樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

葉に書く

2006年08月25日 | 木と文化
ハガキはなぜ「葉書」と書くのだろうと思ったことありませんか?
その答えのヒントがタラヨウという樹にあります。タラヨウの葉の裏に先が尖ったもので文字を書くと、しばらくして文字が黒く浮き出てきます。子供の遊びみたいな話ですが、紙が貴重品だった頃、実際にこうして手紙代わりに使ったようです。

      

この樹の名前の由来は仏教にあります。古代インドでは、経典をバイタラヨウ(貝多羅葉)という樹の葉に書き綴っていたそうです。それになぞらえて、葉に文字が書けるこの樹をタラヨウと名づけたのです。バイタラヨウの和名はオオギヤシ(ヤシ科)ですが、日本には自生しません。
タラヨウは日本に自生し、現在は郵便局のシンボルツリーとして全国の主要局に植えられています。京都中央郵便局の塩小路側にも、説明プレートと共に植えてあります。

      

葉の裏に文字を書いて、表に宛名を書いて切手を貼って投函すれば、届けてくれるようです。
タラヨウにはジカキバ(字書き葉)とかエカキバ(絵描き葉)といった地方名もあります。昔から全国各地で字や絵が書かれていたんですね。
英語でも小さな印刷物をleaflet(リーフレット)と言いますが、葉と文字を書くことに何か関係があるのかも知れません。
コメント (10)
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