樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

毒にも薬にもなる市の花

2006年09月28日 | 木と医薬
昨日サルスベリをご紹介しましたが、キョウチクトウもまだ花をつけています。ムクゲの花もまだチラホラ・・・。夏の樹の花は長く咲く傾向があるようです。
サルスベリには「百日紅」の別名がありますが、それに対抗してか、キョウチクトウには「半年紅」という別名がつけられています。

      
    (6月30日に比べて数は少ないですが、まだ花が咲いていました。)

写真のキョウチクトウは6月30日の記事でご紹介したのと同じ生垣。もう3ヵ月も経つのに、まだ白い花をつけていました。サルスベリに劣らず花期が長いですが、いくら何でも半年はオーバーですね。

前回の記事でも書きましたが、この樹は花も葉も根も有毒です。逆に、汚染物質には強く、工場の緑化などによく利用されます。国立公害研究所によると、汚染物質に含まれる硫酸塩を最もよく吸収するのがキョウチクトウだそうです。
そういう理由からかどうか、公害訴訟で有名になってしまった尼崎市の市の花はキョウチクトウです。制定されたのは1952年ですから、まだ公害が社会問題になる前のこと。戦後の復興とともに工場が建てられ、その周りにキョウチクトウがたくさん植えられたので、市の花に選ばれたのでしょう。

      
      (3ヵ月経っても蕾があります。これからまだ花が咲くのです。)

一方、キョウチクトウを市の花に選定しておきながら、途中で変更した市があります。長崎県の佐世保市です。
市の花としてキョウチクトウを制定した矢先に、牛がこの葉を食べて中毒死するという事件が起きたそうです。当時、毒性のある樹を市の花にしていいのかという論議があったようです。
そして、平成14年の市政施行100周年を機に、市の花はカノコユリというユリの花に変更されました。担当者も、市の花を変更できてホッとしたでしょう。
毒があるということは、逆に言えば薬にもなります。キョウチクトウには強力な強心配糖体成分があり、それが強心薬に利用されるそうです。
コメント (4)
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