樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

火の樹、子の樹

2006年09月13日 | 木と文化
近くを車で走っていたら、思いもよらぬ場所にザクロの大きな樹があったので、Uターンして写真に収めてきました。
古い民家の前の歩道に、たくさんの実をつけた大木が立っているのですが、道行く人は気にする様子もなく通り過ぎていきます。私は「この実が熟したら、誰が食べるのだろう?」と、とても気になりました。

         

先日、「火防せの樹」としてサンゴジュをご紹介しましたが、このザクロは、逆に「火に縁のある樹」として地方によっては庭に植えるのを嫌うそうです。
中世の軍記物語『太平記』には、「ザクロの実が猛火となって妻戸に燃え移った」というような記述があるようです。江戸時代の博物学者・貝原益軒は、「普通、赤い実がなる樹は花が白い。しかし、ザクロは花も実も赤いので、火を連想するためにこういう話が生れたのだろう」と書いています。

      

一方、小さい赤い実がたくさん詰まっているからでしょうが、中国ではザクロは子宝のシンボルになっています。トルコにも、結婚式の日、新郎がザクロを地面に投げつけると、こぼれ出た実の粒だけ子どもが授かるという言い伝えがあるそうです。さらに、ザクロには鬼子母神伝説がありますが、長くなるので改めます。
ザクロは西南アジア原産で、平安時代に日本に移入されたそうです。
コメント (4)
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