樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

隠れ蓑

2006年09月15日 | 樹木
お隣の玄関の前に、こんな樹が植えてあります。
葉の形が1枚1枚違うのが分かりますか? 中には先が3つ4つに分かれているのもあります。この形を蓑(みの)に例えて、着ると姿を隠すことができる「隠れ蓑」から、カクレミノという名前になりました。

      

茶庭によく使われる樹ですが、一般の庭や料亭の玄関、ビルの植栽などにもよく使われています。葉の形に特徴があるので、見分けるのは意外に簡単です。カクレミノはウコギ科ですが、クワ科の樹の葉もこんなふうに不定形の切れ込みがあります。同じ樹の葉とは思えないくらい、バラバラの形をしています。
撮影したのは7月20日頃なので丸くて白い花をつけていますが、不思議なことに、花をつける枝の葉は切れ込みがなく普通の形をしています。こういう気まぐれな葉の形を、茶人は「面白い」と思ったのでしょう。

      

四国や九州など南部に自生しますが、沖縄では砂糖の樽にこのカクレミノの木材を使うとか。また、幹に傷をつけて樹脂を取り、「黄漆」という漆の代用品として家具などに塗るので、ヤマウルシと呼ばれているそうです。
うちの庭に植えようかと思ったこともあるのですが、あまり和風にしたくなかったのでやめました。お隣の玄関で楽しませてもらっています。
コメント (4)
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