七つの会議 (集英社文庫) | |
池井戸 潤 | |
集英社 |
最近、娯楽映画が観たくて仕方ない。それでこの日曜日も観に行つた。
企業内のいざこざを過剰な表現で映像化したもので、特に新鮮味はない。過剰なのは演出だけでなく、俳優陣もこれでもかこれでもかといふほど器用されてゐる。こんな役者をこんなチョイ役で使ふなんて勿体ないとさへ思ふシーンがいくらもある。お金をかけてゐるな、そんな感じである。
しかし、何か大事なものがなかつた。演技が過剰で、真実味がないとでも言ふのか。切実なキリキリとした切迫感がないのである。その意味では主役の役者は間違つてゐたやうに思ふ。役所広司を主役にしては、役所広司頼みが過ぎるかも知れないが、香川照之と野村萬斎では、サラリーマンの悲哀は出てこない。このミスが勿体ない。池井戸潤の原作を一つ無駄にしてしまつたやうに思はれた。
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