樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

木津川

2006年08月15日 | 木と言葉
昨日は京都市内の木にまつわる地名をご紹介しましたが、今日はその続編です。
京都府の南部に木津川が流れています。水源は三重県にあり、奈良県、京都府を経て、八幡市あたりで宇治川、桂川と合流して淀川になり、最終的には大阪湾に注ぎます。

      
      (奈良方面を望む木津川の風景)

昔は木津川ではなく、泉川と呼ばれていました。奈良に東大寺が建立された頃、木津川という名前に変ったようです。「津」は港を意味しますから、木の港の川。東大寺の建設に必要な木(主にヒノキ)の集積地(港)が設けられたために、この名前になったのです。
その木をどこから集めたかというと、滋賀県の田上山(たなかみやま)。琵琶湖の南東にある山で、当時は大量のヒノキやスギがあったそうです。
そのヒノキを伐採し、琵琶湖→瀬田川→宇治川と流し、泉川(木津川)の合流地点からは流れを遡って、東大寺に最も近い場所に集めました。そこからは牛に引かせて奈良まで運んだのです。
東大寺の大仏殿は世界最大の木造建築物ですから、その木材の量は半端じゃなかったでしょう。ヒノキやスギの美林として知られた田上山もとうとう禿山になり、その後植林もされることなく、つい最近まで荒れたままの状態だったそうです。
東大寺はその後2回も消失して、その度に再建されています。再建時は、現在の山口県あたりからヒノキを調達し、瀬戸内海→大阪湾→木津川というルートで木材を運んだということです。

なお、今日から17日までお盆休みで帰省します。このブログも2日間お休みして、18日に再開します。故郷の丹後でも木の情報を集めて記事にしますので、お楽しみに。
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