『ケス 鷹と少年』というイギリスの小説があります。「鷹」となっていますが、下の本の表紙が示すように、正しくは「チョウゲンボウ」。原題も「A Kestrel for a Knave(少年のためのチョウゲンボウ)」ですが、『チョウゲンボウと少年』では一般には通じない上に、以前はハヤブサ類もタカの仲間とされていたので「鷹」と訳されたようです。ただし、本文では「長元坊」と表記されています。
1968年に出版された本作はイギリス国内でベストセラーになり、翌年に映画化されました。上の表紙写真は映画の1シーン。その映画の題名が『Kes』なので、日本では本書の題名が『ケス 鷹と少年』になったわけです。KesはKestrelの略で、本作の中でも少年はチョウゲンボウを「ケス」と呼んでいます。
チョウゲンボウに魅せられた少年の物語で、以下のような記述があります。
鷹がブレーキをかけたように、突然、空中に留まったまま、見下ろすような体勢をとった。そのあいだ、気流を捉える風切り羽根が震え、尾は扇形になって下に傾(かし)いでいた。(中略)今度は翼を閉じ息を飲むほど見事な前傾姿勢で壁の背後に降下していった。爪で獲物をしっかり握ると、ふたたび舞い上がり、素早く牧草地に向けて進路を転じた。電柱の上で油断なく見守っていた雌の長元坊は、雄を出迎えるように鋭い鳴き声を上げて空中に飛び出した。
下は私が撮影したチョウゲンボウですが、作者は鳥に詳しいようで、ホバリングなどチョウゲンボウ独特の動きを言葉で巧みに表現しています。
また小説の中には、チョウゲンボウ以外にツグミ、ヒバリ、カケス、ミソサザイ、フクロウなど10種類以上の鳥が登場します。イギリスはバードウォッチング発祥の地なので、作者もバードウォッチャーだったのでしょう。
1968年に出版された本作はイギリス国内でベストセラーになり、翌年に映画化されました。上の表紙写真は映画の1シーン。その映画の題名が『Kes』なので、日本では本書の題名が『ケス 鷹と少年』になったわけです。KesはKestrelの略で、本作の中でも少年はチョウゲンボウを「ケス」と呼んでいます。
チョウゲンボウに魅せられた少年の物語で、以下のような記述があります。
鷹がブレーキをかけたように、突然、空中に留まったまま、見下ろすような体勢をとった。そのあいだ、気流を捉える風切り羽根が震え、尾は扇形になって下に傾(かし)いでいた。(中略)今度は翼を閉じ息を飲むほど見事な前傾姿勢で壁の背後に降下していった。爪で獲物をしっかり握ると、ふたたび舞い上がり、素早く牧草地に向けて進路を転じた。電柱の上で油断なく見守っていた雌の長元坊は、雄を出迎えるように鋭い鳴き声を上げて空中に飛び出した。
下は私が撮影したチョウゲンボウですが、作者は鳥に詳しいようで、ホバリングなどチョウゲンボウ独特の動きを言葉で巧みに表現しています。
また小説の中には、チョウゲンボウ以外にツグミ、ヒバリ、カケス、ミソサザイ、フクロウなど10種類以上の鳥が登場します。イギリスはバードウォッチング発祥の地なので、作者もバードウォッチャーだったのでしょう。