加者は解散後もしばらく釘付けになっていました。
そろそろ集まり始めたようなので、翌週に一人でレンジャク探しに出かけました。探鳥会とは別の場所でヒレンジャクを発見してしばらく見ていると、10数羽が飛び立って対岸に移動しました。追いかけていくと、ソメイヨシノに着床したヤドリギの実を食べては上の枝に止まるという行動を繰り返しています。



じっくり堪能した後、以前から探し続けているベニマシコを求めて、5kmほど離れた池へ出向きました。今回で5回目。別の場所へもベニマシコを狙っても出かけたので、計7~8回になりますが、ことごとくフラれています。
今回も1時間ほどねばったものの、結局現れませんでした。代わりにカワセミがいいところに出てくれたので撮ってきました。



ヒレンジャクとベニマシコ、2種類の赤い鳥を追い掛けたものの、結局赤い鳥と青い鳥が1種ずつという結果になりました。冒頭に「鳥運がいい」と書きましたが、探鳥会では運がいいものの、単独ではやはり神様に見放されているようです。
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温泉と鳥見

2023年03月09日 | 野鳥
府民割を利用して昨年は4月と8月の2回故郷の丹後へ帰り、妻は温泉、私は鳥見を楽しみましたが、2月の末にも1泊2日で出かけてきました。京丹後市にいろいろな冬鳥が飛来しているという情報を得ていたので、本当はもっと早く行きたかったのですが、珍しく仕事が入って遅くなってしまいました。
まずは、マガンやヒシクイの大群、トモエガモの群れ、オオハクチョウ、コウノトリがいるという京丹後市の離湖へ…。しかし、やはり遅かったようで、ガン類やトモエガモ、コウノトリの姿はありません。でも、オオハクチョウが残っていました。



20年ほど前までは久美浜で越冬していましたが、それが途絶えて以降はごくまれに記録される程度で、私自身は京都府内でオオハクチョウを見るのは約30年ぶり。京都府では絶滅寸前種に指定されています。2019年に野鳥の会の研修会で仙台に行った際、伊豆沼へ足を延ばして30羽ほどのオオハクチョウを観察して以来の再会です。
そういう目で見るからでしょうが、やはりオオハクチョウはコハクチョウよりも優雅ですね。動きがゆったりしていて、威厳があります。
2日目は丹後の海岸を回って海鳥を探しました。目当てのクロサギは発見できなかったものの、ヒメウが比較的近い距離で観察できました。前半は城島公園で強い海風にあおられながら撮影したもの、後半は間人漁港の橋の上から撮影したものです。



この鳥も京都府では準絶滅寸前種。普段は海岸から離れた島や消波ブロックにいることが多く、近くで見る機会が少ないですが、今回は海が荒れていたせいか漁港に入ってきたようです。
このほか、ガンカモ調査で1月に行った阿蘇海では、離湖から移動してきたと思われるヒシクイ3羽、ここでは初めてみるシロチドリ3羽が見られました。丹後はやっぱり冬の方が面白いです。
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まっ、いいか。

2023年03月02日 | 野鳥
久しぶりに奈良の平城宮跡へ行ってきました。
第一の目当てはアリスイ。2017年3月の探鳥会で出現したものの翌年は見られず、その後の単独行でも確認できなかったので、もう渡来しなくなったのかなと諦めていましたが、今季は2羽いるという情報をキャッチしたので出かけました。
現地に到着し、双眼鏡やカメラをセットし終わると、そのアリスイがすぐに出現しました。ラッキー! こんなこともあるんですね。だからやめられない。



その後、第二の目当てであるクイナやヒクイナを探して湿地を3~4回まわりましたが現れません。代わりに、バンの若鳥が登場しました。そういえば最近この鳥は全国的に減少したため、昨年環境省が狩猟鳥獣の指定を解除しました。
私自身も久しぶりの遭遇で、クイナやヒクイナには出会えなかったものの、予想外のバンは嬉しかった。平城宮跡から1kmほど離れた水上池でも泳ぐバンを見つけました。



湿地で鳥を探していると、高齢のフォトグラファーが「朱雀門のヨシ原にベニマシコがいますよ」と教えてくれました。その赤い鳥を探して家の近くの池や宇治川へ何度か出向いたものの、ことごとくフラれていたので早速朱雀門へ移動しました。
ところが、30分ほど探してもベニマシコが見当たりません。ヨシの茎を動かす鳥がいるので、双眼鏡で確認するとオオジュリン。ベニマシコほど珍しくないですが、今季まだ見ていなかったので「まっ、いいか」と満足しました。



そして、トモエガモを期待して平城宮跡の北にある佐紀池へ。2017年の探鳥会でも出現し、参加者に喜んでいただきましたし、その後の単独行でも確認していたからです。
しかし、トモエガモの姿がありません。代わりに、ミコアイサの雄が1羽泳いでいました。もともとこの池には雌はたくさんいますが、雄を見るのは初めて。しかも、雌雄が仲良くランデブーしてくれました。



アリスイはすぐに現れましたが、以降は期待した鳥の代わりに予想外の鳥に出会えました。目当ての鳥ではなかったものの、「ま、いいか」と納得できる奈良行でした。
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