樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

京女鴫を見せてあげたくて

2024年05月30日 | 野鳥
キョウジョシギという鳥がいます。シギ類の中では色が鮮やかなので、着物姿の女性に例えて「京女鴫」と命名されました。ところが、この鳥は京都では見られません。
「京都支部の会員に京女鴫を見せてあげたい」と思って、8年ぶりに甲子園浜へ下見に行ってきました。来年の今頃、少し遠出の探鳥会を開催して、京都では見られない鳥を見ていただくためです。少し歩くと、いました、いました、京女鴫。しかも至近距離で、じっくり観察と撮影ができました。



コアジサシも数十羽いました。この鳥は25年ほど前は宇治川にもやって来て、以前住んでいた公団住宅のベランダから観察できましたが、今は京都府南部では全く目にする機会がありません。なので、ここで探鳥会が開催できれば会員にも喜んでもらえるはずです。



ところが、海岸沿いの歩道には擁壁が設けられていて、子供や背の低い人は視界が遮られます。目当ての鳥はいるのに、見られないのです。しかたがないので「身長150cm以下の方はご遠慮ください」と但し書きを入れようかと思いましたが、それは失礼だと思い直しました。結局、甲子園浜で京女鴫を見る探鳥会は断念しました。
そうこうするうちに、芦屋浜でキョウジョシギやコアジサシが見られるという情報を得たので、3日後に再び兵庫県まで足を伸ばし、バスに乗って芦屋浜へ行ってきました。ここは初めて。
しかし、コアジサシはいましたが、肝心の京女鴫が不在。来るのが遅かったのか、渡りの時期が終わったのか、よく分かりません。代わりにササゴイが現れて、じっくり楽しませてくれました。この鳥を見るのも撮影するのも久しぶり。



しょうがないので、来年もう一度下見に来て、再来年に芦屋まで遠出して京女鴫を見る会を実施することにしました。
同様の企画をもう一つ考えています。「都鳥」という鳥がいますが、これも京都では見られないので、三重県の伊勢湾まで遠出してミヤコドリを見ていただこうというプラン。冬になったら、また下見に行こうと考えています。
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ありがとう!GH2

2024年05月23日 | 野鳥
先日、長らく使っていたカメラLumix GH2の電源が入らなくなったので、修理に出そうと調べたところ、部品の製造期間が過ぎていて修理不能とのこと。しょうがないので、継続使用を諦めました。
振り返れば、2010年秋に前機種のGH1を買って樹木を撮り始め、翌年に鳥の動画を撮るためにズーム倍率の高いGH2に買い替え、2018年秋に水没させたので同じ機種の中古品を買って鳥を撮影し続けてきました。
撮った動画は当ブログだけでなく、日本野鳥の会京都支部のホームページ「野鳥図鑑」にもたくさん掲載しました。コロナのときは、私が探鳥地へ出かけて撮影した動画を編集し、オンライン探鳥会として会員に配信しました。
十分活躍してくれたGH2に感謝しつつ、今後は最近中古で買ったサブカメラ Nikon COOLPIX B700に切り替えることにしました。



そのB700を使い慣れるために、近くの干拓地に出かけてきました。畦道にヒバリの幼鳥がいたので、必ず親が餌を与えに来ると予想して幼鳥を撮り続けていると、案の定…。
上空で鳴いているのは多分雄親なので、給餌したのは雌親だと思います。



B700は光学ズーム60倍が特徴で、コンデジ(レンズ交換できないカメラ)でありながら、ミラーレス一眼のGH2よりも倍率が高い。なので、以下のような撮影が可能です。被写体はダイサギで、目先の婚姻色(夏になると目先が青くなる)からズームバックしてみました。



GH2に比べると、鳥しか撮らない私には広角側が広すぎる、飛んでいる鳥をキャッチしにくい、ファインダーに入れて動画シャッターを押すと一瞬画面が黒くなって被写体を見逃すなどの欠点がありますが、軽くて持ち運びが楽という長所もあります。いずれにしても、使い慣れるしかないですね。
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久御山町の鳥ケリを見る会

2024年05月16日 | 野鳥
先週土曜日、宇治市の隣町・久御山町で「ケリを観に行こう」というイベントを実施しました。私が「町の鳥ケリを観る会を開催しませんか」と持ち掛けたところ、話がトントン拍子に進んで実現しました。
その下見のために、1週間ほど前に現地へ出向いて撮った動画が以下。成鳥を見ていると、その横にヒナがいました。写ってはいませんが、少し離れたところにもう1羽成鳥がいました。多分、雄親が見守っていたのでしょう。



動画の親鳥には足環が付いていますが、当地で長年ケリを調査している研究者が装着したもの。その研究者は京都支部の会員でもあるので、今回の催しにも協力していただいて、探鳥会前にケリの生態について参加者に話をしていただきました。
ケリは久御山町では珍しくないが、全国的には東北と北関東と京都府南部にしか生息しない珍しい鳥であること。気が強くて、ハヤブサなどの猛禽にも攻撃を仕掛けることなどが紹介されました。その後、干拓地に出てケリウォッチング。参加者は少なかったものの、ケリの姿や声、飛ぶ姿、ヒナ、抱卵している親鳥の姿も見ていただくことができました。



この「自治体の鳥を見る会」はシリーズ化し、他の市町村にも広げていこうと思っています。とりあえず次は、宇治市に「市の鳥カワセミを観よう」を提案するつもりです。
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福田平八郎が描く鳥

2024年05月09日 | 野鳥
先月、福田平八郎の絵が見たくて、大阪中之島美術館へ行ってきました。ポスターなどに使われている『漣』(重要文化財・下の左中段の作品)の展示が一時休止されているというので、「その方が人が少なくてゆっくり見られる」と出かけたものの、同じ会場で「モネ展」が開催されていて長蛇の列。入場券を買うために15分も並びました。



近代日本画の中では、東山魁夷が描く樹木や森、福田平八郎が描く竹や水面や屋根瓦に、なぜか引き付けられます。東山魁夷の作品については以前当ブログでご紹介しました。どちらも、日本画というよりデザインのように見えます。さらに、福田平八郎が描く水面や氷は抽象画ともいえます。具象から抽象に至るプロセスを知りたいというのが今回の動機の一つ。
会場に掲げられた平八郎の言葉、「このごろではもう装飾的になっても写実になってもかまわんと思っている。問題は内容だ。ただ単なる装飾に流されるきらいもあることに気がついているので、今後はもっと内部に食い込んでいきたい」。この「装飾」を「抽象」に置き換えると、そのプロセスが理解できます。
さらに、「抽象絵画は私には出来ませんが、そうした抽象的な色や形を求める気持が、こうしたものを生み出したものでしょうか」とも言っています。



もう一つの動機は、そういう福田が鳥を描いたらどうなるか?という興味。会場にはタンチョウ、カササギ、レンジャク、ジョウビタキなど鳥を描いた作品が15点ほど展示されていましたが、この作家はやはり写実的な鳥より、線や色を単純化して描いた鳥の方が魅力的です。



使いもしないのに、オシドリの絵葉書とマガモのファイルを買ってしまいました。
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平地と異なる環境の鳥を観察しよう

2024年05月02日 | 野鳥
4月29日、比叡山で探鳥会を実施しました。コロナ期を除いて、10年ほど前から私が毎年連休中に担当しています。
京都御苑や宇治川など平地の探鳥会と違って高い山ならではの鳥が見られるので、「平地と異なる環境の鳥を観察しよう」をキャッチフレーズに掲げました。参加者は34名。「比叡山の探鳥会が初めての方は?」と尋ねると、半数以上の手が上がりました。初心者が多いようです。
コースの中盤、昨年と同じ場所でキバシリが出現。平地では見られないので、この鳥を参加者に見せてあげたいと思っていました。昨年は後続グループの10名ほどしか見られなかったので、先行グループを呼び戻し、ほぼ全員に見ていただくことができました。下は2019年に別の場所で撮ったキバシリ。



同じポイントをウロウロしているキビタキも見られて、参加者は大喜び。ほとんどの方がキバシリは初めてだったと思います。


キバシリを観察する参加者

そして12時、レジャーシートを広げて弁当を食べ始めたとき、すぐ近くの木の天辺にイスカが登場。みなさんも私も、食べかけたおにぎりを双眼鏡に持ち替え、思わぬ賓客に釘付けになりました。
私自身この鳥を見るのは26年ぶり。イスカも高い山に飛来する鳥で、ほとんどの参加者は初めてのはず。今年は多いと聞いていましたが、探鳥会でこの鳥が記録されるのは何十年ぶりでしょう。
下の写真のように、くちばしの先が交差していて、昔から「イスカの嘴(はし)の食い違い」ということわざにもなった鳥です。


イスカ(画像:pixabay)

これまでは、キバシリを参加者のほぼ全員に見ていただくことができなかったのですが、今回はそれが果たせた上に、想定外のイスカまで登場し、参加者はもちろん、担当した私にとっても満足感の高い探鳥会となりました。
往路は「キバシリが出るかな?」という不安を抱きながら京都市側の八瀬ケーブルで山上に登り、帰路は達成感に浸りながら坂本ケーブルで大津市側に降りました。


延暦寺が経営している坂本ケーブル

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