樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

モミジとカエデ

2006年12月06日 | 木と言葉
宇治市の木はイロハモミジ。前にも書きましたが、お茶の木は「宝木」というVIP待遇になっています。おそらく紅葉の名所がいくつかあるからでしょうが、その一つが興聖寺(こうしょうじ)という禅寺。ちょうど今頃、たくさんのイロハモミジが緑~黄色~赤のグラデーションを描いています。

      
    (興聖寺の紅葉。京都府自然200選、宇治市名木100選の一つ。)

宇治市のようにモミジをシンボルツリーにしているのは山梨県、滋賀県、広島県。面白いのは、滋賀県と広島県が「モミジ」と表記している一方、山梨県は「カエデ」と表記しています。
また、図鑑などでは「イロハモミジ」ですが、宇治市の名木の標識には「イロハカエデ」と書いてあります。モミジとカエデはどう違うのでしょう?

      
     (イロハモミジの別名タカオモミジは京都の名所・高尾に由来)

植物学的には同じです。モミジは「もみず」(「赤くなる」という意味の古語)に、カエデは蛙手(かえるで)、つまりカエルの手のような形に由来します。
図鑑などではイロハモミジ、オオモミジ、ヤマモミジの3種(イロハモミジ系統)だけに「モミジ」を使い、イタヤカエデ、ハウチワカエデ、ウリハダカエデなどその他は「カエデ」、科・属の名称も「カエデ科カエデ属」です。

      
          (イタヤカエデは確かにカエルの手の形)

日本には(園芸種を除いて)26種類のカエデがあり、中にはオオイタヤメイゲツ、メグスリノキ、ハナノキなど「モミジ」や「カエデ」がつかない名前もあります。
ちなみに、イロハモミジは葉先を「いろはにほへと」とか「お寺のもみじ」と勘定するので7裂と思い込んでいる人が多いですが、5裂や9裂のものもあります。
コメント (2)
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