樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

フクロウカフェ

2018年10月25日 | 野鳥
以前から気になっていたので、京都市内のフクロウカフェに行ってきました。
20坪ほどの店内は樹脂製の葉で作った擬木がジャングルのように配置されており、メンフクロウやシロフクロウ、カラフトフクロウなど13種類のフクロウが枝に止まっています。もちろん、鎖につながれて。


鎖につながれたメンフクロウ

私の前にいたアジア人の観光客夫婦がメンフクロウに寄り添って自撮り棒で撮影しようとした時、フクロウが突然飛び上がりましたが、鎖に引っ張られてバタバタしたあげく結局枝に止まり直しました。そんな残酷な光景に出くわしたことも要因ですが、そうでなくとも居心地の悪い空間で、10分ほどで退出しました。
「野にあるものは野にあるように」を理念に掲げる野鳥保護団体の会員にとっては、息が詰まりそうな施設です。こうしたフクロウカフェが日本全国に約50店あります。


カラフトフクロウ

この日本のフクロウカフェを、アメリカの野鳥保護団体オーデュボン協会が痛烈に批判しています。そのタイトルが「The Bird-brained Idea Behind Japan's Owl Cafés(日本のフクロウカフェに見る鳥の頭脳並みの思考)」。このフレーズにはアジア蔑視が含まれているようで不愉快ですが、その主張は極めて真っ当です。
「(日本のフクロウカフェでは)小型のコノハズクや大きなアメリカワシミミズクなどを、まるで家猫のようになでられる。しかし、フクロウは家畜化された動物ではない。カフェラテを飲みながらフクロウをなでることは動物倫理上許されるのだろうか?」。
また、猛禽類の専門家に次のように語らせています。「そういうことをする思考方法が理解できません。フクロウはどうやってもペットにはならない動物です。人間とは逆にほとんどが夜行性で、体も習性も屋内ペット向きにはできていません。フクロウにとっては極度のストレスになりますから、なでようなんて考えるべきではありません」。
そして、「諸悪の根源は、どんな野生動物でも可愛ければペットにするという精神構造。フクロウカフェは、人間が自然の生命とどう関わるかについて誤ったメッセージを発している」と結んでいます。


店内は擬木のジャングル。右はシロフクロウ

私は、野生動物を捕獲・拘束して有料で見世物にすることに違和感を覚えたわけですが、「じゃあ、動物園や水族館は許されるのか?」という疑問が湧いてきます。こうした施設には絶滅しつつある動物の繁殖・保護という裏の役割はありますが、本来の生息場所とは異なる環境下に動物を拘束し、有料で見世物にしている表の事業はフクロウカフェと大差ありません。
さらにいえば、闘牛やドッグレースが動物虐待を理由に廃止される趨勢の中で、「競馬や狩猟、魚釣りは動物倫理上許されるのだろうか?」という疑問も湧いてきます。競馬は動物虐待でしょうし、狩猟や魚釣りは動物を殺して楽しむ趣味といえます。
日本のフクロウカフェやイルカ漁をバッシングする一方で、こうした趣味を「紳士のスポーツ」として温存する欧米文化のエゴイズムを感じます。
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カメラ水没

2018年10月18日 | 野鳥
もう1か月以上前ですが、近くの農地で野鳥を撮影した後、調査票に記入しようと三脚を動かしたところ、ストッパーが1本ゆるんだようで、そのまま倒れて用水路にボチャン! あっちゃー!
翌日メーカーのサービスショップに持ち込みましたが、数日後「ボディもレンズも修理不能です」との返事。夏から秋は最も頻繁にカメラを使う時期なので、すぐに次のカメラを物色しました。
7年前のカメラですが気に入っていたので、同じメーカーの後継機種を調べたものの、私には不要な機能が多く、その分高価です。野鳥を動画で撮影してYouTubeにアップし、当ブログや野鳥の会のウェブサイトに掲載するという使い方ですから、4Kや静止画撮影の高度な機能は猫に小判です。
結局、前と同じカメラを(すでに生産中止で新品がないため)中古で購入しました。結果的に、マニュアルを読む必要がない、慣れているので使いやすい、バッテリーやPC用ソフトがそのまま使えるなど、スムーズに移行できました。


ボディの色がシルバーからブラックに変わっただけで全く同じ

水没した際に撮っていたのが、下のムナグロ。「おまえのせいで6万円もムダな出費をしたじゃないの!」と八つ当たりしながら編集しておりました。



中古なので不具合が心配でしたが、ノープロブレム! 逆に前のカメラにあった小さな不具合が解消されて、ストレスなく撮影できています。
その中から、セイタカシギをご紹介します。今年もこの“田園の貴婦人”が来てくれました。私が観察した範囲では、計6個体が飛来しました。そのうちの3個体が以下。



そのセイタカシギに恋したエリマキシギを1か月間にご紹介しましたが、幼鳥のせいか警戒心がゆるく、どんどん近づいてきます。こうして無心に餌を食べている野鳥を観ていると、愛おしくなってきます。



シギの渡りのシーズンは終わりましたが、終盤に私たちを楽しませてくれたのがツルシギ。当初は1羽だけでしたが、この日は休耕田でも川でも2羽が仲良く採餌したり、水浴びしていました。



シーズンが終わったばかりですが、来年はどんなシギやチドリが来てくれるか、今から楽しみです。
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百果繚乱

2018年10月11日 | 樹木
久しぶりに栃の森に行ってきました。7月の予定が西日本豪雨で延期になり、私は参加できなかったので4カ月ぶり。
森はすでに実りの最盛期。さまざまな木の実が色づいていました。真っ先に目に飛び込んでくるのは、視線の高さで青い実をつけているサワフタギ。年によって少ないこともありますが、今年は5月に花が満開だったのでたくさん結実しています。



いつもの休憩ポイントでは、オニグルミの巨木に巻きついているツルマサキが可愛い実を付けています。



谷筋で目を引くのはコマユミの赤い実。図鑑によると、マユミよりもニシキギに近いようです。



反対側の斜面にはハクウンボクの実が…。エゴノキの仲間ですが、葉も実もエゴノキより大きめ。



木の実ではないですが、トリカブトの花がまだ咲いていました。この森はシカの食害が深刻で、ササはほぼ全滅、林床部に残っているのは草本ではトリカブトとバイケイソウ、木本ではオオバアサガラとテツカエデの幼木、つまり有毒な植物のみという惨状です。



折り返し地点の峠には、いつものようにタンナサワフタギの黒い実が成っていました。



ヤマボウシが赤い実をつけていたので、久しぶりに一粒口に入れました。以前に食べた時は小さな種がジャリジャリして食感がいまいちでしたが、今回は大きめの種が5~6粒しかなく、マンゴーのような食感とカキのような味が楽しめました。



往路は薄暗い早朝で気づかなかったのですが、帰路の林道でナナカマドとエゾユズリハの実を発見しました。





嬉しかったのはサルナシ。いつもサルに先を越されて食べる機会がなかったのですが、今回やっと念願が叶いました。同じ仲間ですから当然ですが、味はキウイそのもの。皮が少し固いものの、酸味のほか甘い部分もあって、サルの好物である理由が納得できます。





今回心配していたのは、集中豪雨や台風21号、25号の影響。林内はいたるところに倒木や小規模な土砂崩れがあったものの少し迂回する程度で済みましたが、林道が1カ所大規模に崩落していて恐る恐る通りました。次に大雨が降ったら、通行止めになるかもしれません。



コメント (4)
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タマシギのハーレム

2018年10月04日 | 野鳥
8月30日の記事「一妻多夫」で、1枚の休耕田にタマシギの雌1羽と雄3羽が同居していることや、雌が交尾を促す動きを示したことをご紹介しました。
このいわば「タマシギのハーレム」にはその後も何度も通って観察しました。別の熱心な会員も訪れました。その会員が9月16日に雄+ヒナ3羽の家族を2組発見しました。やはり、雄が抱卵していたわけです。
そして、9月28日には私が5羽のヒナを連れた雄を発見。ゆっくり休耕田に近づきましたが、ヒナ連れのときは警戒心が強いので草むらに隠れました。
警戒心をやわらげるため、地面に座り込み、三脚を最も低くして30分ほど待っていると、草むらから出てきました。



1羽の雌とつがった3羽の雄が1枚の休耕田で同居しながら抱卵し、それぞれ3羽、3羽、5羽のヒナを孵化させ、合計11羽のヒナを育てたわけです。
晴れた日は2日に1回のペースでオグラーしていましたが、おかげで貴重なシーンに遭遇することできました。
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