樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

自宅でバードウォッチング

2010年07月29日 | 野鳥
7月中旬の雨が続いたある日、庭のカツラの樹からヒヨドリのヒナが落ちてきました。
日本野鳥の会が毎年「ヒナを拾わないで」キャンペーンを展開しているように、こういう場合は放っておくのがいちばん。拾って家で育てたり、野鳥の会や動物園に持ち込む人がいますが、人間の手では育てられないので結局死んでしまいます。
近くに必ず親鳥がいるので、そのままにしておくか、猫がいそうな場合は木の枝などに置いてその場を離れるのが正解。万一、猫に獲られたとしても、それが運命と割り切るしかありません。私も写真だけ撮ってそのままにしておきました。
翌朝確認すると、糞だけ残してヒナの姿はありません。羽が散らばってなかったので、猫にやられたわけでなさそうです。親鳥がくわえて巣に戻したのでしょう。


手ブレで見にくいですがヒヨドリのヒナ

わが家の庭で繁殖した鳥は、メジロ、シジュウカラ、スズメ、キジバトに続いてこれで5種類。ヒヨドリはブルーベリーやミニトマトを盗むので憎たらしいですが、庭で繁殖していたと分かると可愛くなってきました。
繁殖したのは5種類ですが、これまで自宅で見聞きした鳥を数えたら約30種類になりました。
最も感激したのはヒレンジャク。5年ほど前、出先から帰ると妻が「鈴みたいな声の鳥が10羽ほど来て、クロガネモチの実を全部食べて行った」とのこと。その時は私は見られなかったのですが、2年後に20~30羽の群が再来した時は双眼鏡とスコープでしっかり目撃しました。
妻の方が鳥運がいいようで、私が外泊した時も、「きのうの夜、知らない鳥が街灯に集まる蛾を食べてた」とのこと。多分、アオバズクでしょう。


3年前に繁殖したキジバト(抱卵中)

初夏にはホトトギスとフクロウの声が聞こえます。夕方お風呂に入りながら「東京特許許可局」を聞いたり、深夜読書しながら「ゴロスケホーホー」を聞くのはバードウォッチャーには幸せな時間です。
ある冬、風邪をひいてベッドで寝そべっていると、窓の外に大型の鳥が飛んでいるのが見えました。最初はトビと思いましたが、翼の広げ方も色も違います。あわてて双眼鏡を取り出しましたが、姿はもうありません。でも、ノスリでした。


ノスリ(鳥仲間からいただいた画像)

「ピョーピョー」というアオゲラの声も時々聞こえます。びっくりしたのはコジュケイの「チョットコイ、チョットコイ」。かなり大きく聞こえるので、近くに生息しているのでしょう。庭にはヤマガラ、メジロ、シジュウカラ、セグロセキレイなどの常連組に加えて、冬にはシロハラやジョウビタキもやってきます。
10年ほど前にはキツネが出没しましたし、最近もシカやサルが現れた環境なので、野鳥を見聞する機会は多いかも知れません。でも、札幌のguitarbirdさんの自宅では、ベニヒワ、イスカ、ギンザンマシコ、クマゲラなど47種類も見られたそうです。うらやましいな~
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誕生日の樹

2010年07月26日 | 樹木
日本植木協会が「誕生日の樹」を定めています。365日+1日(閏年)=366種類の樹木を選び、開花時期や結実時期に合わせてカレンダーに当てはめているのです。
あさって7月28日の私の誕生日はニワナナカマド。中国原産のナナカマドの仲間で、夏に白い小さな花をいっぱい咲かせます。


私の「誕生日の樹」はニワナナカマド

この植木協会の「誕生日の樹」とは別に、ある人が同じく366種類の樹木を選定して『誕生樹』という本を出版しています。それによると、私の誕生樹はホルトノキ。なぜ7月28日にこの樹を選んだかも説明してあります。



この木は平賀源内がオリーブと間違えて「ポルトガルの木」と呼び、それがホルトノキになったという由来で有名ですが、そのポルトガルから種子島に鉄砲が伝わったことを記念して、毎年7月第4土曜日に「種子島鉄砲祭り」が行われるからだそうです。


ホルトノキは赤い葉が混じるのが特徴

そんなに持って回った説明をしなくても、ちょうど今頃に花を咲かせますから、それだけでもいいんですけどね…。でも、読み物としてはおもしろいです。


開花を待つ蕾(7月中旬撮影)

みなさんの「誕生日の樹」もこちらで検索できますよ。
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グリーンウォッシュ

2010年07月22日 | 森林保護
環境活動が企業の大きな評価ポイントになり、“地球にやさしい会社”でないと物やサービスが売れない時代になりました。それ自体は歓迎すべきですが、中には表面だけ“地球にやさしい会社”を装う企業もあります。そういう偽装行為を「グリーンウォッシュ」と呼ぶそうです。緑の活動で汚れた部分を洗い流すという意味らしいです。
環境系のポータルサイトを見ると、毎日のように企業の植樹活動が報告されていますが、そのほとんどがグリーンウォッシュではないかと私は疑っています。「環境活動=植樹」という発想が安易ですし、植樹した苗木の8割は枯れるかシカに食べられて残らず、実施した方の自己満足だけが残るという空しい活動です。
セキスイハウスが顧客の家の庭に5種類の樹木を植える「5本の樹」運動を展開しています。私はこれもグリーンウォッシュだろうと思っていました。でも、失礼な誤解でした。
セキスイハウスはJR大阪駅から徒歩10分の超一等地に8,000㎡の緑地を確保し、「新里山」と名づけて多様な樹木や植物を植え、田んぼで稲を作り、畑で野菜を育てています。それを実際に見て、「この会社は本気だな」と思いました。


隣のビルから見た「新里山」。左下の人物から大きさを想像してください

東京の六本木ヒルズの屋上にも似たような緑地があるようですが、屋上緑化はデッドスペースの有効利用。平地の場合はビルを建てるなど他の経済的な収益を捨てて緑地化するわけですから、企業としての覚悟が違うでしょう。


田んぼでは稲が、畑ではトウモロコシやトマトが育っていました

しかも、植えてあるのは公園によくある樹ではなく、イヌシデ、ハイノキ、シロダモ、ツリバナなど、言わばマニアックな樹。サクラもソメイヨシノではなく、ヤマザクラやウワミズザクラを植えています。樹の選び方で本気度が伝わってきました。


都会では見ることのないイヌシデ

顧客の庭に植える「5本の樹」も在来種に絞り、日本を5つのエリアに分けてそこに自生する樹種のリストを作成しています。鳥や昆虫など日本本来の生物多様性を生かすために、一般的に人気の高いアメリカハナミズキなど外来種を排除しているのです。「5本の樹」のキャッチフレーズは、「3本は鳥のために、2本は蝶のために」。自然の好きな人には効果的な殺し文句ですね。


トンボやカエル、メダカが生息する水辺

しかも、樹にはQRコードをプリントした名札が掛けられ、携帯を通じて樹木の情報やその樹に集まる鳥の声を聴くことができます。こういうディテールまで徹底できたのは、アドバイザーに恵まれたからでしょう。
このプロジェクトを担当した社員の中学校の先輩が写真家の今森光彦氏。世界的な生物写真家であり、滋賀県の私有地を里山として守っているナチュラリストでもあります。
もう一人のアドバイザーは、日本野鳥の会の元職員でNHKラジオの「夏休み子ども電話科学相談」に出演していた藤本和典氏。樹木と鳥の関係の専門家です。たまたま親戚がセキスイハウスの社員だったことからつながりができたようです。


巣箱もかけてありました

企業がやることですから最終的には環境よりも商売が優先するでしょうが、いいかげんなグリーンウォッシュが多い中、セキスイハウスの「新里山」と「5本の樹」は好感度が高いです。私の家はミサワホームですが、このことをもっと早く知っていたらセキスイハウスにしたのにな~(笑)。


同じ敷地の隣に聳えるのはセキスイ所有の梅田スカイタワー

JR大阪駅周辺では大規模な再開発が進行中で、サッカースタジアムを造るとか、地下に北陸新幹線の駅を設けるなどの構想があるようですが、もしそうなったとしてもこの「新里山」は継続して欲しいものです。
「5本の樹」のウェブサイトはこちら
「新里山」のウェブサイトはこちら
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蚊取り線香

2010年07月19日 | 木と医薬
みなさんは蚊取りに何を使っていますか? うちは、私の部屋は電気蚊取りですが、敏感な妻は喉が痛くなるので居間では昔ながらの渦巻きの蚊取り線香を使っています。
この蚊取り線香の原料が除虫菊(現在は化学物質)であることはご存知でしょうが、木も使われています。キンチョーのホームページで調べると、化学物質(アレスリン)と木粉(つまりオガクズ)と植物性の糊粉をミキサーで混ぜ、緑色の染料と水を加えて作るとのこと。



この「植物性の糊粉」というのは、タブノキの樹皮にある粘液を乾燥させたもの。水と混ぜると強い粘性を発揮するので、蚊取り線香だけでなく普通の線香の成型にも使うそうです。タブノキはクスノキ科の常緑樹で、あまり特徴のない地味な存在。


タブノキの樹皮

ところが、分布には特徴があって、「最も北に分布する常緑広葉樹」と言われています。普通の常緑樹は寒い地方には自生しませんが、タブノキは日本海側では青森県、太平洋側では仙台あたりまで分布しているそうです。
しかも、海岸部に限定されていて、東北地方では内陸部にはないらしいです。面白いことに、琵琶湖でも湖岸エリアには見られるのに、離れると見られなくなるとか。水際が好きな常緑樹なんですね。海や大きな湖のそばでは水の緩衝効果によって冬の寒さが和らげられるからだそうです。


タブノキの葉

ところで、蚊取り線香と言えば陶器のブタですが、何故ブタなんでしょう? 渦巻き型の蚊取り線香が発明されるまでは、あのブタの中でスギの葉やオガクズを燻して蚊遣りにしたそうですが、火事にならないように火伏せの神様であるイノシシの形にしたり、水神の使いとされたブタの形にしたのではないかと言われています。
貯金箱のブタは何だろう?
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和洋折衷

2010年07月15日 | 木造建築
同志社大学の創始者・新島襄が住んでいた家が京都市のほぼ真ん中、京都御所の横に残っていて、大学が管理しながら公開しています。
明治11年(1878)に竣工した寄棟造りの木造2階建て。外観はいわゆるコロニアル風ですが、中には純和風の箱階段があったり、かと思えば2階に広いベランダが設けられているという、非常に面白い和洋折衷です。


外観はコロニアル風


和室に机を置いた新島襄の書斎


箱階段

台所は土間ではなく木質フローリング。流し(シンク)も木製。多分、水に強いヒノキかコウヤマキでしょう。その左にカマドがあり、右には井戸もあります。建築史の知識はありませんが、一般民家の中に井戸があるというのは珍しいのではないでしょうか。


手前からカマド、流し、井戸

2階の寝室は畳敷きの上にベッドが2台置いてあります。ベッドに慣れていない妻のために低く作ったそうです。


高い方が新島、低い方が妻のベッド

驚いたのはトイレ。伝統的な和式ではなく、ベンチに座るように造られています。「日本初の洋式トイレ」と言われています。


日本初の洋式トイレ

もう一つ驚いたのはセントラルヒーティング。台所の熱源からパイプが各部屋に配管され、熱気を送っていたのです。朝鮮半島にはオンドルがありますが、当時の欧米の住宅にセントラルヒーティングがあったのでしょうか。


2階の寝室にあるセントラルヒーティングの吹き出し口

考えてみると、私自身も学生時代は4畳半の和室に机を置いていましたし、以前は畳の上にカーペットを敷いてベッドを置いていました。日本人の暮らしは多かれ少なかれ和洋折衷ですね。
この家は新島襄自ら設計したという説もあるようですが、欧米での生活が長かった新島がその知見やアイデアを盛り込んで、日本の大工さんといっしょに造り上げたというのが実情でしょう。
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これは何でしょう?

2010年07月12日 | 木と文化
仕事で民族雑貨の店を取材しました。スペインや北欧のほかインド、パキスタン、イラン、トルコなどアジア諸国の雑貨を扱う面白い店です。
金属製品、陶器、ガラス器、皮製品、ファブリックなどいろんな商品が並んでいますが、私の目を奪うのはやはり木の雑貨。本来なら同行のカメラマンに何をどう撮影するか指示しなければならないのですが、「適当に撮っておいて」と言い残し、木工品を手にとっては店主に「これ何ですか?」と尋ね回っていました。



これはインドのカウベル。金属製のカウベルと同じく、中が空洞になっていて、揺れるとカラン、カランと鳴ります。想像以上に重くて、「牛も首が疲れるだろうな」と思うほど。
次はクイズです。何に使うものか想像してみてください。第1問は、4本の枝がある60cmほどの棒。ヒントはトルコの調理道具です。



答は、ヨーグルトをかき混ぜる道具。本場なので、各家庭でこんな棒が必要なほど大量に作るんでしょうね。続いて第2問もトルコの道具。フォークを大きくしたような形です。



答は、マットやラグを織る時に横糸をトントンと詰める道具。値段は4,720円です。第3問は、野球のバットを短く太くしたような棒。インド製で、手に持つとずっしり重いです。



答は、木製のバーベル。インドの男性はこの棒を振り回して筋肉を鍛えるそうです。第4問は1.5mくらいの巨大なネジ。下の四角い部分には丸い穴が開いています。スペインであるものを作る時に使う機械の一部で、実際には横になっているはずです。



正解は、ブドウを搾ってワインにする機械の一部。丸い穴に棒を挿し込んで回すようです。
ここに紹介した道具はどれも本来の用途で買う人はいないでしょうが、個人や店舗のインテリアとしてけっこう売れるそうです。
この取材のテーマはアジアンエスニック。私が企画してこの雑貨店のほかイスラエル料理やトルコ料理、タイ料理、中国茶の店も取材しましたが、日本の感覚と違う話が聞けて大変面白かったです。
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ベートーベンはツリーウォッチャー

2010年07月08日 | 木と作家
私は一人の人間を愛する以上に一本の樹を愛する。
そう書き残しているのはベートーベン。あの恐い顔をした偉大な作曲家は意外にもツリーウォッチャーだったようです。
弟子の一人シントラーも、「ベートーベン先生に同行して野原や山や谷を歩く幸福が数えきれないほど度々私に与えられた。彼は私に音楽の指導をしたのと同様に自然の研究を指導した」と語っていますから、植物や動物を観察しながら森を散策するのが好きだったのでしょう。


自然観察が好きだったベートーベン

ご存知のように、ベートーベンは音楽家としては致命的な聴覚障害に陥ります。そのためにほとんどの人間関係を遮断して、言わば自然の中に閉じこもった時期があったようで、手記には次のように書いています。
「田園にいれば私の不幸な聴覚も誰もいじめない。そこでは一つ一つの樹木が私に向かって「神聖だ、神聖だ」と語りかけるようだ。森の中の歓喜の恍惚! 誰がこれらのことを表現できるだろう?」
そうした体験から生まれたのが交響曲第6番『田園』。みなさんも一度は聴いたことがあるはずの曲です。「心に愛がなければ、どんなに美しい言葉も相手の胸に響かない。聖パウロの言葉より…」というナレーションで始まるキリスト教会の番組がありますが、そのバックに流れているのが『田園』。
ついでながら、あの教会の本部は京都にあって、その番組『心のともしび』は私が就職した広告代理店が扱っていました。小さな地方代理店の唯一の全国ネットでした。


ベートーベンが故郷で目にしたであろうポプラ

その『田園』の第2楽章ではフルートやピッコロで小鳥のさえずりを表現していますが、そのうちの一つは明らかにカッコウです。
ベートーベンをモデルにした小説『ジャン・クリストフ』でノーベル文学賞を受賞したロマン・ロランは、「私は涙を禁じえない。なぜならこの曲を書いた時、すでにベートーベンの耳は聴こえなくなっていたのだから。彼は心の中に響く小鳥たちの声を音楽にしたのだ」と記しています。
また、ベートーベンの故郷・ドイツのボンについて、ライン川の霧に包まれたポプラの林や柳が茂った牧場などの風景を描写しながら、それが原点になったのだろうとも書いています。
大作曲家は若い頃、ライン川の河原でポプラの木に止まって託卵相手を探しながら鳴いているカッコウを見ていたのかな~
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木の色

2010年07月05日 | 木と言葉
通販会社のフェリシモが「500色の色えんぴつ」を販売しています。その数もさることながら、1本1本に素敵な色の名前がついています。例えば、「雪ん子のほっぺ」(赤)、「ラムネのあぶく」(水色)といった感じ。
その中に木に関する名前がどれくらいあるか数えたら、約60色。1割以上が木の名前であることに少し驚きました。
花に由来するものでは、「咲き乱れる山吹」「雨上がりのあじさい」「風にふくらむ合歓の花」など、すぐに色が想像できる名前があります。


「咲き乱れる山吹」


「風にふくらむ合歓の花」

木の実に由来するものでは、「山里のグミの実」「軒先の干し柿」「摘みたてのブルーベリー」などおいしそうな名前が並びます。
「檜の湯桶」(黄色)とか「総桐の婚礼箪笥」(淡いピンク)といった木材の色も出てきます。中には、「小春日和の冬木立」「木漏れ日のプロムナード」など、名前だけでは色が想像できないものも。
私が一番気に入ったのは、「祝言の朝の桜湯」(ピンク)。色の名前にドラマがありますね。


わが家の「摘みたてのブルーベリー」

ついでに、鳥に由来する色名を数えたら、意外に少なく15色。「丹頂鶴のベレー帽」「カルガモの親子」といったかわいい名前から、「コマドリの巣づくり」「アンデスの空ゆくコンドル」といった凝った名前もありました。


「せせらぎのカワセミ」という色名もあります

フェリシモは神戸の会社。もう15年ほど前ですが、「500色の色えんぴつ」によく似た「200本のネクタイ」という商品カタログのお手伝いで、ネクタイの柄や色に関するコラムを100編ほど書いたことがあります。当時から企業姿勢も商品企画もユニークな会社でした。
500色の色えんぴつのwebサイトはこちら
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恋する樹

2010年07月01日 | 伝説の樹
鳥見ツアーで訪れた立山には、「美女平」という気になる名前の場所があります。
その由来……美しい娘が立山開山に取り組む恋人に会うために登ってきたが、「山を拓くまでは帰らない」と追い返された。しかたなく下山する途中、1本の杉に「美しき御山の杉よ 心あらば わがひそかなる祈り ききしや」と祈ったところ、2人は後にめでたく結婚。その杉を「美女杉」と呼び、一帯を「美女平」と呼ぶようになった……


ケーブル「美女平」駅の横にある「美女杉」

「美女杉」はタテヤマスギで、この一帯にはその巨木がたくさん残っています。鳥見のために散策した美女平の森にも、「不老樹」とか「火炎杉」とか名前のついた巨木が10本ほどあり、いずれも風格のある立派な樹形。「屋久杉もかくや」と思わせます。
植物学的には立山杉も屋久杉も、あるいは秋田杉も吉野杉も同じスギ。ただ、豪雪地帯のスギは枝が弓なりに湾曲するという地域的な特性があります。


幹周り7mの「火炎樹」

立山の前に訪れた有峰にも面白い樹がありました。ミズナラにブナがからみつくように生えているのです。ミズナラは直径1m、ブナは30cm。
仲むつまじい恋人や夫婦を連想させることから、有峰の名木にするべく名前を公募したところ325通の応募があったそうです。選ばれたのは「永遠(とわ)の木」。



確かに、こんなに曲がったブナは珍しいです。ヨーロッパではナラを「森の王」、ブナを「森の女王」と呼びますから、この「永遠の木」も左のミズナラを男性、右のブナを女性に見立てるのでしょう。
以前ご紹介しましたが、2本の幹や枝が合体している樹を「連理の樹」と呼び、恋愛成就や夫婦和合の神木にします。この「永遠の木」も恋愛成就の樹として有名になるかも知れません。
自然の樹の姿に恋愛感情を投影して祈ったり願ったりする人間も大変ですが、その熱い想いを託される樹木も大変だな~(笑)。
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