樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

「丹後王国」で鳥見

2022年04月28日 | 野鳥
前回に続いて、帰省した際のバードウォッチングの報告です。故郷の町で1泊した翌日、丹後半島方面へ向かいました。妻を温泉に送ってから、夏羽のオオハムを期待して一人で琴引浜へ…。ここは、25年前のナホトカ号重油流出事故の際、油まみれの海鳥を保護するために何度か通ったところ。
当時を思い出しながら沖を探すと、いました、いました、オオハムが…。夏羽1羽と冬羽1羽が波の間に浮かんでいます。妻を迎えに戻る途中、間人(たいざ)の海岸でも冬羽を2羽発見しました。ナホトカ号事故の際には、このオオハムも重油にまみれた死体がたくさん回収されました。



その日は京丹後市にあるリゾート施設「丹後王国」のホテルに泊まり、翌朝5時頃から園内で鳥見です。イベント用の広い草地に、冬鳥のツグミ4羽に加えてアカハラがいました。この鳥は京都府では冬鳥でもあり旅鳥(春と秋の渡り時期に飛来する鳥)でもあるので、丹後で越冬しているのか、旅の途中に立ち寄ったのか、今の時期は判断できません。



同じ草地でカシラダカを発見。しかも、普段は見られない夏羽です。雄の頭と顔には黒いラインがくっきりと出て、雌の頭部も赤茶色になっています。夏羽のカシラダカは記憶がないので、初めてかもしれません。



この後、京丹後市の見どころを2カ所回って帰路へ。途中、山間の直売所で筍や味噌を、実家近くの店でお菓子を、天橋立で魚の干物や丹後名物「ばら寿司」を買って帰宅しました。久しぶりの丹後の旅を2人で満喫しました。
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故郷で鳥見

2022年04月21日 | 野鳥
先日、久しぶりに帰省しました。府民割を利用し、車を借りて夫婦で2泊3日の丹後の旅を楽しんできました。
1日目は、妻を天橋立で降ろして、私は阿蘇海でバードウォッチング。1月10日にガンカモ調査で来たときにはいろんな種類のカモがたくさんいましたが、3カ月後の現在はヒドリガモのみ100羽ほど残っています。府南部の淡水域では、最後まで残っているのはコガモなので、ちょっと意外でした。



ガンカモ調査でいつも駐車する公園でイソヒヨドリを発見。名前のとおり、本来は海辺にいる鳥ですが、近年は内陸部まで生息範囲を広げ、昨年はわが家でも繁殖しました。
雄は青と赤茶色の派手な体色で、さえずりも多彩ですが、動きがスローで、挙動もどこかとぼけたところがあって、親近感を覚えます。



1日目は故郷の町が運営する温泉&宿泊施設に投宿。アメニティグッズの質を競ったり、食事の豪華さで集客しようとする近頃のホテルと違って、必要最小限のサービスと、丁寧に作ったハレの日の家庭料理のような夕食…。私たちにはこの方が居心地が良く、ゆったりと過ごせました。
翌朝、周辺の森を散策しながら、フラワーウォッチングする妻の横で、私はバードウォッチング。夏鳥のキビタキがいる一方、冬鳥のアオジやシロハラもまだ残っています。裏山からアオゲラの声が聞こえてきたり、ホオジロがさえずっていたり、結構楽しめました。



チェックアウトしてすぐ、キジの雄に遭遇。初めて見る妻は「もっと大きい鳥だと思っていた」とのこと。桃太郎の絵本などに人間とほぼ同じサイズで描いてあるので、大きい鳥という先入感があるのでしょう。
その後、久しぶりに兄夫婦と面談し、母校の名前が変わったこと、父方の叔母が3人とも亡くなったこと、甥の家族が全員コロナに感染して大変だったことなどを知りました。故郷を出て55年になりますが、帰省すると今でも、ジグソーパズルのピースがピタッとはまったような感覚を覚えます。
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鳥の触覚

2022年04月14日 | 野鳥
先日、鳥の行動生態学の本を読んでいて、以前から抱いていた疑問が解けました。その疑問とは、シギが泥の中に頻繁に嘴を刺し込むのはなぜか?というもの。
下の動画は10年ほど前に近くの干拓地で撮影したオグロシギとハマシギですが、動画をコマ落としで調べるとオグロシギは1秒間に10~12回もの頻度で嘴を刺し込んでいます。その度に餌をゲットしているわけではないのに、何のためにそんなに忙しく嘴を動かすのでしょう?



その本によると、鳥の触覚は主に嘴と足に限定されていて、特にシギやカモなどは嘴の先端に神経が集中しているとのこと。「シギ類は、敏感な嘴の先を虫や軟体動物などの獲物にじかに触れさせるか、泥の圧力の変化や振動を感知して獲物を捕る」とした上で、次のようなメカニズムを説明します。
①シギが泥の中に嘴を突き刺す→②泥の間のわずかな水たまりに圧力波が発生する→③それが二枚貝のような個体にぶつかると「圧力拡散」が生じる→④それを嘴の先端で感知する。
これを頻繁に繰り返すことで、脳の中で泥の中に隠れた獲物の立体画像を合成しているらしいのです。なるほど! 私たちは体内の異常を調べるためにMRIとかCTで検査しますが、鳥は嘴の感触を蓄積することで泥の中のどこにどんな餌があるかを立体画像として把握しているわけです。
もう一つ、鳥の触覚として面白いのは、繁殖期になると抱卵のために腹部の羽毛が抜け落ちて皮膚が裸出し、その触覚で卵の温度管理をするところ。卵の温度を感知し、冷えれば血流量を増やして暖め、熱ければ抱卵姿勢を変えて冷やすそうです。
鳥の行動生態学の本は、難しい記述もありますが、こういう謎を解いてくれるので、読んでいるとワクワクします。
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九州の鳥

2022年04月07日 | 野鳥
引き続き、有明海ツアーのご報告です。
東よか干潟に到着してまず目に入ったのは、ツクシガモの大群。その数の多さに驚きました。「筑紫鴨」という名前のとおり、主に有明海など九州で越冬するカモなので当たり前ですが、大阪南港野鳥園でせいぜい20羽程度の群れしか見たことのない私にはインパクトがありました。



ツクシガモよりもさらに珍しいカモがいると、ある方から情報をいただいていたので、干潮で干潟に鳥がいなくなった時間、数10キロ離れた溜池へ移動しました。池を1周して探したものの見つからず、諦めかけたとき、池とは逆の麦畑にその鳥がいました。
アカツクシガモ(赤筑紫鴨)です。ツクシガモ同様、主に九州で越冬しますが、関西に飛来することはほとんどなく、私は1996年12月に北陸で出会って以来25年ぶりの再会となりました。



ズグロカモメも九州に多い鳥。「頭黒鴎」の名前のとおり繁殖期には頭が黒くなりますが、現在は移行期で、まだ「頭白鴎」もいました。関西にも時々飛来しますが、これほどの数はお目にかかれません。



もう1種、九州ならではの鳥に会ってきました。カササギです。
元々は朝鮮半島に生息していましたが、秀吉が朝鮮に出兵した際、ある武将が日本に持ち帰ったと言われていて、九州、それも佐賀県に偏在しています。佐賀県のサッカーチーム「サガン鳥栖」のマークとマスコットもカササギ。
実は鳥見ツアーで佐賀県を訪れるのは今回が2回目で、1995年1月にも一度訪れています。その際、市街地の電柱に止まっているのを見たことがあるので、カササギとは27年ぶりの再会。最近は籠脱け(飼われていた鳥が逃げる)と思われる個体が関西や北海道でも確認されていますが、基本的には佐賀県独自の鳥です。
佐賀県以外では珍しいですが、地元ではカラス並みのようで、私たちも干潟でのシギ観察が終わってから、ホテルへの帰路の田園地帯で簡単に見つけられました。。



今回の有明海ツアーは満足度が高く、仲間と「また違う季節に来たいね」と話しておりました。
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