樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

史上初の鳥

2011年10月31日 | 野鳥

日本の鳥に関する最初の記録は『魏志倭人伝』にあって、「この国にはカササギがいない」と記されているそうです。ちなみに、日本にいない動物として、牛、馬、虎、豹、羊もリストアップされているとか。

カササギは現在は佐賀県など一部地域にいますが、秀吉の朝鮮出兵の際に大陸から持ち帰ったと言われていて、それ以前は日本には生息していなかったわけです。

日本に生息する鳥についての最初の記録は、『日本書紀』に登場するセキレイ。書くのがはばかれますが、天から降りてきたイザナギとイザナミは、セキレイが尾を上下に振る動きを見て夫婦和合の方法を知り、次々と子ども(=国や神)を生んだ、という話になっています。

 

 

セキレイの一種、ハクセキレイ

 

原文は、「時に鶺鴒(にわくなぶり=セキレイ)あり、飛び来って其の首尾を揺(うごか)す。二神見そなはして之に学(なら)ひて、即ち交(とつぎ)の道を得つ」。

現在、日本でよく見られるセキレイはハクセキレイ、キセキレイ、セグロセキレイの3種。いずれも、尾や腰を上下に振る独特の動きをします。

原文の「にはくなぶり」は「庭で尾を振り動かすもの」という意味だそうです。英語名もWagtailで「尾を振る」。

 

 

名前の通り黄色いキセキレイ

 

イザナギとイザナミに夫婦和合の方法を教えたのはどのセキレイだったのでしょう?

ハクセキレイは昔は冬鳥だったので、いつでも見られたわけではなかったはず。また、キセキレイは川の上流域に生息するので、「庭で尾を振り動かす」姿を見る機会は少ないでしょう。

消去法でいくと、結論はセグロセキレイ。日本の固有種でもあり、うちの庭や屋根にもやってくるほど身近なので、イザナギとイザナミが見たのも多分セグロセキレイでしょう。

 

 

セグロセキレイ

 

宇治川の平等院あたりではセキレイが3種とも見られます。本来はセグロセキレイの生息域ですが、ハクセキレイが分布を拡大したこと、山が近いのでキセキレイも生息できる環境です。動画はすべて、平等院の前の塔の島公園で撮りました。

いずれにしても、セキレイのおかげ日本が誕生したわけですから、私たちはこの鳥に感謝しなければなりません。

 

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散歩コースの名木「緑樹編」

2011年10月27日 | 街路樹・庭木

今年の春に「散歩コース名木10選・花木編」として5本の樹を採り上げました。その続編として緑樹を5本選びましたが、うち2本が伐採されてしまいました。代役が見つからないので、ベスト3としてご紹介します。

まず、あるお宅の庭にあるアカマツ。庭木として植えるのはクロマツが多い中、このアカマツは目立ちます。しかも樹高が高く、きちんと手入れされているので、散歩のたびに見上げています。

 

 

 

お寺や神社の庭園では、外側にクロマツを植え、内側にアカマツを植えるとか。それは、海岸部にはクロマツが、内陸の山にはアカマツが多い日本の自然を表現しているからだ、という話を聞きました。

次は、禅寺の境内に立つナナミノキ。聞きなれない名前ですが、クロガネモチの兄弟分です。

 

 

 

葉っぱもクロガネモチにそっくり

 

八方に枝が茂った堂々とした巨木です。このお寺には宇治名木百選のうち4本がありますが、なぜこのナナミノキが選ばれなかったのか、私には不思議です。樹種として無名だからかな?

次は、ハワイアングッズのお店の前にそびえるパームツリー。外来種はよく分かりませんが、パームツリーの1種でしょう。この近辺では最も樹高の高い樹です。

南国ムードを表現するためか、このお店にはデイゴも植えてあります。

 

 

 

パームツリーを見ると、私は2つのレコードジャケットを思い出します。1つはイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」。ロック音楽史上ベスト3に入るこの名曲のジャケットにパームツリーが写っていました。多分、自分のコレクションの中で最も頻繁に聴いたレコードです。

もう1つはクラプトンの「461オーシャン・ブールバード」。録音スタジオの住所をそのままタイトルにしたレコードで、場所はマイアミ。やはりパームツリーが写っていました。

ハワイもカリフォルニアもマイアミも、私の頭の中ではパームツリーつながりで一緒くたになっているということですね(笑)。

 

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鴻雁来

2011年10月24日 | 野鳥

昔の暦「二十四節気」をさらに細分化した「七十二候」では、現在の108日~12日頃を「鴻雁来(こうがんきたる)」と言うそうです。鴻(=白鳥)や雁がやってくる時期という意味です。

宇治にはハクチョウもガンもやってきませんが、近くの池にようやくカモが渡ってきました。

 

 

ホシハジロとキンクロハジロ

 

七十二候には、この「鴻雁来」以外に鳥が登場する名称が8つあります。昔の人はそれだけ頻繁に鳥の声や渡りで季節を感じていたということでしょう。

黄鶯睍(うぐいすけんかん) ウグイスが山里で鳴き始める(24日~8日頃)

雀始巣(すずめはじめてすくう) スズメが巣を構え始める(321日~25日頃)

玄鳥至(つばめきたる) ツバメが南からやって来る(45日~9日頃)

鴻雁北(こうがんかえる) ハクチョウやガンが北へ帰って行く(410日~14日頃)

鷹乃学習(たかまなぶ) タカの幼鳥が飛ぶことを覚える(717日~22日頃)

鶺鴒鳴(せきれいなく) セキレイが鳴き始める(913日~17日頃)

玄鳥去(つばめかえる) ツバメが南へ帰って行く(918日~22日頃)

雉始雊(きじはじめてなく) キジの雄が鳴き始める(115日~19日頃)

池にはマガモも渡ってきました。水に浮いている時は地味な鳥ですが、こうやって羽づくろいしているところをじっくり見ると、頭はメタリックグリーン、嘴は黄色、翼の一部はブルーや白、腹はグレー、脚はオレンジとなかなか派手ですね。

 

 

 

七十二候は古代中国で考案されたものを江戸時代に日本用にアレンジしたものらしいですが、本家バージョンでは72の名称のうち22に鳥が登場します。

日本バージョンに加えて、たとえば、ヤマドリが鳴かなくなる(127日~11日頃)、カササギが巣を作り始める(110日~14日頃)というものや、中には、タカが捕らえた鳥を並べて食べる(823日~27日)とか、カッコウが桑の樹に止まって蚕を生む(43054日頃)など意味不明のものもあります。

秋にセキレイが鳴き始めるとか、冬にキジが鳴き始めるとか、若干「?」という部分もありますが、昔の人の自然観や季節感が伝わってきて面白いですね。

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鳥の味覚

2011年10月20日 | 木と鳥・動物

10月の連休、3カ月ぶりに栃の森に行ってきました。今年はドングリが不作のため各地で熊が出没していますが、その他の木の実は豊作のようで、色とりどりに結実していました。

次々に現れる青い実や赤い実を見ていると、「どんな味がするんだろう?」という好奇心が湧いてきました。木の実は鳥に食べてもらうために鮮やかな色になるらしいので、鳥になったつもりでいろいろ食べてみました。

まずサワフタギ。「瑠璃実の牛殺し」という恐ろしい別名がありますが、枝で牛の鼻輪を作ったからで、実に毒があるわけではありません。

 

 

 

噛むと、はじめは無味無臭ですが、しばらくすると大豆のような香ばしい風味が出てきます。その後は青臭い、良く言えばセロリのような風味に変わりました。苦くはないので、食べられなくはないです。

次はタンナサワフタギ。サワフタギと同類ですが、こちらは黒い実が成ります。

 

 

 

最初は酸っぱい味がして、その後は徐々に苦くなってきました。同じ仲間なのに味が全く違うのは新しい発見です。

次はアズキナシ。名前のとおり梨の食感があって食べられることは知っていましたが、実食は初めて。

 

 

 

シャリシャリ感と甘酸っぱい味で、まさに梨のよう。でも、果肉が少なくほとんどが種なので、食用には向いてないです。もう少しすると赤く熟します。

次はミズキ。サンゴのような赤い枝に黒い実が成ります。樹の本に「この2色効果で鳥を呼び寄せる」と書いてありました。

 

 

 

これもタンナサワフタギと同じく、最初は甘酸っぱいものの、後で苦くなりました。野鳥写真家・叶内拓哉さんの『野鳥と木の実のハンドブック』には、「アオゲラ、コゲラ、メジロ、キビタキ、オオルリ、クロツグミ、ヒヨドリ、ムクドリなどが好み、鳥が好む木の実ベスト5に入る」とあります。

叶内さんも試食されていて、「これといった味はしない」と書いておられます。

次はヤマボウシ。これは何度か食べたことがあっておいしいので、同行の仲間にも勧めました。

 

 

 

果肉は黄色

 

皮は赤いですが果肉は黄色でクリームのようにやわらかい。桃のようなバナナのようなフルーツっぽい甘味があります。56粒の種を吐き出さなければなりませんが、十分おいしいです。

叶内さんの図鑑によると鳥には人気がないようで、「ムクドリとオナガ以外の鳥が食べているのを見たことがない」そうです。私はメジロが食べているのを見たことがあります。

最後はナナカマド。鮮やかな赤い実が風に揺れて、「私を食べて!」とアピールしていました。

 

 

 

実食すると、はじめは甘酸っぱくて「これはいける!」と思いきや、すぐに苦い、というか渋い味に変わりました。図鑑によると、ツグミ類、アトリ類、ムクドリ類がよく食べるとか。叶内さんの感想は「味はない」。

はじめは酸っぱくて後で苦くなる実が多かったのですが、鳥は酸味や苦味を感じないのでしょうか。メジロはミカンは食べるのにレモンは食べないそうですから、それなりの味覚はあるわけですね。

また、鳥は辛味を感じないので、リス除けに辛いものを配合した野鳥用の餌もあるようです。肉食・魚食・草食など食性によって違うのでしょうが、鳥の味覚はどうなっているのでしょう?

なお、ヤマボウシは飲み込みましたが、他の実は試食後すべて吐き出しました。舌に苦味が残った場合は、お茶で口をすすぎました。また、エゴノキやハクウンボクの実は有毒(と言っても舌が痺れる程度でしょうが)と知っていたので口にしませんでした。真似しない方がいいと思います。

 

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ギネスブックを生んだ鳥

2011年10月17日 | 野鳥

世界一の記録を集めた「ギネスブック」はアイルランドのビールメーカー、ギネス社が発行していることはよく知られていますが、そのきっかけが鳥だったことはあまり知られていません。

ある時、社長のビーバー卿が仲間と鳥撃ちに出かけてムナグロを狙ったものの1羽も仕留められませんでした。「ムナグロはヨーロッパで最も速く飛ぶ鳥だからではないか」という議論になりましたが、そんな記録はどの書物にも載っていません。

「そういう記録を集めたら1冊の本になる」とひらめいたビーバー卿が、ロンドンの調査会社に記録収集を依頼。そして1951年にギネスブック第1号が完成したそうです。

次のイラストはギネスブック誕生のきっかけになったヨーロッパムナグロ。

 

 

(画像は著作権期間が過ぎたパブリックドメイン)

 

このムナグロがビーバー卿に仕留められていたら「ギネスブック」は生まれなかったわけですから、逃げ切ったムナグロに私たちは感謝しなければなりませんね。

下の動画は近くの干拓田に渡ってくるムナグロ。もう冬羽に換わっているので胸は黒くないですが、上のヨーロッパムナグロとほぼ同じです。

 

 

 

つぶらな瞳が可愛いでしょ?

ちなみに、現在のギネスブックに記載されている「世界一速い鳥」は2種類あって、水平飛行で最も速いのはハリオアマツバメで時速170km、急降下で最も速いのはハヤブサで時速300kmだそうです。

面白いことに「世界一遅く飛ぶ鳥」も記録されていて、アメリカヤマシギは失速することなく時速8kmで飛ぶことができるそうです。ホンマかいな?

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銘木見学

2011年10月13日 | 木の材

十と八を組み合わせると「木」になるので、108日は「木の日」。これに因んで、京都のある材木屋さんが「銘木見学会」を催されたので参加してきました。 

幕末には坂本龍馬をかくまったことでも知られる創業290年の老舗で、以前も当ブログで取り上げました。主に茶室や寺院建築に欠かせない銘木を扱っておられます。現在、除夜の鐘で有名な知恩院の修復工事にも木材を供給されているそうです。 

いつもは建築関係者や大工さんなど専門業者しか入れない材木置き場や加工場の中を歩きながら、貴重な木材や北山杉の磨き丸太を見せていただきました。 

 

 

材木置き場

 

 

北山杉の磨き丸太

 

説明の中で私が面白いと思ったのは、木を製材する際、たまに中に金属物が含まれていて、帯ノコが「チン」と音を立てるそうです。その原因は、猟師が放った銃の弾か、誰かが打ち込んだ呪いの五寸釘。銃弾はもちろん自然の森に自生していた巨木に、五寸釘は神社の境内にあった巨木に多いとのこと。

最近も丹波地方で買い付けたケヤキの巨木の製材中に「チン」と音がして、調べると林業用の針金が食い込んでいたそうです。金属が含まれていると、木取りの効率が悪くなるだけでなく、帯ノコも弁償しなければならないので、材木屋さんには大損。一種のギャンブルですね。

 

 

針金が食い込んでいたケヤキを製材したもの

 

値段がつけられないという屋久杉の銘木や天井用の吉野杉、秋田杉などは撮影禁止。素人には分かりませんが、プロが見るとその価値が分かるからだそうです。

 

 

撮影OKの屋久杉の銘木

 

 

きれいな縮み杢が表れたトチノキ

 

二条駅近くに材木屋さんが集中しているのは、国鉄時代に全国から木材が集荷され、ここに木場があったからだそうです。それまでは、淀川や保津川から運河を経由する船便でしたから、高瀬川沿いの木屋町が集荷場所でした。物流手段の変化によって木場も変わったわけですね。

 

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タカの渡り

2011年10月10日 | 野鳥

923日~25日の3連休、タカの渡りを観察するために宇治市と大津市の境にある山に通いました。この時期、日本で繁殖したタカが東南アジアへ帰るので、その飛翔を見るためにバードウォッチャーは全国各地の観察ポイントに集まります。

多い日には数千羽飛ぶこともありますし、1日見上げていても数十羽しか飛ばない日もあります。天候や気流、風向きによって変わるので、ギャンブルみたいなものです。

バードウォッチャーが歓声を上げるのは、タカ柱ができたとき。数十羽のタカが上昇気流に乗って旋回しながら上空へ上がっていくことを「タカ柱」と呼びます。下の動画は20羽くらいのタカ柱。

 

 

 

この時期に渡っていくのは、サシバとハチクマという2種類のタカ。その姿を動画で撮影しましたが、これが難しい。

まず、動く被写体を1分程度フレームに入れ続けるのが難しい。ズームアップするとブレる。ズームダウンすると被写体が小さ過ぎてAFが効かない。三脚では頭上を飛ぶタカが追えない。

急遽、60度ほど傾斜のある平たい岩に寝そべって、手持ちで撮ったのが下の動画。まず、サシバ。カラスくらいの大きさのタカです。

 

 

 

次は、トビくらいの大きさのハチクマ。青い空や白い雲を背景に、大きな翼を広げて悠々と飛ぶ姿を見ていると感動します。

 

 

 

結局、23日は450羽、24日は407羽、そして25日は今期最高の1261羽のタカをカウント。天気もまずまずで、気持ちよくホークウォッチングできました。

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抹茶ラーメン

2011年10月06日 | 木と飲食

お茶も木なので、以前から宇治ならではの抹茶商品をご紹介していますが、今回は抹茶の中華料理です。

京都発の全国チェーン「餃子の王将」、その直営店である宇治の大久保店に抹茶ラーメンがあると知って試食してきました。

王将は全国チェーンですが、各店独自のオリジナルメニューを提供することで繁盛しているようで、この店長は宇治にちなんで抹茶商品を考案したのでしょう。

 

 

 

スープに抹茶が入っているので緑色。こういう色のスープは見たことがないのでインパクトはあります。さて、実食・・・・。

お茶の香りは特にありません。抹茶の苦味がほのかに感じられますが、塩味が強い。誰かのブログにも「何であんなにしょっぱいの?」と書いてあったので、いつもこういう味のようです。

この店にはもう一つ抹茶商品があります。それが、下の抹茶天津飯。

 

 

 

ラーメンと同じく、衝撃的な緑色のアンがかかっています。ラーメンと違って、こちらは抹茶の香りが漂ってきました。アンにもほのかな苦味があります。あとは普通の天津飯と同じ。

値段は抹茶ラーメンが525円、抹茶天津飯が420円。正直言って「もう一度食べたい」とは思いませんでしたが、宇治市民としては店長の心意気に拍手を送りたいです。

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ゴルゴ13の先祖

2011年10月03日 | 野鳥

干拓田でようやくタシギを撮ることができました。クチバシが異様に長い、変な鳥です。

このタシギの英名はsnipe(スナイプ)。狙撃手のことをsniper(スナイパー)と言うので「何か関係があるのかな?」と思って調べたら、面白いことが分かりました。

 

 

 

フランス料理ではタシギを食材として使うそうです。ものの本には「タシギは骨も柔らかく、その味は正に焼き鳥の王者である」と書いてあるとか。

食材としてタシギを捕獲するので、snipeには「タシギ」以外に「シギ猟をする」という意味が加わり、シギ猟をする人をsniperと呼ぶようになったようです。

ここから先は私の推測ですが、タシギは警戒心が強いので、猟師は身を潜めてじっと待って弓矢なり鉄砲を撃たないと捕獲できません。狙撃手をその猟師にたとえてsniperと呼んだのではないでしょうか。

 

 

私もこの撮影のために、狙撃手のように、タシギが草むらから出てくるのを息を潜めて待ちました。

「狙撃手」と言えば、多くの男性はゴルゴ13を思い出すでしょう。あのデューク東郷の先祖はシギの猟師かも知れません(笑)。ゴルゴ13に加えて、私は映画『ジャッカルの日』と『スターリングラード』を思い出しました。

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