アルゲリッチのラフP3

2009-08-28 00:00:00 | 音楽(クラシック音楽他)
argerichラフマニノフのピアノ協奏曲と言えば、2番と3番が有名だが、個人的には4番も好きだ。1番もいい。曲の長さが手頃なのか2曲セットのCDが多いが、「2と3」、「1と4」という組み合わせがいいのだろうが、「2と3」と「1と2」と「2と4」とかたくさん買わないと全部そろわなくなったりする。

そして、その3番だが、結構、耳にする機会が多い割に、コンサートで生で聴くと、イマイチのことが多い。早い話が、「難しい曲目」なのかもしれない。

まず、基本的にラフマニノフ自身が史上に残る超絶的ピアニストである。若いころはリストばりのテクニックだったそうだ。体が大きい上に指が長い。しかし、作曲では悩んでいたようだ(なにしろ、チャイコフスキーを目標にしていたのだから簡単にはいかない)

その結果、軽い憂鬱をいつも抱えていたようで、ピアノ協奏曲第二番と第三番では、その憂鬱感が曲目全体の基調になっている。その中に、甘く切ないメロディを組み込んだり、カッコよく疾走するメロディを組み込んだり、それが急遽、また元の憂鬱感が漂ってきたりする。

そういう、本人の微妙な心の揺れみたいなものが重要で、アシュケナージが最高かつ唯一のラフ弾きのスペシャリストではないかと思っていた。

といいながら、Philipsが、ディジタルリマスターで新たにプレスしたシリーズでピアノ協奏曲第三番を聴く。ピアニストは、マルタ・アルゲリッチ。1941年アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ。

以前、何曲か最近のアルゲリッチを聴いた時は、その独特な個性的演奏は、「浪花節みたい」に聞こえていたのだが、このCDでは、まったくそういうことはない。アシュケナージはラフマニノフの再現を目指したのだが、アルゲリッチは自分的なラフマニノフの世界を作り出す。

録音は、1982年にスイスで行われたらしい。演奏終了後に拍手が収録されているが、つまりライブコンサートである。うまいものだ。