樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

森は花盛り

2018年05月31日 | 樹木
週末、栃の森に行ってきました。タイミングが開花時期とぴったり合ったようで、たくさんの花が迎えてくれました。
まず、サワフタギが満開。この森には20年以上通っていますが、ピークに巡り合えたのは数えるほど。昨年はまだ蕾でした。



サワフタギと同じく、低木として私たちの目の高さで咲き誇っていたのはヤブデマリ。よく似たムシカリ(オオカメノキ)は先月に咲き終わったようです。



エゴノキもすでに終わっていましたが、同じ仲間のハクウンボクは咲き始め。林道や林内で数株が開花していました。



「栃の森」は私が勝手に付けた名前ですが、この森の主役トチノキも立派な総状花序を立てています。ただ、いつもより花数が少ない。このコースのランドマークである樹齢500~600年の巨木も、下から見上げる限り花が見当たりせん。毎年6月に森の入り口の農家で栃の蜂蜜を買うのですが、今年は在庫が少ないかも。



ミズキも独特のステップ状の樹形を白い花で飾っています。地面には細かい花糸がたくさん落ちていました。



歓迎できない花も咲いていました。ハリエンジュ、通称アカシア。北米原産で、日本では侵略的外来種。「関西の秘境」といわれるこんな山奥にまで分布域を広げているのです。今のところは林道までですが、林内に侵入するのは時間の問題でしょう。



今の時期は白い花が圧倒的に多いですが、コミネカエデが黄色い花をいっぱい付けていました。



このほか、ヤマボウシ、ナナカマド、ツルアジサイ、ホオノキ、タンナサワフタギなどが白い花を咲かせていました。白以外では、タニウツギ、フジ、キリ、コアジサイの花が見られました。
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鳥のスイーツ

2018年05月24日 | 野鳥
甘いものが好きなこともあって、以前から鳥の形をしたお菓子を調べていました。日本全国に面白い「鳥のスイーツ」がいろいろありますが、京都にもいくつかあるので、お店へ出向いて買ってきました。
一昨年、石清水八幡宮が国宝に指定されたことを記念して、門前にある和菓子屋さん「やわた走井餅老舗」が「鳩もなか」を発売しました。もちろん、八幡宮の神の使いとされる鳩がモチーフです。
面白いのは、プレーン・抹茶・桜の3つの味があること。抹茶は皮に抹茶が入っているようでほのかにお茶の香りがします。桜は餡に塩漬けの桜葉が入っていて、皮も餡もピンク。
いずれも皮と餡が別々になっていて、自分で詰めて食べます。3個とも一気に実食してしまいました。



以前、鴨川と千鳥の因縁をご紹介しましたが、鴨川の近くにある老舗「先斗町駿河屋」には千鳥をモチーフにしたお菓子がいくつかあります。
まず、「和三盆ちどり」。先斗町のシンボルである千鳥が淡い5色のパステルカラーでかたどられています。和三盆ならではのほんのりした上品な甘さが口に残ります。



「鳩もなか」と同様「ぽんとちょうもなか」もあったので、ついでに買ってきました。皮と餡が別になっているのは同じですが、こちらは1種類のみ。



このお店にはこのほか「雪ちどり」(おしるこ)、「ちどり焼き」(焼き菓子)もあります。
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蒲谷鶴彦さんがモデルの小説

2018年05月17日 | 野鳥
野鳥録音のパイオニアであり、CDブック『日本野鳥大鑑』の著者でもある蒲谷鶴彦さんがモデルとして登場する小説があります。


CDブック『日本野鳥大鑑』上下2巻(私も持っています)

タイトルは『海峡』。作者は、『あすなろ物語』のほか『風林火山』『天平の甍』などの歴史小説で知られる井上靖。
物語は、出版社の社員数人がナイター観戦に出かけた後楽園球場に数羽の鳥が迷い込むところから始まります。その知らせを受けた蒲谷さん(作中名は庄司)が駆けつけてアカエリヒレアシシギと同定。その時に鳥に興味を持った若い社員が、蒲谷さんの野鳥録音に同行するという展開です。彼は「機関銃型の集音器」や「菅笠様のもの(パラボラ)」の運び役を買ってでます。
庄司の本業は外科医院の院長ですが、それをほったらかして野鳥録音に現を抜かしているために、夫人や若い医師、友人の編集者の間に愛憎劇が生まれます。それにからむ2人の男が、北帰するアカエリヒレアシシギの声を下北半島で録音するという庄司に同行します。
(下の動画は、私が近くの干拓地で撮ったアカエリヒレアシシギ)



「アカエリヒレアシシギの集団は海峡の闇の中に、その鳴き声と一緒に吸い込まれて行った。小さい生命が四、五十ひとかたまりになって、一定の間隔を置いて、次から次へと海峡の闇の中へ突入している感じだ。三人は寒さも忘れて、一言も発しないで耳を澄ませていた。ひどく高い感じの天の一角だけに、幾つかの小さい星が出ていた」というのがラストシーン。シギの渡りと3人の男それぞれの新しい人生が二重写しになっています。
井上靖は実際に蒲谷さんと一緒に下北半島へ取材旅行に出かけ、その模様を『雪の下北半島紀行』という一文に書き残しています。残念ながらアカエリヒレアシシギは見られなかったのですが、蒲谷さんは「シギは渡っていすよ。必ずこの雪の中を」と言ったそうです。

ちなみに、昨年の8月30日に仙台で行われた楽天‐西武の試合中にアカエリヒレアシシギの群れが迷い込んで試合が中断されるというハプニングが起きました。



さらに、1958年の巨人‐大洋戦(後楽園)でも鳥の群れが迷行したために試合が中断されています。この『海峡』が執筆されたのはその前年の1957年ですから、井上靖が後楽園のハプニングを予言したかたちになっていますが、多分、蒲谷さんから類似の事例を聞いて小説の題材にしたのでしょう。
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森に春が来た

2018年05月10日 | 樹木
連休前半、約半年ぶりに栃の森へ行ってきました。毎年4月末は雪が残っていますが、今年はすっかり消えています。植物の季節もいつもより進んでいるようで、樹の花がたくさん楽しめました。
まず、ウスギヨウラク。林道脇のあちこちで咲いています。名前のとおり「薄黄」色だけでなく、写真のような赤味のある株もいくつかありました。



林内に入ると、サワグルミの花もすでに垂れ下がっています。緑色のが雄花、赤いのが雌花。結実しても食べられませんが…。



事情があってこの森を正式名ではなく、勝手に「栃の森」と呼んでいますが、それはトチノキが多いから。樹齢数百年の巨木から数十年の若木まで、一斉に展葉していました。枝先の芽は葉と花が同時に展開するようです。



林床に黄色い細かな花がたくさん落ちているので「何かな?」と思って見上げると、イタヤカエデがいっぱい花をつけていました。カエデの中で葉に鋸歯がないのはイタヤカエデの仲間です。



ブナもたくさん花をつけていました。2年連続して開花することはないそうですから、今年はクマにとっては食糧が豊富なようです。



今回、カラスシキミが目立ちました。京都府では準絶滅危惧種。シカが忌避するので増えつつあるのかもしれません。



このコースを訪れたのは昨年10月。その後、何度か豪雨に見舞われたため、林道や林内は倒木が多かった。いつものキャンプサイトの手前も写真のとおり。しかたなく、200mほど手前でキャンプしました。



林内も倒木で荒れていて、迂回したり、乗り越えたり大変でしたが、それも自然の営み。100%天然ならではのこの森の魅力です。


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シギチ解禁日

2018年05月03日 | 樹木
連休の初日、天気がいいので久しぶりに遠出してきました。といっても、大阪南部の男里川河口へシギチ観察。記録を見ると2013年から2015年まで毎年今ごろ出かけていますが、その後は足が遠のいていました。
ここはチュウシャクシギの群れが見られます。この日も約20羽が海岸や河口部を行ったりきたりしていました。



その中に1羽大きなシギが混じっています。オオソリハシシギです。こんな大きな鳥が、アラスカからニュージーランドまで1万2千キロを一度も休まずに飛んだとは信じられません。



メダイチドリもいました。チドリ類の挙動はかわいくて見飽きないです。



このほか、コチドリ、シロチドリ、夏羽のトウネン、イソシギ、キアシシギが見られました。
電車を乗り継いで往復5時間かかりましたが、この日が私にとってのシギチ解禁日となりました。連休中にもう1カ所行ってみようかな。
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