樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

胃~腸し!

2006年09月22日 | 木と医薬
昨日ご紹介した黄檗山(おうばくさん)万福寺は、中国から渡来した隠元禅師が開いたお寺です。福建省の黄檗山から来られたので、その中国の地名がお寺の名前になっています。
この「黄檗(おうばく)」、実は木の名前で、日本では「キハダ(黄膚)」と言います。この樹の外皮の下に黄色い内皮があるのでこの名があります。この内皮は昔から胃腸薬に使われてきました。

           
  (よその樹なのでできませんが、外皮をはがすと黄色い内皮が露出します。)

      
   (キハダの特徴はコルク質の外皮と、小葉の間隔があいた羽状複葉)

わが家では、お腹が痛いときや食あたりの時は「百草丸」という和漢薬を飲みます。15年ほど前、信州・御岳のバードウォッチングツアーでお土産に買って以来、この薬のお世話になっています。
主成分は「オウバクエキス」、黄檗(おうばく=キハダ)の内皮です。そのほか、ゲンノショウコも配合されています。関西では奈良県の「陀羅尼助丸(だらにすけがん)」が有名ですが、これも主成分は同じくオウバクやゲンノショウコです。

           

御岳では「百草丸」がお土産になっていますが、山形県の銀山温泉ではキハダで作った湯呑みがお土産になっていて、「お湯を注いで飲むだけで整腸作用がある」を売り文句にしているそうです。
それにしても、「百草丸」の製造元「長野県製薬」という名前は注目です。県名がフルネームで入っている社名は珍しいでしょう。
箱のフタには「胃~腸し!キャンペーン実施中」と印刷してあります。私も駄洒落は大好きですが、コピーライターという職業から見ると、胃が痛くなるような文案です。
なお、万福寺の境内にはキハダの老木があって、宇治市名木百選に選ばれています。
      
      (万福寺のキハダはたくさんの実をつけていました。)
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする