樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

誕生鳥

2013年07月29日 | 野鳥
めでたい年でもないので何回目かは書きませんが、昨日は私の誕生日でした。星座なら獅子座、歌の文句にありましたが「誕生石ならルビーなの」(笑)。
この手の「誕生●」というのはいろいろあるようで、「誕生花」もあれば、以前ご紹介したように「誕生樹」もあります。さらに「誕生鳥」というのもあります。
星座や誕生石は世界共通のようですが、誕生花も誕生樹も誕生鳥も、考案者それぞれが勝手にあてはめただけのようです。とは言っても、樹と鳥はちょっと気になります。
私の場合、日本植木協会が定めた「誕生日の樹」ではニワナナカマド、『誕生樹』という本ではホルトノキでした。そして、あるサイトで誕生鳥を調べるとキンバトとのこと。


キンバト Photo by benjamint444

見たことのない鳥で、図鑑で調べると、日本では石垣島の留鳥のようです。
誕生鳥のサイトはもう一つあって、こちらではアカガシラモリハタオリでした。アフリカに生息する鳥で、赤い鮮やかなハタオリドリの仲間のようですが、もちろん遭遇したことはないです。
なぜその日がその鳥なのか、何の根拠もないと思いますが、みなさまもお遊びでご自分の誕生鳥を調べてみてください。
「あなたの誕生鳥と鳥言葉」は こちら
「誕生鳥大辞典」は こちら
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ヒポクラテスの木

2013年07月25日 | 木と医薬
古代ギリシャの医者・ヒポクラテスは「医学の父」とか「医聖」と呼ばれていて、死後2400年の今も「ヒポクラテスの誓い」が医師の倫理として受け継がれているそうです。
9項目の「誓い」には、「依頼されても人を殺す薬を与えない」とか「市民と奴隷の相違を問わず医術を行う」「患者の秘密を遵守する」などが掲げてあります。
生地であるギリシャのコス島にはプラタナスの巨樹があり、その下で弟子たちに医学を教えたことから、「ヒポクラテスの木」として現在も保存されています。ということは、樹齢3000年くらいのプラタナスということになります。
その「ヒポクラテスの木」の末裔が、日本の医学関係者によって持ち帰られ、あるいはギリシャから贈られ、各地の病院や医系大学の敷地に植えられています。京都大学医学部付属病院にも2株あるというので行ってきました。


昭和33年の卒業生が持ち帰って寄贈した「ヒポクラテスの木」


寄贈者は京都でも指折りの巨大病院グループの会長

プラタナスは街路樹として使われていますが、ほとんどはモミジバスズカケノキかアメリカスズカケノキで、「ヒポクラテスの木」はスズカケノキ。写真のように葉の切れ込みが深く、街路樹の葉とは少し形状が異なります。



日本には9系統の「ヒポクラテスの木」があるそうです。つまり、9人の医学関係者がギリシャから持ち帰ったり、ギリシャの友好団体から寄贈されたわけです。
そのすべての株を調べている人がいて、その調査結果によると、日本には250株が移入され、そのうち95株の生存が確認されています。
ただし、すべての株が現地の原木と同じDNAを持つかどうかは調査できていないとのこと。本物の「ヒポクラテスの木」の実から育ったもののほか、ギリシャで育った別の株も混じっているようです。
いずれにしても、2400年前の医者の倫理がゆかりの木とともに受け継がれていることは興味深いですね。
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音の名の鳥

2013年07月22日 | 野鳥
以前、「色の名の鳥」というタイトルで、名前に色がついた鳥が191種、全体の3分の1いることをご紹介しました。では、さえずりなど声や音が名前になった鳥はどれくらいいるだろうと思って調べてみました。
この音の命名法には2通りあって、1つは声をそのまま名前にした擬声語タイプ。例えば、カッコウ、ジュウイチ、ホトトギスなど。中には、声と姿が入れ替わっているブッポウソウもいます。
面白いのはセンダイムシクイ。「チヨチヨ」という声を「千代千代」と表記し、その「千代」を「センダイ」と読ませる高等テクニック。私も仕事で新商品のネーミングを考える際にいろいろな技法を駆使しますが、センダイムシクイはコピーライター好みの命名です。
欧米にもプロ好みの名前があります。チュウシャクシギの英名はWhimbrelですが、別名はSeven Whistler(7つの笛吹き)。飛び立つ際に「ピピピピピピピ」と笛のような声を7回発するからだそうです。
「本当かな?」と気になって、自分の耳で確かめるべく、チュウシャクシギの群れがいる大阪府南部の河口へ行ってきました。動画の最後、音量が低いですが、飛び立つとき確かに「ピ」が7回聞こえます。



話を元に戻して、擬声語の命名はこのほかに、ヒヨドリ、ビンズイ、オオジュリンがあります。アオバトの由来は声の「アオーアオー」と色の「あお(緑)」の両方考えられますが、多分色でしょう。
もう一つの命名法は、声を何かの音に例える比喩タイプ。例えば、ウミネコ、ライチョウ、コマドリ、ウソ(口笛の古語)など。トケン類は全4種すべて音の命名で、前述のようにカッコウ、ジュウイチ、ホトトギスが擬声語タイプで、ツツドリが比喩タイプ。
ちょっと凝ったネーミングは、「ツキヒホシ、ホイホイホイ」のサンコウチョウと、「カッ、カッ」という声を火打ち石の音に例えたジョウビタキ。プロ好みのネーミングは、サンショウクイ。「ピリリ、ピリリ」というさえずりを山椒の食感に例える言語感覚には脱帽します。
日本人のネーミングセンスも秀逸ですが、チュウシャクシギの声を数えてSeven Whistlerと命名するイギリス人もなかなかコシャクです(笑)。
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緑の埋葬

2013年07月18日 | 木と宗教
樹木葬に関心があって当ブログでも3回記事にしましたが、最近は欧米でも希望者が増えているようです。
イギリスには「Green Burial(緑の埋葬)」という習慣があり、ある調査では3分の2の人がこの埋葬法を希望しているという結果が出たとか。その用地もすでに200カ所にのぼり、2000年に比べると2倍増とのこと。
アメリカでもGreen Burialが根付いて、例えばニューヨーク州には広大な森に囲まれた「緑の埋葬」エリアがあり、1区画500ドル、墓穴を掘る費用350ドルで売り出されています。
自然に還すというコンセプトなので、遺体への防腐処理は禁止、棺も内張りや金属製の装飾がなく、生物分解性のある木製やダンボール製に限定されています。さらに、記念碑や墓石、彫像なども禁止。墓標として平たい自然石は許されるそうですが、木を植えることが推奨されています。


樹木葬ならこんな感じで眠るわけです。安眠できそうでしょう?

スイスには、樹木葬用の森を確保し、生前に選んだ樹の下に埋葬してくれる会社が登場しました。選べる樹種はカエデ、ブナ、ポプラなどの広葉樹。針葉樹は害虫に侵されやすいので避けているそうです。
希望によって死者の名前を彫った小さなタグを樹にくくりつけることができますが、墓地ではなくあくまでも森なので、花を飾ったり供物を供えることは禁止です。
費用は、樹1本50万円~100万円。1本の樹に10人まで埋葬できるそうですから、家族が少ないと割高です。
ここを選んだ人の理由は「墓を維持するという負担を家族に押し付けたくないから」が大半とのこと。このあたりの感覚はヨーロッパも日本も同じなんですね。
この会社はスイス国内に62カ所の樹木葬用の森を確保しているそうで、それだけ需要が増加しているということでしょう。日本でも今後ますます樹木葬を希望する人が増えるのではないでしょうか。
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落語の中の野鳥

2013年07月15日 | 野鳥
1カ月前に「落語の中の樹木」をご紹介したので、今回はその鳥バージョン。YouTubeで聞きまくっていた落語の中に、野鳥を題材にした演目が3つありました。
1つは「鶴」。「ツーと飛んできてルーと木に止まるからツルと呼ぶようになった」という他愛もない話です。
もう1つは「抜け雀」。ある男が旅館の代金を払えないので、襖に雀の絵を描きます。その雀が朝になると襖から飛び出して外で遊び、夕方になると戻って絵に収まる。それが評判になって旅館は大繁盛するうえに、お殿様が雀の絵を大金で買い上げる話まで舞い込むというお話です。
桂米朝ならではの格調高い一席でした。
落語らしいのは「鷺取り」。ある男が鳥を捕まえて金を稼ごうとします。雀でも鶯でも失敗したので、ご隠居に教えを乞うて、夜中、池で眠っている鷺を取りに出かけます。簡単に捕まるので、調子にのってたくさんの鷺を取って首を帯に差し込みます。
鷺としか表現されていませんが、多分コサギのことでしょう。



ところが、朝になって鷺が目を覚まし、いっせいに羽ばたいたので、男は空中へ運ばれます。目の前に現れた鉄の棒につかまって助かったものの、五重塔のてっぺんだったというお話。
桂枝雀では天王寺の五重塔ですが、東京の柳家小せんでは浅草寺の五重塔になっています。
この男が考え出した雀の捕獲法は、こぼれ梅(味醂の搾りカス)を地面にまき、それを食べた雀が酔った頃に殻付きの落花生をばらまいて、雀が枕代わりにして眠ったところを一網打尽にするというもの。
鶯の捕獲法は、梅の木のような色糊を塗りたくった腕を天窓から突き出し、止まった鶯を捕まえるというもの。いずれも荒唐無稽で、いかにも落語らしい展開。
落語そのものも面白いですが、昔の人の野鳥観察の視点がうかがえて面白いです。
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『パパの木』

2013年07月11日 | 街路樹・庭木
樹木が主人公の映画を観てきました。『パパの木』というオーストラリアの作品。
車を運転していたお父さんが帰宅直前に急死し、家の前の巨木に衝突。遺されたお母さんと4人の子どものうち、8歳の女の子がその木にお父さんがいると思い、登って話しかけるようになります。
しかし、枝が落ちて部屋を壊したり、根が排水管や隣家の塀を壊したりするので、伐採することになります。
ところが、「木=パパ」と思っている女の子が樹上に籠城して抵抗するので、しかたなく伐採は中止。そんなある日、巨大な嵐が襲来します。窓もドアも強風で壊れたので、家族は地下に避難。いよいよクライマックスです。



「最後はパパの木が家族を守ってくれました、みたいなハッピーエンドで終わるのかな」と思って観ていましたが、さすがカンヌ出品作だけあって、そういう生ぬるいラストではありません。
結局、パパの木も嵐で倒れます。何もかも失った家族は、残ったわずかな家財道具を車に積んで、新しい暮らしに向って出発するというエンディング。
原題は『THE TREE』。ツリーウォッチャーとしては樹種が気になるので、字幕に出た「オーストラリアゴムノキ」をたよりに調べてみると、クワ科イチジク属の常緑樹とのこと。実もイチジクに似ていて、アボリジニの食料だったそうです。
私自身の父と木の思い出といえばカキノキ。幼い頃、何かの理由で父の怒りを買い、裏庭のカキノキに縛り付けられました。しばらく泣き叫んだ後、母が解いてくれた記憶があります。
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メジロの赤ちゃん

2013年07月08日 | 野鳥
バードウォッチングとツリーウォッチングのほかに、密かにもう一つのウォッチングを楽しんでいます。鳥や木を見ても笑顔になることはほとんどありませんが、これを見ると必ず頬がゆるみます。美しい女性ではありません。赤ちゃんです。
道やスーパーでベビーカーとすれ違うときは必ず中を覗きます。電車に乗れば赤ちゃんを連れたお母さんの近くに座って、さりげなく赤ちゃんを眺めたり、アイコンタクトで遊んだりします。
YouTubeに投稿された、赤ちゃんが遊んでいる動画やお父さんと一緒にお風呂に入っている動画を眺めてニヤニヤしています。
変なオジサンと思われるかも知れませんが、赤ちゃんの表情や動きを見ていると飽きません。生まれ変わったら保育士になりたいと思っています。
先日、そのベビーウォッチングとバードウォッチングを同時に、しかも居ながらにして堪能しました。庭にメジロのヒナが現れたのです。



かわいいですね~。ここには写っていませんが、このヒナの前後に親鳥がいて、片方は虫をくわえていました。多分、餌で巣立ちを促して、ヒナが飛び出したところだったのでしょう。
庭木を剪定するとメジロの巣があるので繁殖していることは分かっていましたが、ヒナを見たのは初めて。わが家の庭でこれまでに繁殖したのは、スズメ、ヒヨドリ、シジュウカラ、キジバト、メジロの5種。来年はシジュウカラのバード&ベビーウォッチングができないかな~。
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勝手に豊作

2013年07月04日 | 木と飲食
うちの庭は今年豊作です。
まずイチゴ。5年程前に伯母からもらった観賞用のイチゴを地植えして増やしていたところ、今年はなぜかたくさん実が成ったので、初めて収穫してジャムにしました。食用ではないものの、アクを取れば普通のイチゴジャムとして食べられます。
ブルーベリーもたくさん結実しました。4本のうちいつもは2本しか実が成らないのに、今年はなぜか4本とも鈴なり。これもジャムにして、朝トーストにつけて食べています。


収穫したブルーベリー

赤ジソも勝手にたくさん生えてきました。どこかから種が飛んできたようで、ご近所の庭にもたくさん生えているようです。
せっかくなので、収穫してキュウリとナスの「柴漬け」を作りました。期待せずに食べたら、これがなかなかおいしい。妻が料理の先生に野菜の下ごしらえ方法を教えてもらったそうで、キュウリやナスを固く絞るのがポイントらしいです。


手作りの柴漬け

カボチャも元気です。毎年、コンポストに捨てた種から勝手にツルを伸ばしますが、今年はいつもの倍の数のツルが出てきました。庭一面に広がって邪魔なのに、妻が「見ているのが面白い」と言うので放置しています。
これまでは庭を占領する割に結実は1~2個。しかも果肉も薄く、甘味もないので天ぷらにする程度でしたが、今年は期待できそうです。


龍のように庭をのたうちまわるカボチャ。赤紫の葉は赤ジソ

このほか、ジャガイモとミニトマトも勝手に生えてきました。おかげで、自給自足気分が味わえたり、何か得したようでうれしいです。
今年は木の実や野菜の当たり年なのでしょうか。みなさまの畑はいかがですか?
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ハトは平和のシンボル?

2013年07月01日 | 野鳥
タバコをやめてもう何年も経つので、どんな銘柄があるのか知りませんが、昔は「Peace」が人気でした。
パッケージにはオリーブをくわえたハトが描かれています。このデザイン料としてアメリカの有名デザイナーに支払われた金額は150万円。当時の日本の総理大臣の月給が11万円だったそうです。



この「ハト=平和(Peace)」というアイコンはいつ成立したのか気になって調べてみました。オリーブをくわえた鳩のルーツは『創世記』の「ノアの方舟」ですが、それがなぜ、いつ、「平和」という意味を持つようになったのか?
一つの説は、ピカソが1949年のパリ国際平和擁護会議のポスターにハトを描いて以降というもの。ピカソはハトが好きで、あちこちに描いていますし、娘をパロマ(スペイン語で「ハト」)と名づけています。
ところが、ピカソよりも前にハトとオリーブで平和を表現した図案が、意外にも日本にあります。下は第1次世界大戦の終結を祝して発行された日本郵便の切手。ピカソのポスターより30年前の1919年(大正8年)のことです。



「ハト=平和」というアイコンが日本発なのか否か、これ以上は遡れなかったのですが、日本にはもう一つハトをシンボルにしているものがあることに気づきました。
八幡宮です。妻の実家の近くには鶴岡八幡宮があり、お土産はいつも「鳩サブレ」でした。さらに、京都の三宅八幡宮は、狛犬がハト、絵馬がハト、境内のお店で売っているのが「鳩餅」とハトだらけ。





しかし、八幡宮に祀られているのは軍神。昔の武士が武運を祈願した神様です。平和とは逆に戦の神の使いとしてハトが存在するわけです。
日本では「ハトは平和のシンボル」とは言えなくなりますね。
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