樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

家にありたき木

2006年12月19日 | 樹木
しばらく前から、わが家の玄関には綿菓子屋さんのような匂いが漂っています。
カツラの枯葉の匂いです。玄関の脇に大好きなカツラを植えているのですが、黄葉する頃から砂糖を焦がしたような甘い匂いを出します。

      
        (落葉前で汚くなりましたが、匂いはいいです。)

バードウォッチングの先輩の植木屋さんに、「カツラはグングン伸びるから、一般の庭には植えない方がいい」と言われたことがあります。
最初は裏庭に植えていたのですが、数年後に隣の空き地に家が建ち、カツラの落ち葉がトユにつまって迷惑なので、玄関側に移植しました。その先輩はもう亡くなりましたが、結果的に忠告は当ったのでした。
あたりかまわず落ち葉は散るし、枝は伸びるし、虫はつくし、けっこう世話がやけますが、爽やかな新緑を目にしたり甘い匂いを嗅ぐと、やっぱりカツラを植えて良かったと思います。

      
            (初夏のカツラの葉)

私のようにカツラが好きな人は昔からいたようで、吉田兼好は『徒然草』の中で「家にありたき木」として松、桜、梅、柳とともに桂を勧めています。当ブログでおなじみの清少納言に至っては、花が目立たない木の第1位に桂を挙げています。ちなみに、2位は松、3位は柳。
カツラの葉は、アオイの葉とともに京都の葵祭で使われますから、平安時代の貴族にとっては特別な意味があったのかも知れません。
コメント (4)
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