樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

コインでツリーウォッチング

2006年09月12日 | 木と文化
普段、何気なく使っていますが、コインや紙幣にはいろんな樹木が描かれています。今日はいつもと趣向を変えて、コインでツリーウォッチングしましょう。
まず、1円玉。裏面には1本の幹から3本の枝が出て、葉が8枚ついています。このモチーフはオガタマノキと言われています。

      
      (マウスオンするとオガタマの花と葉になります。)

漢字で書くと「招霊の木」、つまり、神を招く木。昔から神木とされ、神社によく植えてあります。関西の神社に植えてあるのは、ほとんどがカラタネオガタマという中国からの移入種(写真もカラタネオガタマ)です。
6月13日の記事でご紹介しましたが、花にはバナナのような甘い香りがあります。私は日本自生のオガタマノキは見たことがありませんが、こちらもいい匂いがするそうです。ホオノキやユリノキ、コブシなどと同じくモクレンの仲間です。

5円玉には表と裏に4つのモチーフが描かれています。稲で農業、水で水産業、穴の周りの歯車で工業、そして裏面の木の芽で林業を表現しているそうです(樹種が不明なので写真はパス)。
10円玉の額面に描かれているのはゲッケイジュ。日本には自生しませんが、その葉は勝利の冠や洋風料理の香りづけとして知られています。

      
      (マウスオンした写真はわが家のゲッケイジュ)

裏には樹は描かれていませんが、宇治市民としては平等院が描かれていることに言及しないわけにはいきません。さらに、1万円札の裏面にも平等院の鳳凰が描かれているんですよ(自慢!)。

50円玉の裏面には菊が彫ってありますが、樹じゃないのでパス。
100円玉の裏面にはサクラが描いてあります(写真はパス)。千円札の裏面にも桜が印刷されています。以前、大阪の造幣局の近くに勤務していたので有名な「桜の通り抜け」にも行きましたが、多種多様なサクラが植えてありました。桜と造幣局は何か因縁があるんでしょうか。

500円玉には、表面(額面)の上下に竹、左右にタチバナが、裏面にはキリが描かれています。タチバナは京都御所やヒナ飾りの「右近の橘」で知られるミカン科の樹。文化勲章のデザインもタチバナですが、当初サクラだったものを、昭和天皇の「文化は永遠であるべき」という意向で常緑樹のタチバナに変更されたそうです。

      
  (マウスオンした写真はキリの落花。周囲にはいい匂いが漂っていました。)

裏面のキリをルーペで覗くと、実に精巧です。「こんなに細かい鋳造ができるのか」と思うほど、キリの花と葉がリアルに表現されています。このモチーフは「五三の桐」など家紋でもよく使われますからご存知の方も多いでしょう。実際の樹は、葉はでっかくて可愛気がないですが、花は薄紫色で、気品のある香りがします。
なお、紙幣に描かれている樹木は千円札(裏面)のサクラだけでした。
今度、お金を使うときに、描かれている樹や花をじっくり見てやってください。

コメント (2)
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