樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

オグラーか、イワマーか

2018年09月27日 | 野鳥
今は渡り鳥の最盛期。近くの巨椋(おぐら)干拓地に渡って来るシギやチドリを観察する人(オグラー)になるか、宇治市と大津市の境にある岩間山でタカの渡りを観察する人(イワマー)になるか、天気予報を見ながら迷います。
巨椋では今季から野鳥生息調査を実施することになったので、言い出しっぺの責任もあって、晴れた日は2日に1回のペースで出かけていますが、タカの渡りの一斉調査日である23日は岩間山でお手伝いをすることになったので行ってきました。今季はまだ2回目。
秋雨前線が停滞した後の晴天だったこともあって、タカが大爆発。多くの調査地点でたくさんのタカがカウントされました。岩間山ではサシバが今季最高の1,600羽。忙しい調査の合間に撮影もできました。



ホークウオッチングの一番の醍醐味は、タカの群れが上昇気流に乗って旋回する「タカ柱」。岩間山でも50羽以上~150羽ほどのタカ柱が何度も観察できました。
この日のイワマーは、フォトグラファーや他団体の観察会を含めて約50人。あちこちで「スゴイな~」「ええな~」の声が上がりました。



多くのギャラリーも満足されたようで、3時までに全員下山されましたが、調査チームは4時まで残ってカウントです。もうすぐ調査終了という時、すぐ近くにハチクマが登場。ゆっくり旋回してから西へ渡って行きました。
ハチクマはホークウオッチャーの人気者ですが、この日はなぜか少なく113羽。その最後の1羽が調査のご褒美に堂々とした姿を披露してくれたのでした。

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恋多きエリマキシギ

2018年09月20日 | 野鳥
ちょうど1年前、「コアオアシシギに恋したエリマキシギ」というタイトルで、コアオアシシギをナンパしているエリマキシギをご紹介しました。そのときに掲載したのが以下の動画。



そのエリマキシギが今年も現れました。しかも、今年は恋の相手を替えたようで、同じ休耕田にいるセイタカシギ(雌)の後をくっついて歩いたり、付かず離れずの距離を保って採餌しています。
その数日後、元カノのコアオアシシギが同じ休耕田にやってきました。兄貴分のアオアシシギと一緒です。エリマキシギ、セイタカシギ、コアオアシシギの3ショットは気まずい雰囲気が漂っています。



この数日後、エリマキシギとセイタカシギはいなくなりました。コアオアシシギとアオアシシギは残っています。きっと、恋の逃避行ですね。
エリマキシギの雄は恋多い鳥のようで、その要因について、昨年のブログでは次のように推測しました。「数あるシギの中でエリマキシギだけが雄と雌のサイズが異なり、雄29cmに対して雌22cm、7cmも差があります。そして、コアオアシシギは雌雄とも24cm。コアオアシシギをエリマキシギの雌と思い込んで追いかけていたようです」。
しかし、セイタカシギは逆にエリマキシギよりも大きいので、この説明は当たりません。単なるプレイボーイのようです。このエリマキシギはイタリア生まれかな?(笑)
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ホットスポット

2018年09月13日 | 野鳥
1か月前、シギ・チドリ観察の下見で干拓地を回ったとき、たくさんのツバメが集中して飛び回っている1枚の休耕田がありました。農薬を使っていないので虫が大量発生し、それを捕食するためにツバメが集まっていたのでしょう。
その時点ではコチドリとイソシギしか確認できなかったものの、次に訪れたときはアオアシシギ1羽、タカブシギ4羽、オジロトウネン2羽が入っていました。数日後には、アオアシシギ1羽、タカブシギ3羽に加えて、トウネンとヒバリシギとハマシギ(動画)が1羽ずつ…。徐々に種類が増えているのです。



1枚の休耕田に多種類のシギ・チドリが集まる傾向があることは、昨年の「シギの密度」という記事に書きました。農政の転換によって休耕田がネギ畑に変わったことが要因ですが、今年から休耕田に補償金が支払われなくなったため、さらに減少したのです。野鳥にとっては生息場所が限られるので、条件のいい休耕田に集中するわけです。
この休耕田を私は「ホットスポット」と呼んでいます。さまざまな分野で使われる言葉ですが、環境分野では「生物多様性が高い場所」という意味です。
台風21号が通過した翌日、そのホットスポットにアカエリヒレアシシギが14羽やってきました(動画)。2~3羽の小群は見たことありますが、これほどの群れは初めて。台風が運んできたのかもしれません。さらに、クサシギも加わっています。



その翌日、アカエリヒレアシシギは9羽に減っていましたが、セイタカシギが3羽加わっていました。トウネンやヒバリシギなど先着組もまだ残っています。



この場所は昨年まではネギ畑でした。ネギは数年栽培すると1年は畑を休ませないといけないので、今年は休耕田になっているようです。つまり、1年限りのホットスポット。水が抜かれるまでの間、目が離せません。
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7日間ノンストップ

2018年09月06日 | 野鳥
相変わらずシギ・チドリ観察に現を抜かしております。先日は、前回お伝えしたタマシギの一妻多夫ファミリーがいる休耕田でジシギを2羽発見しました。この仲間は識別が難しいのですが、1羽は比較的分かりやすいタシギ。もう1羽はそれよりもひと回り大きく、顔も馬面なのでオオジシギのようです。



このオオジシギは日本で繁殖する唯一のジシギで、その保護のために、一昨年日本野鳥の会が北海道の勇払原野で5羽を捕獲して発信機を付け、渡りのルートを調査しました。5羽とも本州には寄らずに太平洋に出たのですが、うち1羽はほぼ真南に進路を取り、途中陸地に立ち寄ることなく、ニューギニアまで7日間ノンストップで飛び続けました。その距離、約6000km。
残念ながらその後電波が途絶え、越冬地であるオーストラリアまでの全ルートは確認できなかったのですが、太平洋をノンストップで渡ることが証明されました。
ちなみに、日本発の旅客機でノンストップのフライト時間が最も長いのは、イベリア航空の成田‐マドリード便で14時間10分。オオジシギ(168時間)の1割以下です。
私が発見したオオジシギは北海道ではなく、千島か南サハリンからノンストップで飛んで来たのでしょう。
それにしても、渡り鳥の飛翔能力はスゴイ! 7日間飲まず食わずで6000kmも飛ぶのです。私たち人間も、前々回ご紹介した渡り鳥のパワーの源・イミダペプチドを飲んで、オオジシギにあやかりましょう(笑)。
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