古墳時代(9) ヤマト・タケル物語(5)、オトタチバナヒメ
相模で敵をたおしたタケルは、さらに東へ進み、走水(はしりみず)に着き、対岸の上総(かずさ・今の千葉県の南部)に渡ろうとしました。
が、海は大荒れになりました。
舟は木の葉のように揺れ、今にもしずみそうになりました。
その時です。
タケルに従っていた弟橘姫(オトタチバナヒメ)が、「・・・これはきっと海神のたたりです。
私がタケル様の身代わりになって、海神の怒りを鎮めましょう。
どうか、帝の命令を成し遂げられ、無事に大和にお帰りください・・・」と海に菅(すげ)の畳を八枚、皮の畳八枚、それに絹の畳八枚を重ねて海面に敷き、それに飛び乗りました。
大波は、美しい姫をたちまちにのみ込んでしまいました。
海は、嘘のように静まり、タケルは上総に向かって進むことができました。
タケルが上総に上陸して七日目でした。
海岸にオトタチバナヒメの櫛が流れ着きました。
上総では、大和に従わない者どもを征服しました。
この大任をはたしたタケルは、懐かしい大和へ帰ろうとしました。
だが・・・・(no4761)