樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

蛸は大阪名物

2006年08月30日 | 伝説の樹
仕事先の方に「蛸の松」という由緒のある樹があると聞いて、炎天下、大阪の中之島を歩いて見てきました。

         

堂島川に架かる田蓑橋を渡った左手に、立派な石碑と共に1本のクロマツが植えてあります。案内板によると、江戸時代、中之島には諸藩の蔵屋敷が建ち並び、その前には各藩自慢の松が植えられて、人々は屋敷の白壁と松の緑を楽しんでいたそうです。中でも、久留米藩と広島藩の境の浜にあった松は枝振りが立派で、蛸が泳ぐ姿に似ていることから「蛸の松」と呼ばれていました。

      

ところが、次第に樹勢が衰え、明治になってついに枯れたため伐採されました。その切り株は現在も大阪教育大学に保存されているそうです。
そして、約120年後の一昨年、篤志家たちによって「蛸の松」が再現されました。今では林立するタワービルに囲まれていますが、江戸時代は白壁と瓦屋根の蔵屋敷を背景にした風情のある景色だったでしょう。
そんな当時の様子を描いた絵を、神宗(かんそう)という老舗の昆布屋さんが所蔵していて、商品のパッケージに使っています。現在では、こうした絵から当時の様子を想像するしかありません。

         

京都は歴史の古い街なのでいろんな伝説のある樹が多いですが、商売の街、物流の街、大阪にもいろんな由緒のある樹があるようです。最初、「蛸の松」という名前を聞いたとき、「大阪名物、たこ焼きに因んだ松かな」と勝手に想像しましたが、全然違いました。
コメント (12)
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