樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

宗教の原点

2010年09月30日 | 木と宗教
京都市の北隣に亀岡市という街があります。そこに癌封じの木があると聞いて、帰省の途中に寄ってきました。
社会実験で無料になった京都縦貫道を亀岡ICで降りて約5分、稗田野(ひえだの)神社に到着。駐車場の横に「癌封じの木」がありました。事前情報では樫の木としか分らなかったのですが、葉を見るとアラカシでした。
神社の広報によると、ある植物学者がこのアラカシの瘤を見つけて、「この木は癌にかかっている。この瘤を一心に撫でると癌にかからず、悩みや癌病を吸い取ってくれる」と言ったそうです。以来、癌封じの木として知られるようになったとのこと。


アラカシの瘤

瘤のある木はすでに枯れていましたが、その彦生えか、後から植えた2代目か、横から若い幹が伸びています。
小さな祠が設けられ、私が訪れた時も2組参拝されていました。迷信と言えばそれまでですが、癌を患った人やその家族がワラにもすがる思いでこの神社を訪れるのでしょう。


癌封じの木に設けられた祠

同じ亀岡市に「乳銀杏」と呼ばれる巨木があるというので、さらに寄り道して見てきました。イチョウは大木になると気根を伸ばしますが、その形が乳房に似ているため、母乳がよく出るようにという願かけの対象になったようです。亀岡だけでなく、「乳銀杏」は全国各地に点在しています。


丹波国分寺跡のイチョウの巨木

すでに廃寺となった国分寺跡に着くと、境内に存在感のあるイチョウが立っていました。幹周4.3m、樹高22mの見事な巨木は、京都府の「自然200選」の一つ。
その枝から5~6本の気根が垂れ下がっています。今はそんな人はいないでしょうが、往時はわが子に飲ませる母乳に恵まれるようにこの木に祈ったのでしょう。


この気根から「乳銀杏」と呼ばれる

医学が未発達だった昔、庶民は異形の樹木を腫瘍や乳房に見立てて願いを掛けるしかなかったわけですね。科学的には何の因果関係もないですが、何かにすがってわが身や家族の健康を祈る人間。いじらしいと言うか、せつないと言うか…。
2つの樹を見て、「宗教の原点はこういうところにあるのかな~」と思いました。
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鷹揚

2010年09月27日 | 野鳥
あまり細かいことを気にせず、大らかな態度でいることを「鷹揚(おうよう)」と言います。私も時々口にする言葉ですが、どんな漢字かは知りませんでした。
辞書には「鷹が空を飛ぶように、大らかで威厳があるさま」と書いてあります。「揚」という文字から判断すると、タカが上昇気流を利用して空高く舞い揚がる姿を表現した言葉でしょう。


上昇気流に乗って舞い上がるタカの群れ

今の時期、バードウォッチャー、特にホークマニアはそれぞれのポイントに集まって、サシバとかハチクマといったタカが南へ渡って行くのを眺めます。私も昨日、宇治市と大津市の境にある岩間山というポイントに出かけました。
ラッキーなことに、この日は観察史上2番目に多い2821羽ものタカをカウント。しかも、上の写真のようにコンパクトデジカメでも撮れるほど近距離で観察できました。


双眼鏡や望遠鏡、カメラを持って1日中空を眺めます

私は年に1~2度しか行きませんが、この場所には約2ヶ月間ほぼ毎日あるいは毎週末通うホークマニアがいます。そして、タカが飛んでくると「これはオス、それはメス、あれは幼鳥」に始まって、「オスの暗色タイプ」とか「目が赤い」とか「「喉が膨らんでいるから餌を食べた後」とか、微に入り細に入り観察しています。
タカは文字通り鷹揚に悠々と飛んでいますが、それとは対照的にホークマニアは細かいところにこだわって識別したり、記録しているのです。


ハチクマの成鳥メス(ホークマニアからただいた画像)

当ブログでは、これまでにもホークマニアを「丘の上のおバカさん」とか「熱病患者」呼ばわりしてきましたが、今年は「もっと鷹揚になったら?」と冷やかしておきます。
でも、この人たちのおかげで、貴重なデータが入手できるわけです。愛すべき人たちです。
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樹より野菜

2010年09月23日 | 街路樹・庭木
今年、庭の樹を3本伐りました。理由は、畑の拡大。これまで1坪ほどの畑で気まぐれに野菜を作ってきましたが、冬になると隣家の陰になるので日が当たる畑にするためと、もう一つ、オーバーに言えば食糧自給率を高めるためです。


右側の畑に左側の畑を追加

伐採したのはウメ、ナツツバキ、コナラ。「樹が好きだ」と公言し、こんなブログを書いておりながら、わずかばかりの野菜のために庭木を容赦なく伐ってしまったわけです。
ウメは妻が梅酒や梅ジュースを作るために植えましたが作っても飲まないので…、ナツツバキは半分枯れていたので…、コナラは枝が伸びて隣の庭に葉を落とすので…、思い切って伐採することにしました。
コナラの根は掘り起こせないのでそのまま放置してありますが、切り株から次々と彦生えが出てきます。これまでに2~3回伐りましたが、また出てきます。エイリアンのような驚くべき生命力です。


コナラの彦生え

広くなった庭で今年はジャガイモづくりに挑戦しました。収穫は思ったより少なかったですが、初めてならこんなものでしょう。例年どおりミニトマトやピーマンも作りました。今はネギを植えています。


ジャガイモ1回目の収穫


新しい畑で作ったミニトマト

家庭菜園と言っても手入れがいいかげんで、収穫できる野菜も買った方が安いくらい。犠牲になった3本の樹に申し訳ないので、今年は頑張って冬野菜も作ります。
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海外で暴れる日本の樹

2010年09月20日 | 森林保護
先日、「樹木界の暴れ者」と題して、日本で野生化している外来種を取り上げました。その逆で、海外で暴れている日本の樹木はないのでしょうか。
草本ではクズがアメリカで野生化して大きな問題になっているという話を聞いたことがありますが、「木本ではどうなんだろう?」と疑問になって調べてみました。
野生化して本来の生態系を乱す外国産の生物を「侵略的外来種」と呼び、国際自然保護連合は「世界の侵略的外来種ワースト100」を発表しています。その中には日本出自のものもいくつかあって、上述のクズに加えてワカメもリストアップされています。外国ではワカメを食べないので、害藻として扱われるそうです。
そして、アメリカで侵略的外来種に指定されている日本産の樹木は、何とアケビ。日本ではアケビの実が貴重品扱いされるくらいですからそれほど繁茂していませんが、なぜか北アメリカの東部では目に余るほど野性化しているそうです。


栃の森で時々見かけるアケビのツル

多分、観賞用に日本から持ち込まれたものが、たまたま現地の気候条件や土壌に適合したために繁茂したのでしょう。私の推測ですが、上の写真のように、在来の樹木に巻きついて絞め殺すので余計に嫌われるのではないでしょうか。
もう一つ、グミも北アメリカで暴れているそうです。詳しいことは分りませんが、各地で野生化しているため侵略的外来種と見なされているようです。赤い実が成るので、ガーデニング用に持ち込まれたのでしょう。


グミの花

日本生態学会が「日本の侵略的外来種ワースト100」を定めていて、野鳥ではバードウォッチャーにはよく知られているガビチョウやソウシチョウ、樹木では以前ご紹介したハリエンジュもリストアップされています。
「暴れ者」扱いしましたが、罪は生物にあるわけじゃなくて、勝手な思惑で持ち込んだ人間にあるんですけどね…。
アメリカではクズをJapanese Green Monsterと呼んでいるようです。その様子はこちら
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日本列島植木植物園

2010年09月16日 | 街路樹・庭木
私は近くにある公立や大学付属の植物園によく出かけますが、その手の植物園とは別に、日本全国に網羅された植物園があります。
社団法人日本植木協会が7年前に立ち上げた「日本列島植木植物園」。会員の生産圃場、つまり植木屋さんのバックヤードを一般に公開して、無料で見学してもらったり、地域の子どもたちの学習に役立てようという植物園です。日本古来の園芸植物の種の保存という目的もあるようです。
現在、北海道から鹿児島まで約70ヵ所が公開されています。そのひとつ、京都市にある芳樹園さんに行ってきました。





社員さんが水を撒いたり、土を掘り返したりされていましたが、趣旨を伝えると「どうぞ、どうぞ」と歓迎してくれました。いつものフィールドや普通の植物園で見るのとはちょっと違った種類の樹木が植えられたていたり、同じ樹でもユニークな樹形のものがあったり、なかなか面白いです。


ワシントンヤシモドキ。初めて見る種類

ケヤキは普通は真っ直ぐに伸びた太い幹と、斜め上に伸びる枝が特徴ですが、下の写真のように、異様な形のケヤキもありました。


ケヤキとは思えない樹形

最終的には庭木として販売するのが目的でしょうから、普通の植物園とはセレクトする種類も育て方も違います。普通の植物園では見られない樹木もありますし、上のケヤキのように珍しい樹も見られます。特に造園に関心のある方には最適の植物園でしょう。
日本列島植木植物園のwebサイトはこちら
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ハナミズキとサクラ

2010年09月13日 | 木と文化
この夏、樹の名前の日本映画が2本公開されました。1本はアントニオ猪木主演の『アカシア』、もう1本は純愛物の『ハナミズキ』。私はどちらも観ていませんが、webサイトによると前者はストーリーと樹は無関係、後者は一青窈(ひととよう)の同名のヒット曲をヒントに製作された作品です。
この曲はアメリカの同時多発テロをきっかけに作られたそうで、現在の歌詞は抽象的で意味不明ですが、当初の詞には「テロ」とか「散弾銃」という言葉が使われていたそうです。


映画に出てくるピンクのハナミズキ

ご存知かも知れませんが、ハナミズキ(アメリカハナミズキ、アメリカヤマボウシ)は日本がアメリカに贈ったサクラの返礼として贈られた樹。その歴史にもストーリーがあります。
明治中頃に日本を訪れたアメリカの植物学者がサクラの美しさに魅せられ、帰国後「ワシントンにサクラを植える運動」を展開。これを知った東京市長が1909年に3000本の苗木を贈ったものの、殺菌が十分でなく害虫が付着したため全部焼却。3年後に再び贈った苗木がワシントンのポトマック河畔に植えられたそうです。戦争中も大切に育てられ、1949年以降は毎年「桜祭り」が行われるようになりました。


白花のハナミズキ

一方ハナミズキは、1915年にアメリカ農務省の代表が来日した際に40本の苗木を持参したのが最初。この時は白花でしたが、2年後にはピンクの苗木12本が贈られ、都内の公園や植物園に植えられたそうです。
ところが、戦争中に「敵国から贈られた樹木」という理由で次々に伐られたり、引き抜かれたりして所在不明になっていました。最近になってある人がその原木を探したところ、都立園芸高校に2本、東京大学小石川植物園に1本、静岡県清水市の農水省果樹試験場に1本残っていることが判明。小石川植物園の1本はその後枯れ死したそうですが、アメリカから贈られた原木がかろうじて3本残っているわけです。
日本が贈ったサクラは大切に育てられ、アメリカから贈られたハナミズキは「敵国の樹」という理由で伐られた…。何ともやるせないですね。
でも、サクラの苗木を3000本、しかも2回も贈ったのも日本なんです。
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樹木界の暴れ者-②

2010年09月09日 | 森林保護
前回は環境省の「要注意外来生物リスト」にある身近な樹木を紹介しました。このリストには載っていませんが、最近、植物学者の間で問題視されている外来樹木があります。
それはシンジュ(神樹)。天に届くほど真っ直ぐ伸びるので、英語では「天国の樹」、ドイツ語では「神の樹」と呼ぶのでこの名があります。別名はニワウルシですが、ウルシ科ではありません。
原産は中国。ハリエンジュと同じく明治のはじめに移入され、街路樹に使われたり、養蚕用に植えられたそうです。


大阪の松屋町通りに植えられているシンジュ

このシンジュが野生化しているという話を聞いて、「やっぱり!」と気づいたことがあります。いつも大阪に向かう電車の中から、あるゴミ処理場周辺に見慣れない樹木が繁茂しているのを遠目で見て、「野生化したシンジュかな?」と思っていました。先日現地に行って確認したらやはりそうでした。


ゴミ処理場周辺に無数に繁茂するシンジュ

ハリエンジュ(アカシア)ほどは注目されていませんが、各地ではびこっているようで、札幌の円山公園では2004年の台風で樹木が倒れた跡(ギャップ)にシンジュが入り込んで在来種をおびやかしつつあるようです。
動物や魚のように他の在来種を捕食するという被害ではありませんが、その強い生命力で在来種を圧倒するようになれば、結果的に本来の生態系をゆがめることになります。


シンジュは先端の葉が小さいので一見偶数羽状複葉ですが奇数羽状複葉

私は以前から気になっていることがあります。動物園では動物は檻に閉じ込めますが、植物園ではオープンエアで樹木や草花を展示しています。温室でも夏には屋根を開放しています。
その場合、鳥が飛んで来て実を食べ、その種を植物園の外に排泄して、外来植物が逸出することはないのでしょうか。風媒花や虫媒花なら簡単に繁殖できるはずです。
ハリエンジュもトウネズミモチもシンジュも、移入した時は現在のような影響があるとは予想できなかったでしょう。それと同じように、気づかないうちに植物園が外来種拡散の温床になっているのではないでしょうか。
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樹木界の暴れ者

2010年09月06日 | 森林保護
動物の世界では外来種のペットが逃げたり、捨てられて野生化しています。また、ブラックバスなど釣り用に移入された魚が在来種を駆逐するという深刻な問題を引き起こしています。草花でも同様の問題があります。
あまり知られていませんが、樹木の世界にもやっかいな外来種がいます。最も深刻なのはハリエンジュ、別名アカシア。古くは西田佐知子の『アカシアの雨が止む時』、石原裕次郎の『赤いハンカチ』、最近ではレミオロメンの『アカシア』など歌によく登場するように、街路樹として各地に植えられました。


ハリエンジュ(アカシア)は初夏に白い花を咲かせます

原産は北アメリカ。明治初期に持ち込まれ、東京をはじめ全国の都市の街路樹に使われました。特に札幌市ではナナカマドに次いで多く、2万7千本が植えられているそうです。
この樹が野生化し、日本全国の山野、川沿いで自生するようになりました。散歩コースの大吉山でも目にします。さらに、私が通っている原生林にまで侵入しています。上の写真は今年の6月にその原生林で撮影したもの。
環境省は「要注意外来生物」として4種類の樹木をリストアップし、その中にハリエンジュを掲げています。「各地の河川や海岸などでは繁茂し、希少植物を含む在来植物を駆逐するおそれがある。影響の大きい場所では積極的な防除または分布拡大の抑制策の検討が望まれる」とコメントし、伐採を勧めています。しかし、「アカシアの蜂蜜」で知られるように重要な蜜源でもあり、養蜂業者は反対しています。


ハリエンジュはマメ科なので羽状複葉

「要注意外来生物」にはう一つよく知られた樹木がリストアップされています。中国原産のトウネズミモチ。前々回「樹の珍百景-②」で側溝から生えているど根性ぶりをご紹介しましたが、生命力が強いのでどこにでも繁茂します。しかも、移植が簡単で成長が速く、大気汚染にも強いので公園や高速道路の法面などによく植えられます。


近くの高速道路沿いに植え込まれているトウネズミモチ

環境省は、「訪花昆虫や果実食の鳥類への誘引力が強く、多数の種子が鳥により散布されて容易に分布を拡大する。そのため、都市近郊の二次林の種組成や河川敷の植生に影響を及ぼすおそれがある」と警告しています。


トウネズミモチの葉は対生

イチョウをはじめ日本にはたくさんの外来樹木がありますが、中にはこういう厄介者もいるんですね。樹木が悪いわけではなく、勝手に持ち込んだり植えたりする人間が悪いのですが…。
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樽の用途

2010年09月02日 | 木造建築
宇治で最も大きなお寺・万福寺の龍興院という塔頭に、何故か酒樽を再利用した庵があります。
障子窓があり、戸を開けると中は畳敷で、天井には鮮やかな花の絵が描いてあります。多分、お坊さんが瞑想するための部屋なのでしょう。高さも直径も2mくらいある大きな樽だからこそ、庵として使えるわけですね。



この酒樽よりはるかに巨大な、高さも直径も9mという世界一の樽が大分県にあります。ある醤油メーカーが建造したもので、ギネスにも認定され、その樽で仕込んだ醤油を「木樽世界一醤油」として販売しています。
日本酒の樽はスギ材ですが、その世界一の樽はカナダ産の樹齢400年以上のヒバを使い、クギを使わずに造ってあるとか。樽を製作した会社のホームページを見ると、帝国ホテルや羽田空港の受水槽も造っています。いずれも、直径10~12m、高さ4~5mの巨大な樽。
大規模施設の貯水槽は金属製か樹脂製だろうと思っていましたが、こんな場所でも木が活躍しているんですね。他の素材よりも熱伝導率が低く保温性・保冷性に優れていること、廃棄後にリサイクルできることが大きな要因のようです。


酒樽の庵の内部

万福寺にはもう一つ、酒樽を再利用した庵があります。精進料理の店になっている塔頭・白雲庵の庭に酒樽の茶室があり、「自悦堂」という立派な名前も付いています。


白雲庵にある酒樽の茶室・自悦堂

千利休が建てた待庵はわずか二畳だそうですが、それよりも狭いわけです。このお寺に2つも酒樽の庵があるのは、おそらく近くに酒処の伏見があるからでしょう。
いずれも、閉所恐怖症の方には耐え難い空間でしょうが…。
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