ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

直球すぎる記述

2006-06-17 06:06:13 | 音楽あれこれ
少し前、マリア・カラスについての原稿を書いた。オペラについてワシはほとんど興味がないのでこの原稿は書きたくなかったのだが、企画上やらざるを得なかった。もちろん書くとなればジャンルに関係なく徹底的にデータを調べる。そんなのは当たり前。で、カラスについての資料をいろいろ読んだり、音を聴いたりした。

そんななかで、2003年に出版された右の資料にはちょっと閉口した。データがいい加減だからではない。むしろ逆で、丹念に調べてあり、その意味ではスゴイ本だと思う。

閉口したというのはその内容だ。彼女の人生をつぶさに記録したのはいいが、あまりにも直球すぎるのである。率直に言えば、誰それとの性的な関係が関係者の証言などをもとにかなりしつこく再現されている。エロ雑誌とまでは言わないが、一歩間違えばゴシップ記事が盛り沢山のタブロイド誌のよう。足跡を知るにはありがたいが、読み進むにつれて何だか気分が悪くなってくる。うーん、何もそこまで書かなくてもという記述がテンコ盛りで出てくるから。

もっとも、そんなエロい内容を原稿に書くつもりはなかったし書く意味がないので、実際の原稿ではそのあたりはほとんど省略した。そ、それにしても西洋人って奴らは、まったく…。

苦笑したのはカラスの遺骨がエーゲ海に散骨される際、突風が吹いて散骨する人の顔に当たったという記述。笑うところでは決してないが、それがなぜか一番記憶に残った。不謹慎かもしれないが、もしワシがその場にいたらきっと笑ってしまうかもしれない。いや、失礼。

それにしてもカラスの人生というのは本当にロマン派のオペラの実写版だなと、つくづく思う。なんでそんなにアンタの人生はドラマティックなのさ、と思える展開が次々に起こるから。まるで誰かが台本を書いているんじゃないかと思えるほど。

まあ、原稿を書くこちらにしてみればネタが多いほうが助かるけどさ。もしブラームスの生涯を書けなんて言われたら、ホントお手上げだよ。起伏のほとんどないどーにもつまらんものになりそうだから。
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