樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

イソヒヨドリの巣立ち

2022年05月26日 | 野鳥
昨年に続いて、今年もわが家のシャッターの戸袋でイソヒヨドリが繁殖しました。4月頃から近くでオスがさえずったり、メスが窓の前の電線に止まったり、私が窓から顔を出すと威嚇したりしていました。
そして今朝5時半頃、戸袋からガタガタと音が聞こえてきたので、そろそろ巣立ちかなと思ってカーテンを開けると、上からヒナが落ちてきて窓の桟に着地し、すぐに飛び出して、お向かいのガレージの屋根まで初飛行しました。



昨年は確認できなかったのですが、今年は巣立ちに立ち会うことができました。巣にはまだ数羽のヒナがいるはずで、「ジージー」と声が聞こえてきます。親鳥が餌をくわえて前の電線に止まったり、鳴いて巣立ちを促しますが、2羽目はなかなか出てきません。
先日、大阪市立自然史博物館で「日本の鳥の卵と巣427」を見てきました。そのコレクションの膨大さと出品者の熱意に圧倒されましたが、その中にイソヒヨドリの巣と卵も展示されていました。





わが家の巣はもともとスズメのもので、その古巣をイソヒヨドリが利用しているので、形は全く違いますが、卵は多分4~5個あったのでしょう。声から判断すると、そのうち3羽がふ化してジージー鳴いていたようです。
親鳥が昨年と同じ個体かどうかは分かりません。オスは同一個体でメスは新しい相手かもしれません。いずれにしても2年連続わが家で繁殖してくれて、ヒナも無事に巣立ってくれて、今日は何となく嬉しい日になりました。
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アメリカの野鳥雑誌

2022年05月19日 | 野鳥
日本で発行されているバードウォッチャー向けの商業誌は『Birder』のみですが、アメリカにはいくつかあります。最もポピュラーな野鳥雑誌は、そのものズバリの『Bird Watching』。下は2021年8月号で、「ルリツグミ(表紙の写真)を楽しむために餌や生息地を学ぼう」とか「キンバネアメリカムシクイの保護」「鳥の改名に関する議論」などの記事が掲載されています。



もともとは『Birder’s World』という誌名でしたが、ご多分に漏れず、ネットの普及で発行部数が減ったために、2011年に運営方法を刷新し、誌名も変更。ネット版を定期購読すれば有名な専門家のオンラインセミナーに参加できるなど、複合メディア化したようです。
日本では確立していませんが、欧米では庭に鳥を呼ぶことが一つの文化になっています。その愛好家向けに発行されているのが『Bird & Bloom(鳥と花)』。「鳥のための植物」という特集を組んだり、巣箱やフィーダー(餌台)を紹介したり、鳥だけでなく蝶を呼ぶ方法なども掲載しています。



ウェブサイトにはbirdwatchingとgardeningの2つのメニューがあり、前者には「ハチドリの雌雄の見分け方」「ミソサザイは何を食べるか」など、後者には「ハチドリに最適な多年草」「蝶を引き付ける花」などの記事が掲載されています。
商業誌とは別に、日本野鳥の会は『野鳥』という会員誌を発行してます。アメリカの野鳥保護団体であるオーデュボン協会も当然会員誌を発行していて、タイトルはそのままの『Audubon』。会員が多いので、発行部数は何と43万部。日本の一般週刊誌で発行部数1位の『週刊文春』(50万部)には及びませんが、2位の『週刊現代』(36万部)を大きく上回っています。
そのオーデュボン協会とは別に、アメリカにはAmerican Birding Association(アメリカバードウォッチング協会)という愛鳥団体があり、『Birding』という会員誌を発行しています。オーデュボン協会に比べると会員数は少ないですが、マニアックなバーダーが多いようで、ユニークな特集を組むことで知られているそうです。
例えば、下の2022年3月号の特集は「Discovering cemetery birding」、つまり墓地でのバードウォッチングの勧め。墓地は人の聖域であると同時に鳥の聖域でもあり、大都市でも緑が残る貴重な場所なのでバードウォッチングに最適という趣旨です。表紙の写真は、もともと墓地であったシカゴのリンカーンパークで探鳥する4人の有名バーダー。



墓地でバードウォッチングというとビックリしますが、よく考えると、京都支部では明治天皇陵である桃山御陵で探鳥会をやってますね。一般の墓地とは違いますが…。
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世界一の鳥・日本一の鳥

2022年05月12日 | 野鳥
先日、鳥のいろいろな記録を調べていて、これまで何となく理解していたことが、あらためてしっかり確認できました。
例えば、世界一大きい鳥とか小さい鳥。大きいのはダチョウで、体高274cm、体重155kg。幕内力士の平均体重が164kgらしいので、その重さが大体イメージできます。もちろんダチョウは飛べませんが、飛べる鳥で最も重いのはアフリカオオノガンで22kg。
ダチョウは卵も最大で1.9kg。鶏卵のLサイズ約30個分に相当するそうです。飛べる鳥ではアホウドリの卵が最大で375g。さらに、ダチョウは時速100kmで走ることができ、最も早く走る鳥でもあります。ほ乳類ではチーターが時速100~120kgで最速といわれているので、ほぼ同じ速さです。



逆に、世界一小さい鳥はキューバに生息するマメハチドリで、体長4~6cm、体重約2g。1円玉2枚分です。当然ながら卵も世界最小で、長さ6mm、重さ0.3g。米粒並みの小ささです。



日本一大きい鳥は、全長ではオオハクチョウとタンチョウの140cm、体重では時々迷行してくるハイイロペリカンの11kgだそうです。
一方、日本で最も小さい鳥は、キクイタダキ。体重はエナガやミソサザイと同等の3~5gですが、体長はエナガ14cm、ミソサザイ10~11cmに対して、キクイタダキは10cmと日本最小です。下は9年前に撮影したキクイタダキ。



世界最速の鳥はハヤブサで、急降下時に時速440kmを記録しています。これは、時速390kmで落下するスカイダイバーを追い越した際の速度とのこと。地球上の動物の中でも最速だそうです。ただし、水平飛行ではハヤブサよりもハリオアマツバメの方が速く、最高速度は170m。
逆に、世界で最も遅く飛ぶ鳥はアメリカヤマシギで、時速8kmというロースピードながら、失速することなく飛ぶそうです。



こういう数字で見ていても鳥の世界の多様さが理解できます。
画像はすべてpixabay(著作権フリー)より。
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鳥と人間の死亡リスク

2022年05月05日 | 野鳥
人間の場合、生まれてくる赤ちゃんの性比は男:女=105:100で、男の方が少し多いそうです。ところが、一定の年齢になると100:100になり、さらに高齢になると女性が多くなります。男の方が死亡リスクが高いので、あらかじめたくさん生まれるということのようです。鳥はどうなんでしょう?
台湾で行われたオシドリの調査によると、幼鳥ではオス:メス=92:100でわずかにオスが少ない程度ですが、成鳥になると210:100とオスがメスの2倍以上になりました。さらに、発信器を付けて追跡調査したところ、12カ月の生存率はオス0.8に対してメス0.44とオスの半分程度でした。
その原因は捕食。春から秋の死亡率が高いことから、研究者はこの時期のメスはヒナを連れていることが多いこと、換羽後の飛べない時期に(オスは群れでいるのに対して)メスは単独でいること、つがいのオスによる防衛がないことをその理由に挙げています。
下は10年ほど前に撮影したオシドリですが、そう言われれば、メスよりもオスの方が多いように見えます。



また、ある研究機関がカモの性比を調査したところ、マガモやコガモは半々であるのに対して、ホシハジロやオシドリではほとんどの調査地でオスの方が多かったそうです。
その他の鳥にも共通するのかどうか分かりませんが、少なくともカモ類では人間とは逆にメスの方が死亡リスクが高いわけです。
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