樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

聖徳太子を勝たせた樹

2006年09月29日 | 木と歴史
野山を歩くと、どこかで必ず写真のような枝を見かけます。葉と葉の間にでっぱり(翼)があるのが特徴で、こんな葉はヌルデ以外にありません。

      

聖徳太子は、政敵の物部守屋と戦う際、このヌルデの木で四天王の像を刻んで旗頭に立て、戦勝を祈願して「勝てば寺院を建てて仏法の普及に努める」と誓いました。見事に勝利を収めたので、ヌルデを勝軍木(カツノキ)と呼ぶようになったそうです。そして、約束どおり建てたのが大阪の四天王寺。

この聖徳太子の話と関係があるのかどうか、お寺の護摩木にもヌルデが使われます。インドではインドボダイジュが護摩木にされるそうですが、中国や日本にはないので、同じように白い汁を出すヌルデが代用されたようです。
白い汁を出す、と書きましたが、ヌルデはウルシ科。漆の材料にはなりませんが、この樹液を器具などに塗ったことからこの名が付いたと言われています。ウルシの仲間ですが、普通の人なら触ってもかぶれるようなことはありません。
聖徳太子の話にあやかったのでしょう、武田信玄はヌルデで太刀を作って戦いに勝ったという話も伝わっています。
コメント (4)
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