ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

プチ伝説

2010-01-24 04:42:49 | 回想する脳みそ
久しぶりに昔のことを書きたいと思います。若い頃、ワシはある学校の図書館に籠ってひたすら勉強していました。そしてそこに所蔵されている本も多数読んだ記憶があります。

その数年後のこと。その学校で世話になったA先生と呑むことに。当時の思い出などを肴に呑んでいると、先生は苦笑しながら話を切り出しました。

「実はね、あの学校のエライさんが君を専任講師にしろと言ってきたんだよ」
「はあ?」
「ほら、今度あの系列が経営する大学ができるだろ?」
「ああ、そうらしいですね」
「うん、それで君をそこの専任にしたらどうかと…」
「いやいや、それ、荒唐無稽な冗談でしょ?」
「そうだよな。でもエライさんは極めて真顔で提案してきてな」
「ありがたい話ではありますが、私はまだ学生ですよ」
「うん、僕もそうエライさんに言ったさ」
「で、エライさんはどう答えたのですか?」
「『あぁ、そうか…』でおしまい」

一体なぜエライさんがそんな突飛な思いつきをしたのでしょうか。どうやら理由があったようなのです。

つまり「あの図書館であれほど熱心に勉強していた学生は今までにいなかった。そしてそいつは図書館の蔵書をすべて読破した」というのがエライさんの耳にした情報だったのだそうです。もちろんこれには事実と違う情報が含まれています。

確かに勉強はしていましたが、熱心だったかどうかは自信がありません。時々居眠りをしてましたし。それに「蔵書をすべて読破した」というのは明らかにウソです。

このように事実と異なることがいつしか勝手に一人歩きを始め、ワシはついには「開校以来最も勉強した人間」とされてしまったわけです。そして、笑っちゃいますが、伝説上の人物として今でも語り継がれているとかいないとか。

もう一度書きますが、その伝説はかなり事実と違います。当事者本人が言うのですから間違いありません。

まあそうやって伝説というのは作られていくものなのかもしれません。事実をかなりデフォルメすることで虚像というものは作られるのでしょう。歴史においてはそうした虚像が人々を惑わすこともありました。

でもワシのケースなんて歴史上の伝説に比べたら本当に可愛いもんです。事実とは異なってはいますが、この伝説が後輩たちに何らかの目標となってもらえるのなら良しとしましょうか。
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