樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

忙しい採餌

2017年09月28日 | 野鳥
じっくり観察できるので私はシギが好きですが、中でもお気に入りはオグロシギ。この鳥を見ると、着物姿の女性を連想します。ただ、姿や色は優雅ですが、餌を食べるときは忙しく頭を上下させます。関西弁でいうと「せわしない」。
下の動画は2011年9月に近くの干拓地で撮ったオグロシギ。もう1羽のハマシギと比べると、その忙しさがよく分かります。



どれくらい忙しいか、動画をコマ落としで調べてみたところ、1秒間に10回~12回クチバシを地面に差し込んでいます。
この動きで思い出すのは、キツツキのドラミング。コゲラやアオゲラは1秒間に20回、クマゲラは18回木をつつくとされています。分かりやすい例として、クマゲラのドラミングをご紹介します(撮影は私ではありません)。



オグロシギのように忙しく採餌する鳥が他にいたかな?と思って、シギの動画をチェックしたところ、オオソリハシシギが浮上しました。オグロシギの近縁種で、見分けが難しいほどよく似ています。
下の動画は昨年11月に千葉県の谷津干潟で撮影したオオソリハシシギ。1秒間に7回~8回クチバシを出し入れしています。



同じく近縁種のオオハシシギやシベリアオオハシシギについてYou Tubeで調べてみましたが、こんなに忙しい採餌はしないようです。
オグロシギやオオソリハシシギはなぜ忙しく採餌をするのか? 泥の中にいる虫を驚かせて追い込むためか? 水中のユスリカの幼虫が小さいのでたくさん食べないとお腹が一杯にならないからか? いろいろ推測しましたが、正解は私分自身が3年前に撮った動画の中にありました。



泥の中の貝のようなものをクチバシの中に放り込んでいます。この干拓地にたくさん生息するジャンボタニシのようです。図鑑によると、オグロシギの餌はミミズ、ゴカイ、水生昆虫、甲殻類とのことですが、私自身はオグロシギがミミズやゴカイを食べるところは見たことがありません。
いずれにしても、忙しく泥の中にクチバシを突っ込んで、餌となる虫やタニシ、甲殻類を探しているわけです。
私としては、最もお気に入りのシギなので、食事ももう少し優雅にしてほしいのですが…。
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コアオアシシギに恋したエリマキシギ

2017年09月20日 | 野鳥
この時期の私の鳥のメインフィールド・巨椋(おぐら)干拓地は、国道1線によって東エリアと西エリアに分かれています。8月28日、西エリアにエリマキシギがやってきました。けっこう珍しく、私は確か3年ぶり。
この鳥は、繁殖期に首の羽毛がマフラーのようにフワフワに膨らむのでこの名前で呼ばれますが、日本でその姿を見ることはまずありません。ただ、この個体は下の動画(後半)でも分かるように、首の羽毛のボリュームが大きく見えます。「繁殖期はこれが膨らんでマフラーのようになるんだな」と納得しました。



9月8日には東エリアで別個体のエリマキシギを発見しました。同じ休耕田にコアオアシシギもいたのですが、エリマキシギが妙な行動を始めました。
コアオアシシギの後をついて歩くのです。コアオアシシギが嫌がって休耕田の中央部に逃げると、エリマキシギも後を追いかけてくっついています。



何度かそんな行動をみせるので、「コアオアシシギを雌と勘違いしてペアリングしようとしているのかな」と思ったり、「それにしては大きさが違うから、相手を間違えるわけないしな~」と思い直したりしていました。
帰宅後に図鑑を調べると、面白ことが判明しました。数あるシギの中で、エリマキシギだけが雄と雌のサイズが違うのです。雄29cmに対して雌22cm、7cmも差があります。そして、コアオアシシギは雌雄とも24cm。
やはり、コアオアシシギをエリマキシギの雌と思い込んで追いかけていたようです。繁殖期以後にプロポーズ行動を示す事例があるのかどうか知りませんが、私にはそう思えました。
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さすが、宇治!

2017年09月14日 | 樹木
珍しく妻が「ハイキングに行きたい」と言うので、先週の秋晴れの日、おにぎりを持って出かけました。裏山を越えて天ケ瀬ダムへ降り、宇治川沿いを歩く約8kmのコース。
最近の当ブログは鳥の話ばかりで「看板に偽りあり」状態になっているので、久しぶりにツリーウオッチングしながら歩きました。
保育園の生け垣のサンゴジュが真っ赤な実をつけていました。この実を珊瑚に見立ててのネーミング。防火性があることから、国会の敷地の周囲には等間隔で植えられています。



宇治川の河畔にはアキニレがたくさん自生していて、名前のとおり今が花盛り。日本の高木広葉樹では最も葉が小さいと思いますが、花も小さい。種子は鳥に人気があって、マヒワやウソが食べにきます。



下の写真は、ヌルデの花。ウルシの仲間ですが、よほど敏感な人でなければかぶれることはありません。冬になると実の周りに塩を分泌するので、鳥たちが塩分補給にやってきます。「本当にしょっぱいのかな」と思って口に入れたことがあります。かぶれないと知りつつ、ちょっと勇気が要りました。少し酸味のある塩味でした。



山裾に妙な実をつけている木が群生していました。最初は樹種が分からなかったのですが、チャノキのようです。宇治には茶畑が多いですが、野山で見ることはないので少し驚きました。さすが、宇治! チャノキが野生化しているわけです。妻が「面白い」と手折って持ち帰り、テーブルに飾りました。



退院後、こんなに長い距離を歩くのは初めてでしたが、不安もなく、まったくNo Problem。途中からバスで帰る選択肢もありましたが、歩いて帰宅しました。

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ワシを救ったシギ

2017年09月07日 | 野鳥
8月30日、仙台のKoboパーク宮城で行われた楽天-西武の試合中に、鳥の群れが飛び回ってゲームが中断されるという珍事が起きました。ニュースの映像を見たときは「ハマシギかな」と思いましたが、日本野鳥の会宮城支部の会員が映像を確認したところアカエリヒレアシシギだったそうです。



3年前の「野球と野鳥(日本編)」という記事でご紹介しましたが、アカエリヒレアシシギの群れによるゲームの中断は過去にも3回ありました。
そのアカエリヒレアシシギが、近くの干拓地にも現れました。ただし、群れではなく1羽単独。9月1日、例によってシギチ観察のために干拓地をウロついたものの鳥影がなく、帰るつもりでたまたま立ち寄った休耕田にいました。思いがけない出会いで、一人でじっくり観察できました。



仙台の球場で飛び回った後、こちらに1羽だけ迷い込んできたのかな? 今の時期は冬羽なので名前のように襟は赤くないですが、この個体は少し赤味が残っています。
楽天-西武の試合は8回表終了後に降雨と鳥の群れで約1時間中断し、再開後に楽天が4点差をはね返して同点としたところで再び雨が降ったために、コールドゲームとなって引き分けました。負けていたゴールデンイーグルスをアカエリヒレアシシギが同点にして救ったわけです。

※大リーグにも、打球がカモメの群れに当たってタイムリーヒットになり、サヨナラ勝ちしたというゲームがあります。その記事「野球と野鳥(大リーグ編)」はこちら。
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