金のイヤリング(カンス塚古墳出土)
平荘湖古墳群のほとんどの古墳は6・7世紀のものです。
その中にあって、カンス塚古墳は5世紀後半にさかのぼり古い古墳です。
カンス塚古墳は、平荘湖の建設に伴い湖底に沈んだ全長30メートルの古墳でした。
一部盗掘されていましたが、玉類などの装身具・刀剣・鉾・やじり・鎌・斧・砥石・須恵器それに鉄鉗(かなはし)・槌などの鍛治具など多くの種類の出土品しています。
出土品も朝鮮半島南部の渡来した工人により須恵器・製作技術によるものも多く含まれています。
なかでも一対の金のイヤリング(写真)は注目を集めました。
県下でも、加古川市の他に2例(姫路市と龍野市の古墳)があるだけです。全国でも、50ほどの出土例しか知られていません。
このイヤリングも朝鮮半島からもたらされたもので、カンス塚古墳の主とその交易関係に興味が持たれます。
それにしても、カンス塚の「カンス」とはどんな意味でしょう。前々から気になっていました。
この古墳から出土した鉄鉗(かなはし)に注目してください。
この鉄鉗の形がカンス塚古墳の形(帆立貝式古墳:前方後円墳の前方部が短いもの)に似ており、カンスはカナハシが変化した単語であるというのです。
また、「カンスは鉄・銅で作った湯沸かし器や茶の湯で用いる茶釜をいう」と辞書にあります。
今のところ、定説はありません。(no4754)
*写真:カンス塚古墳出土の金のイヤリング