樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

芥川龍之介が怒った

2006年09月27日 | 木と作家
サルスベリの花がまだ咲いています。
この樹は3ヵ月くらい花をつけているので「百日紅」とも言いますが、同じ花がずーっと咲き続けているわけではありません。先の花が散ると、花軸の下から次の花が咲き、それが散るとまた下の花が咲くというぐあいに繰り返しながら、私たちの目を楽しませてくれます。

      
    (ご近所でNO.1のサルスベリ。花が多いでしょう?1週間前に撮影。) 

葉の付き方も面白いというか異例で、対生(左右対称)になったり互生(互い違い)になったり、さらには2枚ずつ互生になったりします。このことは、以前ご紹介した林将之さんの図鑑『葉で見わける樹木』の表紙に書いてあります。お近くのサルスベリの葉を一度じっくりご覧になってください。こんな気まぐれな葉の付き方はほかにはないです。

      
      (この枝は対生)

      
      (よく見ると、この枝は2枚ずつの互生です)

この樹には芽吹きが遅く、落葉が早いという特徴もあります。このことに関して、芥川龍之介が面白いことを書いています。
「朝寝も好きなる、宵寝も好きなること百日紅の如きは滅多になく、自分は時々この木の横着なるに人間同様腹を立てることあり」。
芽吹きの遅いのを朝寝、落葉の早いのを宵寝にたとえて、その横着さが気に入らないと言うのです。芥川龍之介は、写真で見る顔もそうですが、実際にもかなり神経質な人だったようです。
そんなに怒らなくても、サルスベリは朝寝も宵寝もしますが、その分花期が長くて楽しませてくれるのに・・・。
  
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする