樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

一人旅

2024年08月29日 | 野鳥
シギ・チドリ観察のために再び干拓地に出かけました。前回は目ぼしい鳥に出会えなかったのですが、今回は期待していた鳥が見られました。
まず、ムナグロ。この鳥はいつも飛来する場所が決まっていて、今年もいつものエリアにいました。ただ、例年は20~30羽の群れでいるのに、今年は1羽だけでした。



前回発見した新しい休耕田でコチドリを撮影していると、画面の奥に別の鳥がいました。トウネンです。この鳥もいつもは5~6羽の小群でチョロチョロしていますが、このときは1羽のみ。



3時間ほど回った後、「そろそろ帰ろうかな」とバイクを走らせると、横のネギ畑から鳥が飛び出して向かいの休耕田に着地しました。飛ぶ形を見て「ツバメチドリかな」と推測したら、そのとおりでした。結構珍しい鳥で、昨年は見られましたが、その前は6年間見ていませんでした。



頭を小刻みに上下させるのが、この鳥の特徴的なしぐさ。このツバメチドリも複数羽でいることが多いですが、今回は1羽のみ。
3種類とも単独でした。先遣隊として飛来したのか、孤独が好きな一人旅のシギ・チドリなのか…。それを嬉しそうに見ている私も一人旅でした。
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アオアシシギの声

2024年08月22日 | 野鳥
そろそろシギ・チドリ類が渡って来る時期なので、先日近くの干拓地を回ってきました。
水を張った休耕田の畔に、アオアシシギが2羽いました。撮影を始めると1羽が鳴き始めたので、声を収録するべく長回ししました。



繁殖地ではよく鳴くのでしょうが、この時期にシギやチドリはあまり鳴きません。ただ、このアオアシシギだけは時々「キョーキョーキョー」と哀愁を帯びた声で鳴くことがあります。
この声を聞くと思い出す和歌があります。それは西行法師の以下の歌。

心なき身にもあはれは知られけり 鴫立つ沢の秋の夕暮れ

意味は「出家して俗世間の感情は捨てたけれど、秋の夕暮れにシギが飛び立つ沢にいると感傷的になる」。西行がアオアシシギを見たのかどうか不明ですが、上述のように渡りの季節(秋)に日本に立ち寄って鳴くのはアオアシシギの可能性が高いです。
また、聞く人を感傷的にさせる哀しげな声なので、私は西行が見聞した鴫はアオアシシギだと確信しています。こういう推測もバードウォッチングの楽しみの一つでしょう。
その後、広い干拓地をグルグル回りましたが、クサシギとコチドリに遭遇したくらいで、期待した鳥は不在でした。来週に再度訪問するつもりです。
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トランプVSハクトウワシ

2024年08月15日 | 野鳥
アメリカでは次期大統領を目指して、トランプとハリスがデッドヒートを繰り広げています。そのアメリカで話題になった動画があります。2015年に『TIME』誌が、トランプとアメリカの国鳥ハクトウワシの2ショットを撮影した際の映像で、いつもは強気の発言を繰り返すトランプがハクトウワシにタジタジとなっているからです。



その後、トランプは第45代大統領に就任しますが、任期終了前の2019年8月、絶滅危惧種保護法を改悪。この法律は米国の野生生物を保護する最も重要な法律として1973年に成立し、絶滅の危機に瀕する生物のセーフティネットとして機能してきました。ハクトウワシをはじめカリフォルニアコンドル、ハヤブサの保護にも貢献したとされています。
TIME誌の撮影でハクトウワシに威嚇されたことを根に持ったわけではないでしょうが、トランプは採鉱、石油掘削、木材伐採、マンション建設などの際、開発を望む企業に有利になるようにこの法律を変更。例えば、特定の生物が保護に値するかどうかを判断する場合、経済的要因を考慮に入れることが可能になりました。
アメリカでは11月まで激しい選挙戦が展開されますが、ハクトウワシをはじめ無数の野生生物たちは「トランプだけには大統領になってもらいたくない」と思っているでしょう。


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チョウゲンボウは都市鳥?

2024年08月08日 | 野鳥
先日、野鳥の会の過去の資料を読んでいて面白い事実を発見しました。京都支部では40年以上にわたって会員が目撃した鳥の種類を記録していますが、1983~2002年の19年間と2003~2016年の13年間のベスト3が大きく入れ替わっているのです。
以前は1位カワセミ、2位ジョウビタキ、3位ノビタキでしたが、その後は1位イソヒヨドリ、2位チョウゲンボウ、3位ハヤブサと変わっているのです。そして、新ベスト3の前回の順位はイソヒヨドリ33位、チョウゲンボウ69位、ハヤブサ45位。京都市内在住の会員が多いので、市内で目撃する機会が多く、特にチョウゲンボウは大きくジャンプアップしています。
イソヒヨドリについては7月11日の記事「イソヒヨドリ騒動」で、もともと海岸に生息していた鳥が市街地に順応したことをお伝えましたが、チョウゲンボウやハヤブサも同様のようです。チョウゲンボウは以前は冬鳥でしたが、現在は1年中見られますし、京都市内のJR二条駅や中京区のビルで繁殖したこともあります。以下は、12年前に近くで撮影したチョウゲンボウ。



ハヤブサも、近くの公団住宅の空き部屋のベランダで繁殖したようですし、ニューヨークには25つがいが生息していて「世界で最もハヤブサの密度が高い場所」と言われています。本来は海岸や山中の断崖絶壁で繁殖しますが、摩天楼がそれに似ていること、餌となるドバトが多いこと、高層ビル群に発生する上昇気流を利用できることなどから、ハヤブサには良好な環境のようです。チョウゲンボウもハヤブサの仲間なので、都市環境が本来の生息場所に似ているのでしょう。
スズメやツバメ、カラス、ヒヨドリなどを「都市鳥」と呼んでいます。ハシブトガラスやヒヨドリはもともと山の鳥でしたが、市街地に順応して都市鳥になったわけですから、イソヒヨドリやハヤブサ、チョウゲンボウもその仲間入りをしたと考えていいと思います。
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ツバメの群舞

2024年08月01日 | 野鳥
7月下旬から8月上旬、宇治川のヨシ原に数万羽のツバメが集合します。その観察会を約30年担当していますが、最近は参加者が多いので会員向けと一般向けに分けて開催しています。会員向けは先週の日曜日に別の担当者が実施したので、一般向けを次の日曜日に私が案内します。
その下見に昨夕現地へ出かけました。ツバメが集合する時刻は日によって前後しますが、昨日はなぜかいつもより遅く7時15分頃でした。



平日なので他の観察者は3人だけ。そのうちの1人の男性が私に話しかけてきて、職場が宇治なので京都市内に帰宅する前に途中下車して見に来たとのこと。双眼鏡をぶら下げていたので「鳥はよくご覧になるのですか?」と尋ねると、昨年の観察会に参加したらしく、私のことを覚えていてくれました。
さらに話をすると、2022年にお試し会員になったもののコロナでほとんどの探鳥会が中止になって参加できなかったとのこと。その後は一般参加として京都御苑や鴨川の探鳥会に参加されているそうです。
最近、時々探鳥地で、私は知らないのに私のことをご存じの方に出会って、「〇〇の探鳥会でいろいろ教えていただきました」と言われることがあります。長い間あちこちで探鳥会を担当していると、こういうことが増えます。ありがたいことです。
日曜日は何人が参加されるかな?
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