樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

鳥の声は仏の教え

2021年01月28日 | 野鳥
私たちはウグイスのさえずりを「ホーホケキョ」と聞いていますが、昔の人はそうではなかったらしく、733年に発刊された『出雲風土記』には「法吉鳥」と記されており、「ほほきち」と聞いていたようです。また、平安時代前期の『古今和歌集』には、「梅の花を見に行ったら、鶯が『ひとく、ひとく(人が来た、人が来た)』と嫌がっている」という歌があり、当時の人は「人来、人来」と聞きなしていたことが分かります。
仏教にからめて聞きなされるのはもう少し後で、時代や宗派によって聞こえ方が違ったようです。1499年、浄土真宗本願寺派の宗主・蓮如が病に伏したので、高弟がウグイスをカゴに入れて枕元に持参した時、次のように語ったと記されています。
「このウグイスは『法を聞けよ』と鳴いている。鳥でさえ『法を聞け』と鳴いているのに、人間であり親鸞聖人の弟子である私たちが法を聞かないのはなげかわしい」。
つまり「法華経」ではなく「法を聞けよ」と聞きなしたわけです。仏教における「法」とは「真理、教法、説法」を意味するようですが、浄土宗と法華宗は時として対立しましたから、浄土真宗の宗主としては「法華経」とは聞きなせなかったのかもしれません。



江戸時代には「法華経」という聞きなしが一般的になり、「うぐいすは昔のままの感応寺」という川柳があります。江戸にある感応寺は元々日蓮宗でしたが、元禄12年に天台宗に改宗させられます。しかし、日蓮宗も天台宗も法華経を経典とするので、読経の声は昔のまま変わらないことをウグイスの声で表現しているのです。
このほか、ある鳥の声を弘法大師が仏教の三宝「仏・法・僧」と聞きなしてブッポウソウと名づけられましたし、ジュウイチという鳥の鳴き声を昔は「慈悲心、慈悲心」と聞きなして慈悲心鳥と名づけました。
この3種は「三霊鳥」と呼ばれ、こんな川柳もあります。「慈悲心も仏法僧も 一声のほう法華経にしくものぞなき(ジュウイチもブッポウソウも、ウグイスの一声にかなわない)」。ジュウイチやブッポウソウの声を聞く機会が少ない一方、ウグイスの声は身近で聞けたのでこういう川柳が生まれたのでしょう。
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太陽が丘の冬鳥

2021年01月21日 | 野鳥
宇治に京都府立山城総合運動公園(通称「太陽が丘」)という広大なリクリエーションエリアがあります。そこに「野鳥の森」があって、5年ほど前から毎年1~2度冬鳥観察に出かけています。先週、暖かい日差しに誘われて1年ぶりに行ってきました。
これまで全国各地の「野鳥の森」と呼ばれる場所を訪れて、「野鳥の森に鳥はいない」という経験則を得ました。人間の想定や計画どおりに野鳥は生きていないということでしょう。
この太陽が丘の野鳥の森もたくさんの野鳥がいるというわけではなく、夏鳥はほとんど期待できませんが、冬鳥にはそれなりに出会うことができます。数年前はミヤマホオジロもいました。
主な狙いはルリビタキ。毎年ほぼ同じ場所で観察していますが、成鳥と若鳥が交互に登場します。同一個体が同じ場所にやってきて2年ごとに世代交代しているのか、別個体が入れ替わっているのか、よく分かりませんが、今年は昨年に続いて若鳥でした。



アトリをここで見るのは初めて。10羽ほどの小群が木の種をたべていました。うれしかったのはアオジ。全く予期しない場所で、私が歩いているすぐ前に2羽が登場して、じっくり観察させてくれました。
アオゲラの声も聞こえていましたが、結局発見できませんでした。でも、アトリの映像に声だけ登場してくれました。
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鳥正月

2021年01月14日 | 野鳥
2日から始まった「鳥初め」はその後も続いて、6日には近くの干拓地で猛禽探し。前日にも行きましたが、天候が悪化したたため翌日に再訪したのです。仲間に教えていただいたポイントに目的のコチョウゲンボウがいなかったので、あきらめて別の場所をウロウロしていると、それらしい鳥が田んぼで何やら獲物を食べています。双眼鏡で確認すると、コチョウゲンボウ!
近づき過ぎて飛ばれないように、そして逆光にならないように、遠回りしてポイントを決め、じっくりと観察・撮影しました。



この干拓地ではチョウゲンボウには頻繁に出会いますが、コチョウゲンボウに遭遇することは珍しく、私もじっくり観察するのは今回が初めて。想定していない場所で目的の鳥を偶然発見するのも探鳥の面白みです。
翌7日は、久しぶりに奈良へ。平城旧跡を中心に周辺の池をウロウロしてきました。まず、水上池ではハシビロガモの群れの採餌行動を観察。この鳥は小群で水面をグルグル回って、その水流で浮き上がったプランクトンを食べます。



その後、以前トモエガモがいた平城旧跡近くの池へ。風が強いせいかトモエガモは奥の樹木の陰に隠れて寝ていましたが、ミコアイサの雌タイプが6羽、元気に泳いでいました。



今年の鳥初めは6日連続、鳥三昧のお正月でした。これで一旦中断しますが、まだ行きたい探鳥地があるので、しばらくしたらまた出かけてご報告します。
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鳥初め

2021年01月07日 | 野鳥
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお付き合いください。
さて、今年の私の鳥初めは2日。前回ご紹介したオオハシシギがいる池にトモエガモがいるらしいので、年末に続いて覗いてきました。



翌3日は久しぶりにミコアイサを見るために枚方方面へ。最初のポイントは雨不足で池の水位が極端に下がっていたためにお留守でした。次の池も水位は下がっていましたが、ミコアイサの雄が3羽、雌が5羽、他のカモ類に混じって気ままに採餌したり泳いだりしていました。
わが家の初詣は近所の花の寺でしたが、隣の2つの神社では巫女さんが例年より少ない参拝客に対応していました。ミコアイサは白い姿をその巫女さんに例えてこの名前になっています。



ミコアイサを見た後、近くの田園へ行くとタゲリが2羽いました。暖かい日差しを背中に受けながら、じっくり観察を楽しみました。



4日は近くの宇治川上流で久しぶりにオシドリ観察。渓谷の緑色の水面に30羽ほどのオシドリと他のカモ類が浮かんでいます。宇治川のオシドリは警戒心が強いので、橋の欄干の陰にじっと座って観察・撮影していました。



この後、5日、6日も鳥見に出かけ、本日もこれから少し遠出して鳥を見に行きます。正月早々6日間連続で鳥にうつつを抜かしております。
今年もたくさんの鳥に出会えますように…。
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