樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

越夏するカワアイサ

2023年06月29日 | 野鳥
前回お伝えしたように、京阪宇治駅にあるコシアカツバメのコロニーと、その近くの陵墓にあるサギのコロニーを観察する初心者向け探鳥会を日曜日に開催しました。両方のコロニーをじっくり観察できたので、みなさん満足されたようです。
しかも、下見の際にはいなかったカワアイサの雄1羽が出現。宇治川では毎年カワアイサが越夏(えっか)していますが、この時期にここで探鳥会を実施するのは初めてなので、探鳥会としては初記録です。そのことを説明すると、参加者から「エッカって何ですか?」との質問。「日本で冬を越すことを越冬、夏を越すことを越夏と言います」と伝えました。
本来はシベリアあたりへ帰って繁殖しているはずのカワアイサが日本に残っているのは異常ですが、なぜか宇治川では毎年越夏しています。ただ、繁殖はしていないようです。
5月10日にカワアイサ雄2羽を確認したものの、その後見かけないので遅まきながら北帰したのかなと思っていましたが、6月25日の探鳥会で出現したので越夏は確実です。そして、27日にカメラを持って再訪すると、雌タイプが2羽いました。



これで、雄2羽、雌2羽が越夏していることが分かりました。
探鳥会ではコロニー観察の後、すぐ近くの遊水池でオオヨシキリを見ていただきました。参加者の中に小学生が一人いて、オオヨシキリが初めてだったようで大変喜んでいました。そのオオヨシキリも撮影してきました。



コシアカツバメとサギのコロニー、越夏するカワアイサ、そしてオオヨシキリ。これだけの鳥が見られるのなら、来年から定例の探鳥会にしようかな?
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コシアカツバメのコロニー

2023年06月22日 | 野鳥
昨年もご紹介しましたが、京阪宇治駅で今年もコシアカツバメがコロニー(集団繁殖地)を形成しています。
この駅舎を設計したのは、南海電鉄の関空特急ラピートをデザインした若林広幸さん。コンクリート打ちっ放しのモダンなデザインで、駅としては初めてのグッドデザイン賞を受賞していますし、「近畿の駅百選」にも選ばれています。
そのデザインがツバメにとって好都合で、宇治川に面して丸い大きな開口部があるので、巣材となる泥や雛に与える虫をくわえて自由に出入りできます。駅側は毎年のように巣を取り払っていますが、繁殖期になるとまた営巣します。



今年は、このコシアカツバメのコロニーと駅の近くにあるサギのコロニーで、野鳥の会の初心者向け探鳥会を開催することになったので、下見がてら観察と撮影をしてきました。



せっかくのグッドデザイン賞受賞の駅舎も糞だらけ。巣の下には、2社がネットショッピング用の集配ボックスを設置していますが、それも汚れています。



天井が高いので、巣の撤去も駅員が脚立に登ってできるレベルではなく、おそらく業者に委託しているでしょう。宇治市民としては駅舎のデザインを誇りに思いますし、バードウォッチャーとしては巣を撤去しないでほしいですが、駅長は若林さんを恨んでいるでしょうね。
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緑に溺れる

2023年06月15日 | 野鳥
信州~新潟ツアーの最後は妙高の笹ヶ峰高原。駐車場にはまだ雪が残っていてビックリしました。14年前に仲間3人で来たときはなかったので、この冬は雪が多かったのでしょう。



到着して車から降りると、上空をタカが旋回しています。双眼鏡で確認するとハチクマ! 14年前は探鳥を終えて、車に乗って帰ろうとしたときに登場しました。駐車場の横で望遠鏡やカメラを構えて鳥の調査をしている方がいたので聞くと、「このあたりはハチクマが多い所です」とのこと。



その後、山菜摘みをするという妻と付かず離れずの距離を保ちながら、私は鳥探し。管理棟の板壁に穴が開いているのでしばらく見ていると、ニュウナイスズメが出入りしています。冬には関西でも見られますが、繁殖地のニュウナイスズメは赤味が強いようです。



コルリのさえずりが聞こえたので、森の中へ移動しました。この鳥は藪の中に潜んでいるので姿を見るのは難しいですが、せめて声だけでもとカメラを回しました。20分ほどねばりましたが、案の定、確認できたのは声だけでした。



少し移動して乙見湖の湖畔に行くと、イワツバメがたくさん飛び回っています。工事中の管理棟の軒下で巣造りの真っ最中。産卵はまだのようで、雌雄が入れ替わり立ち替わり土を運んで古巣を修繕しているようでした。



これが今回のツアーの最後の探鳥となりました。帰路、道路の横の林に猿の親子が登場したので、車を停めて撮影しました。



その後、また戸隠に戻って、妻が行きたがっていた信州名物おやきの店・いろは堂へ。シラカバやカラマツ、トチノキなど新緑のトンネルの中を走っていると、妻がふと「緑に溺れそう」と言いました。確かに、今回の旅行はそんな感じでした。
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聞きなしの今昔

2023年06月08日 | 野鳥
前回ご紹介した信州旅行では、戸隠の後、斑尾高原へ足を延ばし、妻を温泉に預けて、私は沼の原湿原でバードウォッチングに勤しみました。
戸隠は仲間3人で訪れて以来23年ぶりでしたが、ここも14年ぶり。2009年6月6日(土)、京都から夜通し走って朝5時に到着し、3時間ほど探鳥した後、車で仮眠しました。
3人と1人では鳥の姿や声をキャッチする範囲が違うこと、時間が前回は早朝・今回は午後であることに加えて、私の聴覚が衰えているので期待したほどの鳥は見聞できませんでした。
収穫はイカルのさえずり。関西でも聞かれますが、なぜかタイミングが悪くてさえずりを撮影できなかったのです。
私がいちばん好きな鳥のさえずりはイカル。美しい声ではないですが、のほほ~んとしていて、聞いていると気持ちがゆるみます。



斑尾高原の後、さらに北上して新潟県の妙高高原へ。ペンションで1泊し、朝食前にいもり池へ行きました。ここも14年前の鳥見ツアーで訪れ、関西では見る機会の少ないノジコを堪能しました。
今回もノジコとの再会を期待しましたが、結局遭遇できず。代わりに、ホオジロのさえずりを楽しみました。この鳥も関西でよく見られますし、さえずりもよく耳にします。
ホオジロの聞きなしは「一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)」と言われてきましたが、きょうびこんな古い言い方は若い人には通じません。その後「札幌ラーメン味噌ラーメン」という聞きなしになり、さらにある漫才コンビのギャグ「ラッスンゴレライ」と聞きなす人も現れました。そんな風には聞こえませんが、リズムだけは合っているようです。



最近、探鳥会で初心者に鳥を説明する際「意味が通じにくいな~」と思うことがあります。ホオジロの聞きなしもそうですし、上述のイカルの聞きなしは「お菊二十四」ですが、きょうび「お菊」というような名前の女性はいないので、女性の年齢の意味であることが通じません。最近は「キーコーヒー」と聞きなすようです。
また、タカとトビの違いを「三味線のバチみたいな尾羽はトビ」と説明しても、三味線のバチを見たことがない人には意味が分かりません。昔は三味線を持った漫才師がテレビによく登場したので、高齢者には通じますが、若い人は「?」のようです。
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戸隠で鳥見

2023年06月01日 | 野鳥
月曜から昨日まで2泊3日で長野県と新潟県へ行ってきました。いつものように妻を温泉に預けて、その間バードウォチングを楽しむというパターン。3日ほど前まで雨の予報でしたが、私は晴れ男のようで、移動日の月曜のみ雨で後の2日間は絶好の鳥見日和となりました。
1日目は信州の戸隠。2000年の同じ時期に仲間3人で訪れて以来23年ぶり。火曜日の朝食前5時~7時とチェックアウト後の午前中、じっくりと森林植物園の中を歩きました。最初に現れたのはアカゲラ。細い木の幹をつついて虫を捕食しているようです。動画前半の雌は早朝、後半の雄は午前中に撮影したもの。この森はキツツキが多く、アカゲラやアオゲラの声、オオアカゲラのドラミングが何度か聞こえました。



「戸隠も昔に比べると鳥が少なくなった」という話を耳にしていたので、それほど期待はしていなかったものの、やはり「少ないな~」というのが実感でした。20年前はクロジの姿やコルリの声も見聞しましたが、今回は確認できませんでした。
むしろ、宿の前のシラカバで繁殖しているゴジュウカラの方が面白かった。オーナーの話では、ほぼ毎年繁殖しているそうで、再利用のためか時々アオゲラが巣穴をのぞきに来るとのこと。宿泊客が食事する食堂のすぐ前のシラカバで、人に馴れているのか警戒心が弱いようです。



宿を包む森にもキツツキが多く、オオアカゲラがアカゲラを追いかけていました。戸隠はキツツキの密度が高いようです。
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