樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

グリコのおまけ

2010年03月29日 | 木と子ども
みなさんも経験があると思いますが、幼い頃、おまけ付きのグリコのキャラメルをよく買いました。キャラメルはどうでもよくて、箱の中にどんなおまけが入っているか気になって…。
そのグリコのおまけがこの春から木製玩具になったというので、年がいもなくスーパーの玩具菓子コーナーで3個買ってきました。



今はキャラメルも四角ではなくてハート型なんですね。子どもの口にやさしいようにという配慮だそうです。1箱に4粒。「1粒300メートル」ですから、1,200メートル走れるわけです(笑)。
おまけ付きのグリコが発売されたのは昭和2年(1927)だそうですから、もう80年以上。これまでの累計販売数は、何と50億個! 驚異的なロングセラーですね。開発されたおまけも2万数千種類とか。


(積み木パズル)


(人形ブロック)


(顔パズル)

木のおもちゃは、パズル、だるま落し、輪投げ、積み木、カスタネット、ままごとセットなど全部で10種類。グリコのサイトを見ると、単独で遊ぶだけでなく、それぞれを集めて遊べるようになっています。コレクション癖はないですが、全部集めようかな~。
こんなおまけが付いて1個105円とは安い! おもちゃは中国製と表示してありますが、材質は多分、輸入割り箸にも使われているヤナギ(ポプラ系)だと思います。
グリコの「木のおもちゃ」のサイトはこちら
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樹の注射

2010年03月25日 | 森林保護
先日、いつも通り大吉山に散歩に行くと、乗り入れ禁止の遊歩道に車が4台も停まっていて、6~7人の男たちが何やらあやしい動き。よく見ると、斜面に生えているアカマツの幹にドリルで穴を開け、そこに茶色のボトルを差し込んでいます。
「松枯れ病対策だろうな~」と思いながら、いつも通り展望台まで登って体操した後、カメラで撮影して帰ってきました。



茶色のボトルに書いてある「グリーンガード」をネット検索すると、やはり松枯れ防止の薬剤と判明しました。作っているのは、世界最大の薬品メーカー、ファイザー。
そのサイトには松枯れ病に関する一般向けの解説ページもあって、いろいろ勉強になりました、私も一応そのメカニズムは知っていましたが、より詳しく理解できました。
以前から「松枯れ病と水不足による枯れをどう見分けるのだろう?」と疑問でしたが、それも解消しました。葉の枯れ方が違うらしいです。
枝先の葉(新葉)は緑なのに、その下の旧葉が枯れて垂れているのは松枯れ病、全部が赤く枯れて垂れてないのは乾燥によるものだそうです。ほかに、幹を少し傷つけて出てくる樹脂(松やに)でも判断できるとか。


(1本のアカマツに2~3個のボトルが差し込まれています)

樹の幹にボトルが差し込まれている姿は痛々しいですが、人間で言えば予防注射みたいなものですね。
大吉山には近くに住む高齢者も登って来られて、「昔はアカマツだらけやった」と話しておられます。以前この山の植生変化をご紹介しましたが、長年住んでいるとそれを実感するんでしょうね。
グリーンガードのwebサイトはこちら
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犬の木

2010年03月22日 | 木と鳥・動物
昔、犬小屋は日曜大工でお父さんが作るものでしたが、今はホームセンターで買うもののようです。「日曜大工」という言葉さえ死語になりつつあります。
実際、この記事のために近所を探し回りましたが、既製品ばかりで手作りの木の犬小屋は見当たりませんでした。


(ホームセンターで売っている木製の犬小屋)

そんな中、高知県の山奥でスギの間伐材を使ってオーダーメイドの犬小屋を製作する会社があります。現社長が「来年は犬年だから犬小屋を作ろう」と冗談半分で始めたところ全国から注文が舞い込み、現在は従業員10人以上の会社に成長したそうです。
犬種や体格、性質、設置場所に合わせて設計し、木材を加工して一旦組み立て、解体して発送、受け取った人が組み立てるという方式です。
飼い主の家と同じデザイン、夜泣きする犬用の防音タイプ、閉所恐怖症の犬用の柵タイプ、室内犬用などいろんな犬小屋を作っています。よく売れるのは10万円程度だそうですが、中には40万円の犬小屋を注文した飼い主もいたとか。
ところで、英語でdog woodと呼ぶ木があります。樹皮を煎じて犬の皮膚病治療やノミ退治に使ったのでこう呼ばれるようになったそうです。その木は私たちの身近にあって、日本名はハナミズキ。アメリカハナミズキと言う人もいます。庭木や街路樹によく植えられています。


(ハナミズキの花)

このdog woodの由来について、「日本語の犬死と同じく、役に立たないものをdogと言うのでハナミズキをdog woodと呼ぶようになった」という説もありますが、犬にもハナミズキにも失礼な説ですね。


(犬の皮膚病薬になるハナミズキの樹皮)

いっそのこと、ハナミズキで犬小屋を作ればどうでしょう。木材として役立てばハナミズキもそんな誤解を受けず、皮膚病にかからないので犬も飼い主も大喜びです。
犬小屋製作工房Kのwebサイトはこちら
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七里香と九里香

2010年03月18日 | 木と香り
ジンチョウゲがいい香りを漂わせる季節になりました。
この木のことを中国では「七里香」と呼ぶそうです。中国の1里は約500mらしいので7里はおよそ3.5km。日本の感覚より短いですが、それにしても「白髪三千丈」の国らしいネーミングです。


(散歩コースのジンチョウゲ)

さらにその上をいく「九里香」という木もあります。日本名は「キンモクセイ」。確かにあの香りは遠くまで漂ってきて、散歩していても目よりも先に鼻でその存在を知ることが多いです。それでも9里(約4.5km)は無理でしょう。
このジンチョウゲとキンモクセイにクチナシを加えて「三大芳香花」と呼ぶそうです。「ひょっとしてクチナシの中国名は五里香かな?」と思って調べましたが、香りとは関係のない名前でした。


(芳香剤の香りのモデルにされるキンモクセイ)

ジンチョウゲとキンモクセイには共通点がもう一つあって、日本では結実しません。いずれも雌雄別株の樹木ですが、中国から雄株だけが移入されたので子孫ができないそうです。せっかくあのいい香りで虫を呼び寄せても、雌株がないので受粉できないのです。
と言うことは、挿し木で殖やしているわけです。と言うことは、日本のキンモクセイやジンチョウゲはすべて同じ遺伝子を持つクローンということになります。ソメイヨシノと同じですね。
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大文字山で虫退治

2010年03月15日 | 森林保護
私が通っている栃の森ではたくさんのミズナラがナラ枯れ病に侵されて枯れ死しています。周囲5.8mの巨木も倒れました。


(ナラ枯れ病で倒れたミズナラの巨木)

そのナラ枯れ病が南下し、京都市周辺の樹木にも被害が出始めました。それを食い止めるためのボランティア活動があるというので、土曜日に参加してきました。場所は、送り火で有名な大文字山。
ナラ枯れ病の原因はカシノナガキクイムシ。この虫を駆除する有効な方法が確立されていなかったのですが、京都の昆虫学者が新しい方法を考案しました。それは、虫が樹に開けた穴を爪楊枝でふさぐという、何ともシンプルなもの。
この虫はオスが樹に穴を開けてからメスを誘引し、交尾して次世代を産むので、メスが入る前に穴をふさげば繁殖を抑えられると同時に、オスも出られなくなるという作戦です。


(道具はトンカチのみ。白いのはプラスチック製の爪楊枝)

最初は木の爪楊枝を使っていたそうですが、虫が齧ってしまうので現在はプラスチック製。大工さんみたいに爪楊枝を口にくわえながら、幹に開いた0.5mmくらいの穴を見つけて1本ずつトントン打ち込んでいきます。



作業は単純ですが、樹によっては50本以上の爪楊枝を打ち込みます。約2時間の作業で私が打ち終えたのは6本。参加者は約15人でしたから、単純計算で90本ほどの樹が処理できたことになります。


(穴の周囲には細かい木屑がついています)

京都市周辺の山にミズナラはありませんが、同じ仲間のコナラやアベマキ、アラカシやシイにもカシナガが入り込んでいます。昆虫学者によると、この方法でコナラの枯死率が50%から15%に抑えられるとか。
もともと九州など南部に自生するブナ科の常緑樹(カシ類やシイ類)にとりついていたカシナガが温暖化で北上し、同じブナ科の落葉樹(ミズナラやコナラ)に入り込んでナラ枯れ病が発生したようです。カシやシイは木の構造上カシナガの被害を受けませんが、構造が異なるミズナラやコナラは枯れ死するわけです。


(まだ入り込んでいない樹はビニールシートで防御)

参加した目的はもうひとつありました。京都御苑のアラカシにカシナガが入ったという情報をキャッチしたのですが、庭のアラカシに穴が開いて根元に木屑がたまっていたので、「ひょっとしてうちの庭にもカシナガが侵入したのか?」と不安でした。下の画像を昆虫学者に見てもらって判断して欲しかったのです。


(庭のアラカシの根元にカシナガのような木屑が…)

結果は「これはゴマダラカミキリですね」。そう言えば、派手な羽色のカミキリムシがいました。カシナガみたいに爆発的に増えないようなので、しばらく放っておくことにしました。
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坂本龍馬とお龍

2010年03月11日 | 伝説の樹
以前、坂本龍馬が襲われた寺田屋や彼を支援した材木商・酢屋をご紹介しましたが、京都ではいま大河ドラマ「龍馬伝」にあやかった観光スポットが盛り上がっています。先日、寺田屋の前を通りかかったら大勢の観光客が並んでいてビックリしました。
そうしたブームにもかかわらず、意外と知られていない龍馬とお龍(りょう)ゆかりの木が京都市内にあります。


(武信稲荷神社。左奥がその木)

二条城の近くに武信稲荷(たけのぶいなり)という神社があり、その境内にエノキの巨木が立っています。幕末、この神社の近くにはお龍の父親が捕らえられた牢獄があり、なかなか面会できないので、2人でこのエノキに登って様子をうかがったとか。


(龍馬とお龍が登ったというエノキ)

その後、命を狙われた龍馬が身を隠して離れ離れになった時、お龍は当時を思い出して神社を訪れると、エノキの根元に2人の名前である「龍」という文字が彫ってあったそうです。龍馬が無事で京都にいることを知ったお龍は、つてをたどってようやく再会したという話です。
どこまで本当か知りませんが、この話にちなんで神社はこの樹をご神木とし、エノキ(=縁の木)の霊力で恋愛や良縁が成就するとアピールしています。絵馬もエノキの両側に龍馬とお龍が立っているという図柄。



旬の坂本龍馬、ロマンチックなストーリー、恋愛成就や良縁祈願の神社…、若い女性が飛びつきそうなスポットですが、私が訪れた時も休日なのに静かでした。他のスポットと離れていて、観光コースに入っていないからでしょうか。
大河ドラマはほとんど観ませんが、今回の「龍馬伝」は演出や撮影が新しいので注目しています。福山クンもなかなか頑張ってますね。
武信稲荷神社のwebサイトはこちら
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奇妙な果実

2010年03月08日 | 木と歌
ゴスペルからブルース、ロック、クラシック、演歌までいろんな音楽を聴きますが、いちばん心に染みるのはジャズの「レフト・アローン」という曲。「ジャズ史上最高の歌手」と言われるビリー・ホリデイのピアノ伴奏をしていたマル・ウォルドロンが、彼女が亡くなった後に発表した曲です。
まさに、Left Alone(取り残された)者の気持ちを切々と表現していて、いつ聴いても心の奥まで響いてきます。


(ビリー・ホリデイに奉げたマル・ウォルドロンのアルバム)
(右上に写っているのがビリー・ホリデイ)

そのビリー・ホリデイの代表曲は「Strange Fruit(奇妙な果実)」。非常にシリアスな歌詞ですが、その中に木が登場します。
Southern trees bear strange fruit
(南の木には奇妙な果実が成る)
Blood on the leaves and blood at the root
(葉や根に滴る血)
Black bodies swinging in the southern breeze
(南風に揺れる黒い体)
Strange fruit hanging from the poplar trees
(ポプラの木に吊るされた奇妙な果実)


(ビリー・ホリデイの自伝「奇妙な果実」。翻訳は大橋巨泉)

白人のリンチによって木に吊るされた黒人の死体を「奇妙な果実」と表現し、人種差別を告発しているのです。
上記の歌詞の後にもっと残酷な描写があって、最初に歌った時はさすがに聴衆が引いたそうですが、徐々に支持され、今ではビリー・ホリデイの最大のヒット曲になっています。
この歌には、ポプラ以外にもう1種類の木が出てきます。
Scent of magnolias sweet and fresh
(新鮮で甘いマグノリアの香り)


(マグノリアの花)

マグノリアはタイサンボクのこと。日本でも庭木や公園木によく使われますが、原産は北米。特にアメリカ南部に多く自生し、ミシシッピ州とルイジアナ州の州花で、ミシシッピ州は別名Magnolia State(マグノリアの州)と呼ばれているそうです。
作詞者は人種差別の激しい南部の象徴として、この花を表現したのでしょう。
今日は少しヘビーな話題でしたが、木を通じて学ぶことはたくさんあります。
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木のガードレール

2010年03月04日 | 木の材
少し前、「日本林業再生の道」というセミナーに参加してきました。その中で行われた海外の事例報告が印象的だったのでご紹介します。
まず、北米では40フィート(12メートル)以下の橋はほとんどが木製で、鉄道用の橋にも木を使うことが多いそうです。その技術が木製ジェットコースターに生かされ、以前ご紹介したように日本にも輸入されています。
また、ガードレールにも木材が使われていて、特に支柱は木製の方が長持ちすると認識されているとか。
木製ガードレールは日本でも少しずつ採用されていて、最近拡幅された家の近くの道路にも川沿いに木製のガードレールが設置されました。府道なので、前回ご紹介した京都府産木材の利用促進として実施したのでしょう。バイクで走りながら距離を測ったら2kmありました。


(府道に設置された木製ガードレール)

さらに、北欧では高速道路の遮音壁が木製、ニュージーランドでは電柱が木製。木が豊富な国なので経済的であると同時に、景観を考慮して木を使っているそうです。日本でも昔は電柱が木製(スギ)でしたが、現在はほとんどがコンクリート製。効率を優先しているからでしょうね。
木材の需要を拡大するには「燃える」「腐る」という欠点を補う必要がありますが、セミナーではその技術革新の話も聞かせてもらい、頼もしくなりました。
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地材地建

2010年03月01日 | 木の材
意外かも知れませんが、京都府は林業が盛んです。木材生産額は17.6億円で、「吉野杉」の奈良県(38.4億円)、「木の国」和歌山県(29.7億円)に次いで近畿では3位。兵庫県や滋賀県よりも多いんです。
カナダ発祥のモデルフォレスト運動に日本で唯一取り組んでいるのも京都府。また、府が発注する土木工事に地元産木材の使用を義務づけたり、京都府産木材を使った新築やリフォームを交付金や優遇ローンで支援しています。
さらに、京都府庁の内部でも、涙ぐましいほど地元産木材をPRしています。まず、庁舎正面の植え込みの周囲には、木製の車止めと溝蓋が設置してあります。京都府産のヒノキの間伐材を使って、府立北桑田高校が製作したそうです。


(木製の車止めと溝蓋)

そして、受付や相談センターに行くと、京都府産の木材で作ったカウンターや机、本棚に囲まれています。


(総合案内の受付カウンター)


(相談センターのインテリアは京都府産の木製)

さらに、庁舎の中に入ると、各部屋に京都府産ヒノキの端材を使用した名札が掲げてあります。約200の部屋に下の写真のような木の札を付けているそうです。



農産物の「地産地消」に対応して、木材を「地材地建」と言うらしいですが、京都府はその普及に一生懸命です。林業団体と共に「ウッドマイレージ」運動にも取り組んでいます。
京都大学を中心に森林生態学や林業関係の学者が多いという要因が働いているのかも知れません。
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