樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

昇進できる樹

2006年12月12日 | 木と言葉
写真の樹は、いつもの散歩コースの奥にあるツブラジイです。かなりの巨木で、枝の張り方が面白いので、前を通るとしばらく見とれています。

         

実が丸いので「円ら椎」ですが、葉が小さいのでコジイとも言います。ツブラジイとよく似た樹にスダジイがあり、一般的にはまとめてシイノキと呼ばれています。
「ツブラジイとスダジイは同じものだから分ける必要はない」と言う学者もいます。でも、いつも散歩しながらツブラジイとスダジイを見ていますが、葉も実も大きさが違って、同じ樹種には思えません。

      
         (左がツブラジイ、右がスダジイ)

椎の実はフライパンで炒って食べられます。昔から食料として利用されてきました。
この椎の実で有名な和歌があります。「のぼるべき たよりなき身は 木のもとに 椎を拾いて 世をわたるかな」。昇進するコネがないので、私は木の下で椎(四位)を拾っています。
源頼政(みなもとのよりまさ)がまだ従四位の身分だったころ、椎と四位を掛けて、昇進への思いを歌ったものです。この歌のおかげで頼政は従三位を与えられたそうですから、駄洒落もバカにできません。
ツブラジイは狂いやすく割れやすいのでパルプか薪炭材、スダジイも九州地方で鉄道の枕木に使う程度で、木材としてはどちらもあまり優秀ではないそうです。
コメント (2)
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