ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

喜ぶ人がひとりでもいれば…

2005-10-26 05:45:48 | 脳みその日常
昨日は講義の日だった。天気は良く暖かかったので多数の受講をちょっぴり期待するもイマイチの出席率。ま、いつものことなので気にしないが。

今回のテーマは「《トロイメライ》はなぜ名曲なのか?」。受講者の顔ぶれによってはかなりツッコんだアナリーゼでもしてやろうと思った。しかし初めての受講者も数人いたのでアウトラインのみの説明に変更する。そりゃそうだ、初めて聴く講義で、いきなり楽譜を詳細に分析されたら誰だって面食らうもんねえ。

もっとも、この講座はクラシック音楽の入門講座という看板を背負っている。だから、極端に専門的な説明はできない。第2の人生を楽しく過ごしてもらうための講座でもあるからだ。まあ、名曲であることの基本的な理由はちゃんと押さえたから受講者たちも納得してくれたようだった。やれやれ。

ワシの講座はここからが面白い(と、本人は自己満足している)。《トロイメライ》の説明をしているのに、途中から J.S.バッハの《フーガの技法》の話になったりする。歴史をさかのぼるだけじゃ不公平だ。ってことで、次にはライヒの《クラッピング・ミュージック》に飛んだりもする。もちろん、これは思いつきで話しているわけじゃない。ちゃんと理由があってのこと。

初心者が相手だからといって、そのへんに転がっている入門書的な説明なんてしない。それだったら入門書を買って読めばいいんだし。わざわざ貴重な時間を割いてまでワシの話を聞きに来てくれるのだから、面白かったと思ってもらえなければ意味がない。だからワシは当日の受講者の顔ぶれを見てから話す内容を決めることも、しばしば。

講義が終わった直後、今回が2度目という受講者が近寄ってきた。その方は雅楽をよく聴いているそうだが、クラシックは軽く流して聴く程度だったという。でも拙いながらもワシの説明を聞いて「そういう視点で音楽を聴くのも面白そうですね。家に帰ったら聴き直してみます」と話された。こう言っては失礼だが、老婦人なのに、話している時の顔はまるで少女のよう。目がキラキラと輝いて、生き生きしていたからねえ。

ワシの講義は決してスマートなものではない。もし客観的に自分の講義を見ることができたなら「なんだコイツ、下手糞だな」と思うに違いない。いや、生き恥をさらしてみっともないとヘコむだろう。でも、受講者の、こうした反応を見るにつけ、話して本当に良かったなと思う。だから、次も頑張ってユニークな講義をしてやるぞと思うのかもしれない。

ともあれ、今月も無事終わってよかった。
コメント    この記事についてブログを書く
« 人は見かけじゃない例 | トップ | 解説はエッセイじゃない! »

コメントを投稿

脳みその日常」カテゴリの最新記事