樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

冬鳥続々

2020年10月29日 | 野鳥
先日の日曜日、宇治川の野鳥生息調査に参加しました。宇治在住のいつものメンバー3人で、宇治川の堤防や河川敷を約8km歩きながら、確認できた鳥を記録していきます。
今回はなぜか鳥が多く、記録係の私は大忙し。ノビタキも3回現れました。この鳥は春と秋に日本を通過する旅鳥で、この周辺では秋によく見かけます。調査にはカメラを持参しないので撮影はしていませんが、以下は10月1日に干拓地で撮ったノビタキ。



いつもは出現率5割ほどのミサゴが何度も登場しました。仲間と「同一個体かな~?」と話していたら、最後のポイントで2羽が同時に上空を飛翔。ペアか兄弟か不明ですが、宇治川で同時に2羽のミサゴを目撃するのは私は初めてです。
冬鳥のカモはまだ到着していなかったものの、ツグミは2羽確認。今回特に多かった冬鳥はジョウビタキ。雄雌合せて16羽記録しました。もう少し寒くなると、近所やわが家の庭でも見られます。仲間も今季初めてのようで、「ジョウビタキは川沿いに渡ってくるのかな?」とのこと。下は4年前に宇治川沿いで撮影したジョウビタキ雌。



このほか、オオムシクイ、ハイタカも登場し、宇治川は秋の渡り鳥と早着の冬鳥で賑わっていました。
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かもめの玉子

2020年10月22日 | 野鳥
久しぶりに鳥のお菓子。以前、「鳥のスイーツ」と「雀のお宿」で京都府内のお菓子をご紹介しましたが、今回は岩手県大船渡市にある「さいとう製菓」の銘菓「かもめの玉子」。
下の写真のように、黄身あんを包んだカステラまんじゅうを玉子型に焼き上げ、外側をホワイトチョコレートでコーティングして殻に見せています。



同社のウェブサイトによると、昭和26年に店主が大船渡の観光土産にするべく、新しい菓子づくりに着手。大船渡の名物といえば海原を飛ぶカモメであることから、「かもめの玉子」を商品化して翌年に販売しました。順調に売り上げを伸ばしたものの、昭和36年に南米チリで大地震が発生し、その津波を受けて大船渡をはじめ三陸沿岸は大きな被害を受けます。さいとう製菓もほぼ全壊。それでも、長男が帰省して家族総出で菓子作りを再開します。
当時は現在のような完全な玉子型ではなく、鉄板で焼くために下が扁平で上半分だけが玉子型という不完全なものでした。再開を機に完全な玉子型にするべく、成型機を作ったり、鉄板をオーブンに変えたり、温度を変えたり、生地にマーガリンを入れるなど試行錯誤を繰り返して、昭和42年にようやく現在のような玉子型が完成したそうです。



その後、全国にも知られる銘菓となり、現在はチョコレートでコーティングしたもの(写真上)をはじめ多彩なバリエーションがそろっています。
ちなみに、大船渡市の鳥はカモメ類の1種ウミネコです。
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キジとヘビ

2020年10月15日 | 野鳥
下の絵は葛飾北斎が描いた「雉と蛇」。昔から、キジは自分の体にヘビを巻きつかせ、強く羽ばたいてズタズタにちぎり、ゆっくり食べるという言い伝えがあったようで、そのシーンを描いた版画です。北斎はこの衝撃的な題材が気に入っていたようで、他の作品にも描いています。



地上に営巣するキジと、その卵を丸呑みするヘビは敵対関係にあるので、そうした言い伝えが生まれたのでしょうが、バードウォッチャーなら「そんなことはあり得ない」と思うでしょう。私もこの絵を見た時はそう思いました。
ところが、日本野鳥の会の創始者・中西悟堂の本を読んでいると、以下の話が出てきました。悟堂が富士山でキジの巣の近くにテントを張って生態を観察していると、ある日アオダイショウが卵を飲みに来たところに、雄キジが戻ってきてバッタリ出くわします。
蛇の方でも思いがけなく正面衝突をした雄雉に驚いた様子で進行を中止したが、それもほんの2、3分で、雉が立ちすくむのをじっと見据えた後にズルリズルリと雉に向かって近づいて行った。やがてその距離は半メートルばかりになった。と思った瞬間に、蛇のからだは一躍して雉に飛びついていたが、もうそのときは、蛇は雉の胴を一巻き巻き、雉はもろくも横倒しにされて、脚で地面をふんばりながらもがいていた。
そして蛇の方へと顔をねじむけながら、隙あらば、蛇に一撃を加えようと、目を興奮で赤くしているのである。しかしその間にも蛇のからだは弾みを打って、二巻き、三巻き、そのたびに雉の体が締められてゆく。(中略)
その長い胴が四巻き目を巻くときであった。地を蹴った脚の力で立ち上がった雉が、凄まじいホロを打って、体力のすべてをこめた羽ばたきと共に、ぐるぐる巻いた蛇を一挙にはじきとばし、蛇はその力でしたたかに地上に投げ出されて、紐のように伸びてしまった。

悟堂がその蛇を確認したところ、脊椎骨が3カ所折れてこときれていたそうです。さらに数年後、知人が朝鮮で目撃した全く同じような雉と蛇の話を聞きます。なお、「ホロを打つ」とは、キジが翼を大きく羽ばたくこと。
わざと巻きつかせ、羽ばたいてちぎって食べるという話はオーバーですが、キジがホロ打ちでヘビを殺すことは事実のようです。
北斎の絵と同じ「雉と蛇」と題された短文ですが、悟堂は絵のことを知らなかったようで、そのことには触れていません。
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タカの渡り

2020年10月08日 | 野鳥
秋は毎年、近くの干拓地でシギ・チドリを観察するか、少し遠出してタカの渡りを観察します。今年は、タカの渡りのポイントへのルートが工事中のため少し遠回りになったことと仕事が忙しくなったこともあって、9月の4連休の最終日に1回行ったきり。仕事はほとんど引退状態ですが、ありがたいことに最近なぜかお呼びが掛かって3つ4つ大きな仕事を抱えています。
この日は190羽のタカが渡っていきましたが、遠く高いところを飛ぶ個体が多く、ちょっと心残りでした。サシバは126羽カウントされました。



ハチクマは40羽でしたが、私はしっかりキャッチできず、代わりにノスリは何度かじっくり観察できました。



オオタカの幼鳥がほぼ目線の高さを飛んで行きましたが、渡りではなく地付きの個体のようです。



秋はタカだけでなく小鳥も渡る時期で、このポイントでは南へ帰る鳥が立ち寄って行きます。最も多く観察されるのがエゾビタキ。この日も調査・観察ポイントの周囲を何羽かがウロウロしていました。



タカのような大型の鳥が東南アジアへ渡って行くのはまだ納得できますが、こんな小さな鳥がシベリアから日本を通って東南アジアまで飛んで行くことがいまだに信じられません。
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ミニホットスポット

2020年10月01日 | 野鳥
そろそろシギ・チドリの渡りも終盤。今年の干拓田は昨年よりもやや休耕田は増えたものの、鳥の種類や数が少なかった。
今までは1枚の休耕田に多様な種類のシギやチドリがやってきて餌を獲ったり、羽を休める「ホットスポット」がありましたが、今年はそう呼べるような場所はありません。ただ、先日訪れた休耕田には、ヒバリシギ、セイタカシギ、アオアシシギ、タシギがいて、ミニホットスポット状態にはなっていました。
一旦離れて、1時間ほど後に行くとヒバリシギがまだいましたが、猛禽に襲われたのか、釣り糸がからんだのか、左の脚指がないようで、歩きにくそうにしながら健気に採餌していました。



別の休耕田ではシマアジが1羽羽を休めていました。このカモは冬鳥ではなく旅鳥で、春と秋に日本を通過します。いつもは動画で撮影しますが、じっとしているので静止画で撮ってみました。



昨年の休耕田がそのまま耕作放棄地になったり、水田が飼料米の水田やネギ畑に変わったり、温暖化で稲が成長し過ぎるために田植えが遅くなったり、水を抜く時期が早くなったり、鳥にとって干拓地の環境が徐々に変化しています。残念ながら、シギやチドリにとってこの干拓田は居づらい環境になりつつあるのでしょう。
それでも、来年またたくさんのシギやチドリに会えることを期待します。
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