ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

液体窒素の思い出(前編)

2006-04-12 06:34:37 | 回想する脳みそ
昔のトラックの冷凍装置には液体窒素がよく使われていた。これは燃料を給油するのと同様な方法で車体の側面にあるバルブへ液体窒素を注入するのだ。液体窒素による冷凍装置だと庫内はあっという間にマイナス40度まで下がる。そのため夏場、貨物室のドアを頻繁に開閉しても庫内の温度はすぐに設定した温度に戻る。つまり食品の鮮度が落ちないというわけだ。

ところが、現在のトラックでは液体窒素による冷凍装置はほとんど使われていない。その理由は3つほどある。ひとつは液体窒素の補給基地が限られていること。ガソリンスタンドのようにどこにでも燃料を補給するところがあれば何も問題はない。しかし液体窒素の補給基地なんてそれこそマイナーな世界。よほど設備の整った場所以外には置かれていないのが実際のところだ。

2つ目の理由はランニングコストがかかること。バブル時代ならともかく、輸送業者としてはできるだけコストを下げたい。ところが液体窒素はかなり高価なのだ。いくら窒素方式の冷却性能が高いといっても、業者にとってはもっと安価な冷却装置に移行せざるを得ない。

3つ目の理由としては常に保守点検をしなければならないこと。液体窒素の補給基地を維持するには法律に基づいた保守点検が義務づけられている。これも輸送業者にしてみればコストがかかるのだ。

そんなわけで現在の冷凍装置は機械式が主流となっている。機械式というのは要するに電気冷凍庫の親玉みたいなものと思えばよい。これだとトラック自体の発電装置が壊れない限り冷凍し続けることができる。もっとも、機械式にはメインエンジンで作動するものとサブエンジンで動かすものとがある。ただしメインエンジン方式だとトラックのエンジンの停止とともに冷凍システムも停止してしまうので冷凍輸送には不都合な面がある。

それに対し、サブエンジン方式は冷凍装置専用のエンジンで作動するので、たとえメインエンジンを切っても庫内の温度が上昇することはない。そのため多くの大型トラックではサブエンジン方式が使われているのだ。

あらら、なんだか説明が長くなってしまったな。すみません、肝心の思い出は次回ということで。
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