海のエジプト展で90度鼻が曲がる

2009-08-02 00:00:18 | 美術館・博物館・工芸品
egyptY150に合わせ、パシフィコ横浜で「海のエジプト展」が開かれている。

簡単に言うと、古代エジプトの大都市で水没した遺跡を海底から引き揚げて、それらを持って世界ツアーが行われている。世界ツアーの収支から引き揚げ費用を引いたものが利益になる。だから入場料が高い。2300円である。ただし、Y150で「大型蜘蛛ラ・マシン」を見るのに2400円かかるのだから、エジプトの遺跡の方がいいかもしれない。

しかし、実はエジプトのことはよく知らない。クレオパトラ(7世)が最後のエジプトの王だということは知っていたが(本当は間違いらしい。彼女の息子、つまりシーザーの息子が最後のエジプト王だそうだ。)、彼女はエジプトの王だがギリシア系であり、エジプト人ではなかったようだ。

アレキサンダー大王が地中海を制覇した時、エジプト人の王も滅んで、その後、ギリシア系のプトレマイオス王朝がエジプトを支配していて、クレオパトラもその末裔ということだそうだ。これで、以前から思っていた謎であるシーザーはどうやってクレオパトラとコミュニケーションをとったかがわかった。シーザーはギリシア語をわずかな期間で覚えたと言われるが、クレオパトラはエジプト語だけではなくギリシア語を話せたのだろう。

もう一つの謎であるが、どうして、大都市である「アレキサンドリア」「ヘラクレイオン」「カノープス」が水没したのか。海面が上昇したのだろうか、と思っていたのだが、事実は複雑らしい。地震、津波などの自然現象と粘土質の港町に重量の重い石造りの門柱とかスフィンクスとかファラオの立像が立て並んでいたため、その重み自体で沈んでいったそうである。

だから、火山の爆発で埋もれた町とは異なり、金目のものは町が沈む前に持ち出されているだろうから、主に花崗岩でできた彫刻物が中心になる。

スフィンクスというのも、動物と人間の間の存在だから人間よりも身分が低いのかと思っていたが、ファラオ(国王)の顔をモデルにしていたりするそうだ。

そして、問題のクレオパトラだが、コインに顔が刻まれていたりして、かなり顔の輪郭があきらかになっている。やはり結構、才女系の美形に見える。


会場の中央のセンターサークルには「古代エジプトの香り」コーナーがあり、エジプトで使われていた各種の香料の匂いが嗅げるようになっている。サフラン、スミレのような主に植物の香りを中心に12種類がテイストできるが、その中には、とんでもない匂いがあった。

「没薬」

鼻が90度曲がってしまった。鼻の中から脳の方まで痺れそうである。嗅いでからキャプションを読むと、この「没薬」の匂いは、ミイラを制作する時に使うそうである。要するにミイラの匂いである。

口直しならぬ鼻直しをしようとさがすと、「クレオパトラの香り」というものがあった。クレオパトラの体臭が嗅げるのではないかと、嬉しくなってトライすると、これが石鹸の匂いなのである。よく読むと、彼女の体臭ではなく、彼女が入浴する時に、お湯に溶かした(あるいは浴槽に花を浮かせた)香料のブレンドである。

これが、非常にいい香りなのである。

もちろん、そういうお湯を使っていると、やはり体臭もそういう匂いになっていたのかもしれない、と勝手に想像をしてみる。彼女が毒蛇に喉を咬ませて自殺したのは、ミイラの匂いになるのが、自分の美意識では耐えられなかったからなのかもしれない。