禁酒番屋(落語 演:春風亭柳橋)

2024-07-11 00:00:40 | 落語
古典落語。ある藩では、酒に酔った藩士が仲間を斬り、酔いがさめたあと、自責の念により切腹してしまうという事件が起こった。藩主は意を決し、侍たちに禁酒令を出す。

1920年代の米国のようなことになる。ただし、米国でやるべきは酒の禁止ではなく銃の規制だったはずだ。

ところが、そういう法律はなかなか守られない。酒屋も困る。


城内へは酒の持ち込みは厳禁となっていて、中に入るには番屋での取り調べが行われている。

それなのに大酒飲みの近藤という男は、なんとか酒を持ち込んでほしいと酒屋に頼む。そこで酒屋の若い者が考えたのが、お菓子のカステラと称して持ち込もうとするが、酒は重いし、液体のため、番屋の役人が、検査と称して、飲んでしまう。

そしてプランB。今度は油と言って持ち込もうとするが、徳利に油をいれるはずがないと言われ、またも検査と言われて番屋の役人に飲まれてしまった。

そして三回目には、酒の持ち込みを諦め、役人を懲らしめようと、酒屋の店員たちの尿を集め、番屋に持ち込むわけだ。


侍にとって、城内は仕事場。そういえば昭和時代には日本の職場に酒があったりした。とはいえ、殺人事件が起きるということはなかっただろう。

事件としては新発田藩で起きた将棋助言殺人がある。江戸後半に起きた事件で城内でおそらく仕事をサボって将棋に興じていた男たちに、脇で見ていた別の侍が助言してしまった。その結果、負けた方が逆上し、助言した男を切り殺してしまった。

そして、出奔。日本全国を逃げ回ったが、殺された侍の家族に仇を打たれることになる。確か敵討ちまでの日数が日本で二番目に長いとされる。ただ、将棋を禁止したわけでもない。

冷静に考えると、事の発端の殺し合いだが、ロメオとジュリエットのように両者とも死んでしまうという事態になってしまったのだが、これをあまりに悲劇的に演じると、オチの笑いがとれない。

江戸時代は糞尿ですら資源とされ、あまり違和感はないが、あまり笑えないような感じだ。

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